つぶやきの部屋

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2025/07/01 14:30

元帝光🌸ちゃんの話15
元帝光バスケ部の🌸ちゃん。

「別に、黒子に誘われたから行くわけじゃないし。誠凛の試合を見に行くわけじゃくて、ついでだし」って自分で自分を納得させながら試合会場へ向かう🌸。誰かに見つかってもすぐに帰れるように出入り口のすぐそばで試合を見ていた🌸は対戦相手である霧崎第一のスキルに驚いた。

「……すごい」って小さな声で呟いた言葉は、誠凛のメンバーに聞かれていたら何と言われるか分からないが、そう思わずにはいられなかった。当然、ラフプレーは褒められるスキルではないし、持っていて得をするスキルかと言われればそうではない。
だが、損をするスキルかと言われると必ずしもそうとは限らない。審判にバレない様に、確実に相手にダメージを与えて自身のチームを優位に立たせるスキルは一朝一夕で身につくものではない。まして、それを一人で行っているのならまだしも、チーム全員がそのスキルに特化しているとなると大したものだと思う。

それにラフプレーだけにこだわっているのかと思いきや、普通のプレーもレベルが高い。ここまで勝ち上がってきたのはラフプレーの力だけではないのは見ていたら分かる。基礎練習はもちろんのこと、日頃の練習はきっちりやっているんだろうな、と思わせる動きをしているから。

「プレースタイルがあれなだけで、実はめちゃめちゃ真面目だったり…?」と、思ったけれど木吉が怪我を負う度にそれはもう大層イキイキした笑顔を浮かべる花宮の姿に「…うん、たぶん違うわ」って前言撤回。花宮のプレースタイルに観客からは非難の声が聞こえてくるが、手放しでその声に同意することはできなくて。

どんなプレースタイルであれ、どんな性格であれ、バスケを続けていることが全てだ。どんな理由があっても、バスケを辞めることを選ばなかった。それが、答えだ。自分の心を守るためにバスケを辞めた自分は、バスケをそこまで好いていなかったのかもしれない。

バスケが好きじゃなかったから辞めた、なんて。「全部、私が逃げたことを正当化したいだけじゃない」って呟いた🌸が涙を流す。コートの中で花宮に憤る黒子の表情が、逃げた自分を咎めている表情に見えてしまって目を反らす。あの日から、🌸だけがずっと進めずに立ち止まっているのに、彼らはどんどん先へ行く。

彼らが悪いわけじゃない、と分かっているはずなのに、心のどこかで全てを彼らのせいにしようとしている自分がいる。彼らが今までと変わらず声をかけてくれることが嬉しくて、悲しくて、寂しくて。嫌いになってしまえれば、どんなに楽だろうと、これまで何度考えたか分からない。

それでも、その度に思い出すのは中学時代の幸せだった頃の思い出で。また、戻れるかもしれないなんて淡い期待を抱いている。「嫌いに、ならせてよ。もう、バスケも、アンタらも、何もかも嫌いにならせてよ」って静かに涙を流す🌸のことなんて知らない黒子は、試合勝利のホイッスルに喜びの声を上げた。




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