つぶやきの部屋
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2025/07/02 13:20
元帝光🌸ちゃんの話23
元帝光バスケ部の🌸ちゃん。
決勝戦は、赤司率いる洛山高校。ずっと、覚えていた違和感が、嫌な予感が、的中した。黒子がボールを持つということ、キセキの世代と呼ばれる彼らと向き合って戦うということ。それがどれほどの事なのか、私達は気付くことができなかった。黒子が会場の観客の視線を集めるということは、目立たないという彼の本質を殺すことに等しい。
目立たないこと。これが黒子が試合で活躍する、唯一の方法であったはずだ。視線を集めるということは、目立つということ。観客が、黒子を見失わないということは、試合に出ている対戦相手にとっても見えない脅威では無くなる。姿が見えてしまえば、シンプルなバスケスキルで黒子に勝ち目は無い。赤司は、それを分かっていたから黒子に何もさせなかったんだ。
「何でもっと早く気付けなかったの…!」って悔しそうに拳を握り締めた🌸と同じように、相田も拳を握り締める。いつだって、あの背中がチームを引っ張ってくれた。だから、安心していた。任せっきりにしていた。その代償が、これだ。どうにかして状況を打破したい、赤司に負けたくない、勝ちたい。そう思っても、何も思いつかない自分が、腹立たしくて悔しくて。
でも、黒子は諦めてない。黒子だけじゃない。火神も、日向先輩たちも、チームの皆も。誰一人、負けるなんて思ってない。誰一人、諦めてない。試合が進んで、点差が縮む度に、胸の奥がぐぅっと膨らんで、熱くなる。あんな風になりたい。あんな風に、みんなを、自分を、心から信じて真っ直ぐに前を向いて歩く強さが、欲しい。
過去を振り返っても、囚われても、それでも前を向くことの大切さ。それが、どれだけ凄いことで、どれほど強いことなのかを、気付かせてくれたのは黒子と、誠凛の皆だった。ベンチに座って、間近で試合を見て、感じて、触れて。一緒に悔しいと思って、一緒に嬉しいと喜ぶこと。
勝ったら嬉しい、負けたら悔しい。そんな当たり前のことですら、感じられなくなっていた自分がいた。不安が、恐怖が、その気持ちすらも覆い隠していたから。勝利を喜ぶ皆の隣で一緒に喜べない自分が嫌いだった。だからこそ、勝利を喜び涙を流す皆の隣で、一緒に喜んで、涙を流して、肩を抱き合うことが、こんなに幸せだなんて知らなかった。
「くろこ、ありがとう…っ、わたし、いま、しあわせだ…!」ってぽろぽろ泣きながらも、花が咲くように笑った🌸の顔を、黒子はずっと望んでいた。釣られるように涙を流して「はい…!僕も、幸せです…!🌸さんがいてくれたから、こんなにも、嬉しくて、幸せで…っ、だから、僕の方こそ、ありがとうございます、🌸さん」って笑った黒子に🌸の瞳から益々涙が溢れ出す。
私に、幸せな気持ちを、思い出させてくれてありがとう。
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