君が照れるのならいくらでも

「せっつばんり、って珍しい名前だよね」

「あ?そうか?」

「せっつ、って最初見た時読めなかったもん」

「ふーん」

「ひょうどうじゅうざ、も珍しいよね」

「兵頭と知り合いなのかよ」

「うん。この間ちょっとね」

「ちょっとって何だよ」

「あー…その、絡まれてた所を助けてもらった、みたいな?」

「聞いてねえんだけど」

「その…ごめん…」

「俺がそれを知らなかったってのもムカつくけど、渚を助けたのが兵頭ってのもムカつく」

ひょんなことから心配かけまいと隠していた先日の出来事を白状させられた。明らかに不機嫌そうな声で私の隣に座る万里を恐る恐る見上げると案の定不機嫌です、って顔をしていた。やっちゃった。

「怒ってる?」

「怒ってんじゃなくてムカついてんだよ」

「一緒じゃん…」

「なんで俺のこと呼ばなかったんだよ」

「だって万里、至さんとゲームするって言ってたから…邪魔しちゃ、悪いなって…」

「またそーゆーことあったら絶対俺のこと呼べよ」

「うん。わかった。ありがと」

「至さんとのゲームよりお前の方が大事だっての」

「っ、!ほんと?」

「当たり前だろ」

「ふふっ」

「なに笑ってんだよ」

「万里、すきだよ」

「は、はあ!?」

「だいすき」

「…俺も」

2017/08/02 執筆

ALICE+