つぶやきの部屋

閲覧数:8496

2025/07/15 00:40

元帝光🌸ちゃんの話【番外編2】
元帝光バスケ部の🌸ちゃん。

アメリカのストリートバスケチームであるJabberwockに対抗すべく集められたキセキの世代。全員が揃うと流石に圧巻、と言うべきか威圧感が凄まじい。とは言え、桃井や🌸にとっては見慣れた光景でもあり、同時に懐かしく嬉しい光景でもあった。またこうして、みんなが揃って同じチームでバスケをすることができる日が来るなんて、と涙を浮かべる桃井の隣で、🌸も小さく微笑んだ。

「黒子?どこ行くの?」「少し出てきます。野暮用です」「ふうん。気をつけてね」「はい」 そう言って景虎に続いて体育館を出ていった黒子を見送ったものの、何となく嫌な予感がした🌸はこっそりその後を付けた。予想通り、景虎に続いて黒子が足を踏み入れたのは六本木のキャバクラ。景虎や黒子に続いて店内へ入ろうとした🌸だったが当然未成年である🌸は止められてしまう。

「い、今入っていった人がお父さんで…!」 と苦しい言い訳に訝しげな表情をしながらも入店を許可してくれた店員に心の中で謝りながら駆け出した🌸は、目の前で起きた出来事にカッと頭に血が昇った。足蹴にされた黒子と、そんな黒子に伸ばされた手。反射的に駆け出して、その手をバシリと叩き落とした🌸が「私たちの、大事なチームメイトに何してるんですか」 と怒りで声を震わせた。

「おいおい、一人で乗り込んできた挙句に女に守られてちゃ世話ねぇなァ!」 とゲラゲラ下品な笑い声をあげるシルバーに対して、ナッシュは「いきなり人の手を叩き落とすなんて、随分乱暴な女だな」 と静かに🌸を睨み付ける。「バスケで勝てないからってコート外で手を出すような奴が触ったら弱虫が伝染るでしょ。それに、アンタたちみたいな奴らにみんなは負けない」 と挑発に近い発言をした🌸にナッシュが一歩近付く。

「へぇ…おもしれェこと言うじゃねぇか」 と口角を上げたナッシュだったが、次の瞬間、🌸の小さな体が文字通り吹き飛んだ。理由は簡単、🌸の拳より一回りも二回りも大きいナッシュの拳が🌸の頬を思い切り殴り飛ばしたからだった。「ッ🌸さん!!」 と悲鳴にも似たような黒子の声が響く中、突然の衝撃と痛みに何が起きたのか分からずに倒れ込んだ🌸に再びナッシュが近付く。

そして、あろうことか倒れ込んだ🌸の腹部を思い切り蹴り上げた。「ぁ…っぐ、ぅえ、…っ、げほっげほっ、」 と苦しそうに喘ぎ、咳き込む🌸を冷めた目で見下ろして「テメェ、誰に向かって口きいてんだよ。なァ?」 と吐き捨てたナッシュが🌸に手を伸ばす。その瞬間「🌸さんに触るな!!」 と黒子が声を上げるものだから、ナッシュの手がぴたりと止まり、苛立たしげな顔で黒子の胸ぐらを掴んだ。

「どいつもこいつも、ぴいぴいうるせェんだよ」 と再び黒子に手を上げようとしたナッシュだったが、飛び込んできた火神と青峰を見て、足を引いた。「げほ、ぁ…っ〜〜ぅ、ッ」 と腹部を抱え込むようにして必死に痛みに耐える🌸に駆け寄った緑間がゆっくりと体を抱いて起こし、顔を覗き込む。「大丈夫、ではなさそうだな」「み、どりま」「少し揺れるぞ」「ぇ、ぁ…っぐ、ぅ…っ、」「我慢しろ」 脂汗をかいて、真っ青な顔をする🌸をふわりと横抱きにした緑間の胸元に小さな🌸の頭が凭れかかる。

安心したのか、気が緩んだのか、くたりと気を失った🌸を見て全員が青筋を浮かべる。黒子が傷付けられたことも勿論だが、何よりも🌸に手を上げたことを到底許せるはずもない。何があったかは分からないが、真っ赤に腫れた🌸の頬が何よりの証拠だ。「明日は地べたを舐めさせてやる」 そう吐き捨てて店を後にした赤司たちは体育館へ戻る道すがら、黒子から事の次第を聞いて再び怒りに震えた。

「ふ…ッざけやがって、あの野郎共…!」「信じられん奴らなのだよ」「ああ、到底許せる行為では無いね」 と全員が憤る中、黄瀬だけが一人静かで黒子が首を傾げる。「黄瀬くん?」「ん?どうしたんスか?黒子っち」「あ、いえ、何でもない…です、」「そっスか?」 といつも通り、に見える黄瀬に首を傾げた黒子だったが瞳の奥に宿った憤怒の色にぞわり、と背筋を冷たい物が這った。

「ッ、🌸ちゃん!!」「ちょっと何があったのよ!?」 と体育館に戻るなり悲鳴をあげた桃井と相田によってテキパキと🌸の手当てが行われて、少しすると閉じられていた🌸の瞼がふるりと震えた。「🌸ちゃん!」「さ、つき…?」「もう本当に心配したんだからね!なんであんな無茶するの!バカバカバカ!」 と泣きながら🌸に抱きつく桃井に目をぱちぱちと瞬かせた🌸だったが、頬と腹の痛みにハッとしてようやく自分の状況を理解した。

そして、背後に感じる冷たい怒りにゆっくり振り返って、後悔した。ニコリと綺麗な顔で微笑んでいるはずなのに、笑っているように見えない赤司の表情に「ぇ…っ、と、あの、あかし、さん。ごめん、なさい、」 と震えながら謝れば「それは何に対する謝罪だい?」 と返される。「むちゃな、ことを、しま…した、」 と震える声で返せばため息を吐いた赤司が🌸の前に膝をついてしゃがみ込み「俺たちに心配をかけたことと、こんなに酷い怪我をしたことを反省して欲しいね」 と🌸の額を軽く小突いた。

「黒子だけじゃなく、🌸までいないと気付いた時は肝が冷えたよ。黒子もそうだけど、本当にお前たちは予想できない動きをするね」 と淡々と怒られ、それが事実であるが故に言い返すことも出来ずに項垂れる。「マジで何で🌸ちん喧嘩売ったの?馬鹿なの?」「うぐっ」「さすがに無謀だってちょっと考えたら分かんだろ」「うっ」「バカ、どころの話ではないのだよ」「ぐぅっ」 とド正論で詰められてまさにオーバーキル。

がっくり肩を落として「ごめんなさい…」 と謝った🌸だったが、黄瀬と目が合うなりヒュッと息を飲んだ。美人は怒ると怖い、とはよく言ったもので、表情の抜け落ちた黄瀬の怖いこと怖いこと。「🌸っち、マジで何考えてんスか」 と静かな声で近付いて来た黄瀬を見て、🌸の隣にいた桃井は静かにその場を離れた。正直離れないで欲しかった、と泣きそうになりながら🌸は黄瀬を見つめる。

するりと手首を掴まれて力を込められ「い、た…っ、」 と声を漏らすが黄瀬は手を緩めない。「俺、全然本気で掴んでないっスよ。それなに、振りほどけすらしないよね。何であの場所で、あの状況で俺らのこと呼ぼうって思わなかったの?」 と首を傾げた黄瀬に「咄嗟、というか、必死というか、とにかくイラッとして、反射的に…」 とたどたどしく返す🌸に黄瀬がギリ、と歯を食いしばる。

「心配、かけさせないで、マジで…おれ、怖くて動けなかったんスよ、あん時。手も足も震えて、声も出なくて、マジでもう、あんな思いはごめんっス」 と力いっぱい黄瀬に抱きしめられて、🌸の瞳からぽろりと涙が零れ落ちる。「ごめ、ごめん…っ、わたしも、こわ、かった…っ、もうしない、もうしないからぁ…っ、」 と黄瀬に縋り付くように腕を回した🌸が泣きじゃくる。

「約束っスよ。もう、あんな危ないこと、しちゃダメだからね」 と小指を差し出した黄瀬に、自分の小指を絡めながら「うん…っ、うんっ…!」 と溢れる涙を拭う🌸を見て全員がホッと息を吐く。「黒子と🌸のお返しを、きちんと、しないといけないね」 と微笑んだ赤司はもちろんの事、全員が同じ気持ちでその言葉に頷いた。




prev / next

topつぶやきの部屋

ALICE+