「たるち」
「はい?」
「サイン」
「あぁ、それ?」
「ハンネでしょ、それ」
「そ、大正解」
「身バレすんじゃない?」
「大丈夫でしょ」
「会社では超エリートの茅ヶ崎至が本当は超ガチゲーマーで演劇やってます、なんて誰が想像するかね」
「そういうこと」
テレビに向かってコントローラーを操作する至を眺めながらソファに座る。最近持ち込んだシロクマの大きなクッションはふかふかで気持ちいい。
「んー、んー?んー…」
「何してんの?」
「シロクマくんと戯れてるー」
「肝心のシロクマくんは顔潰れてるけど?」
「私が抱き潰してる」
「ふぅん…じゃあ渚のことも抱き潰してあげようか」
「…はい?」
「ほら、こっちおいで」
「なんでベッド…てか、抱き潰すって…」
「明日の朝、立てなくしてあげる」
「え、遠慮しときます!」
「はいはい、逃げない」
「は、離して!や、ちょ、っん、」
「大丈夫大丈夫、優しくするから」
「ちょ、まっ、うそ、!」
2017/08/09 執筆