「諏訪、飲み行かない?」

出会い頭にそう言って俺の肩に腕を回すこいつは密かに俺の好きな女である。

「あ?またかよ、この間行ったろ」
「それ1週間前じゃん」
「そんな連日行くもんじゃねぇだろ」
「連日じゃない、週1」
「似たようなもんだろ」

俺の好きなタイプはもっとこう…可愛い系だと思っていたはずなのに好きになった女は言っちゃ悪いが男友達と言う表現の方が似合うような女だった。

「あれ、梓さん?」
「やーん!堤くん!久しぶりー!」
「お久しぶりです」
「笹森くんも久しぶりだねー」
「は、はい!お久しぶりです!」
「やだもー!かわいいー!」

たまたま近くを通りかかった堤と日佐人にハグをしてきゃいきゃいとはしゃぐ梓。ついこの間アメリカに行ったとか言ってたけどここは日本だ。ホイホイ抱きつくんじゃねぇ。

「誰にでも手出すんじゃねぇ!」
「人聞き悪いこと言わないでよ!」

なんて、素直に言うことも出来ずそれっぽい理由をつけて日佐人に抱きつく梓を引きはがす。

「諏訪隊って今日防衛任務ないでしょ?この後18時にラウンジね、いつものとこ行くから」
「は?あ、おい!梓!」

反論させまいと一息に喋っていなくなった梓の背中を見ながら大きなため息をつく。そんな早い時間から何時間飲む気なんだ。

「諏訪さん、また飲みに行くんですか?」
「しゃーねぇだろ、あいつが行くっていうんだから」
「諏訪さん、梓さんには甘いですよね」
「あ''!?」
「確かに梓さんの誘い断ってるとこ見たことないですよね」

そんなの理由も含めて自分が一番良く分かってる。好きな女の誘い断れるか!なんてことは言えずそんなことねぇよ、とだけ言ってスマホを見る。18時って1時間後じゃねえか、ふざけんな。

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