左京がMANKAIカンパニーという劇団に入ったことを迫田から聞いた。私には全く何も話してくれなかった左京をとっ捕まえて話を聞いた。へえ、ふうん、そう。
「で?初恋の女の子と一つ屋根の下で暮らしてると?」
「…その言い方は止めろ」
「事実でしょ。ついこの間まで壊そうとしてた劇団に初恋の女の子の為に入団したんだもんね」
「何怒ってんだ」
「怒ってませんけど?」
「嘘つけ。こっち見ろ」
「嫌」
「おい、渚」
「離して!」
「…何で泣いてんだ」
「泣いてない!」
「はあ…俺が劇団に入ったのは別にアイツを追いかけてった訳じゃねえ。俺自身の為だ」
「…嘘。絶対3割くらいはその女の子が理由のくせに」
「まあ、確かにゼロではないな」
「ほら見ろ。左京のむっつりすけべ」
「誰に向かって言ってんだてめえ」
「左京以外にいないでしょ。何すっとぼけたこと言ってんのよ」
「はあ…昔の話だ。今はお前だけだよ」
「…またすぐそうやって」
「ほんとだ。何なら行動で示してやろうか?」
「えっ、い、いい!いらない!」
「何今更照れてんだ」
「顔近い!離れ、んっ」
さっきまで珍しく申し訳なさそうな顔をしていた左京に内心よっしゃ!勝った!とか思ってた自分を殴りたい。腰と後頭部に回った手から逃げられたことなんてただの1度もない。
「んっ…ふ、っんんっ、ぷはっ」
「まだ分かんねえか?」
「わ、わかった、わかったから」
「お前は俺のもので俺はお前のものだって、もう一回体に教えてやるよ」
「へ、ちょっ、まっ…んむっ」
2017/08/04 執筆