「天馬?」
「どうした?」
「いやこっちのセリフ。人の顔じっと見てどうしたの?」
「あー、いや…」
私の顔を見つめたまま動かない天馬に声をかけると不思議そうに首を傾げる。いや不思議なのは私なんですけどね。私の言葉に口篭る天馬に今度は私が首を傾げる。ほんとにどうしたの?
「私に見とれちゃった?」
「なっ、!」
「え、冗談だったのに…」
「渚!」
「はいはい、可愛い彼女に見とれてたのね可愛いなあ天馬は」
「ち、ちが、!」
「違うの?」
「うぐっ」
「ふふ、ごめんて。からかいすぎた」
「…子供扱いすんなよ」
「してないよ?天馬は私の大好きな彼氏様ですから」
「そういうことをホイホイ言うな!」
「なんでよ、いいじゃない。天馬もたまには好きだよって言ってくれればいいのに」
年齢的には私の方が上、ということもあってこうして天馬をからかう事が多い。真っ赤な顔で反抗してくる天馬が可愛くてどうしても止められなくて。どうしても私だけが天馬を好きなんじゃないかって、思ってしまう時があって。少し拗ねるような口調になってしまった。大人げないなあ、自分。
「ちゃんと、好きだ」
「え?」
「好きじゃなきゃ、付き合ってないだろ」
「天馬…」
「ちゃんと、好きだから。あ、愛してるから、心配すんな」
「…うん」
私の頭に手を置いて、真っ赤な顔で真っ直ぐ私を見つめる天馬と目を合わせる。あぁ、これだから私の彼氏は世界で一番かっこいい。
2017/08/09 執筆