意識の中でまこちゃん達をボコボコにしてきたことを話したら何故かまこちゃんの機嫌が悪くなって叩かれた。全くもって解せない。探索に行った健太郎と一哉が戻って来るまでとりあえずする事はないらしいので康次郎とザキと一緒に話をして待つ。まこちゃんに叩かれた頭をさすってたら康次郎がポンポンと撫でてくれたおかげでちょっと機嫌はなおった。途中で高尾が爆笑しながら寄ってきたけど適当にあしらう。

「戻ってこないってことはあの子がいても探索できるようになったってことかな」
「もしくはアイツらの身に何か起きたか、だな」
「何かって何だよ…演技でもねぇこと言うなよな」
「何かあったとしたらあの子でしょ。そろそろアクション仕掛けて来る頃合だと思うけど」
「何でそんな楽しそうなんだよ、お前」
「ザキは愉しくないの?」
「まあ、ゲームっぽくて楽しいとは思ってるけど」
「ちっがーう!そうじゃない」
「葉月が愉しんでるのは人間関係だろう」
「お前、"たのしい"の漢字どっち使った?なあ、それどっちだ?」

体育館の隅に座って話をする。探索に行かないで待ってる側がこんなに暇だとは思わなかった。他の学校の人達は表情を見た感じ心配でソワソワしている。なるほど、自分の学校のメンバーが探索に行ってるのに微塵も心配する素振りのない私達がおかしいだけのようだ。他の人たちが探索に行った誠凛を心配する中、ケラケラと笑う私たちに厳しい視線を向ける人達が数人。

体育館の扉がガラリと開く重い音と共に姿を現したのは健太郎と一哉。私の顔を見て「あ、生きてる」なんて失礼なことを言う一哉をジトリと睨めば「めんごめんご〜」とへらへら笑い出す。まこちゃんと話を終えて戻ってきた健太郎が私に「大丈夫?」と聞いてくる。返事をしつつ、貸してくれたブレザーを返せば受け取ったブレザーに袖を通して、私の隣に座った健太郎は早々に寝る体勢に入った。

「寝るの?」
「色んな意味で疲れたからさ」
「…ああ、あの子?」
「うん。多分葉月が思ってる通りだよ」
「何?あの子ボロ出したの?」

健太郎の視線の先を辿れば誠凛のメンバーと一緒にニコニコ笑ってる西条さんの姿。話を聞いて思わず笑ってしまった。なるほど、彼女は私たちの撹乱係という訳か。というか、青い紙って時点で怪しい予感が凄い。前に私が青い紙が入っているであろう箱を開けた時、それはトラップだった。赤い箱は今のところトラップだったことは一度もない。

まあ見つかった個数から考えても確定することは出来ないけど、青いアイテムが出てくると悪いことしか起きてない。2個見つかって2個とも私達にとってプラスになってない。赤い箱はびっくりするくらい私達にヒントをくれてる。しかも紙だけが単独で置いてあったとなると更に怪しい。健太郎の言ってた通り誰かが置いたと考えるのが妥当だろう。

「一つ言っていい?」
「なに?俺寝たいんだけど」
「赤いアイテムは私達にとってプラスになってるよね」
「そうだね」
「けど、青いアイテムは私達にとってマイナスになってる」
「うん」
「何となく私が裏切り者に見えるように誘導されてる気がするんだけど」
「気がするんじゃなくて、誘導されてるんじゃないの」

ずっと冷静だったけど、一度冷静になって第三者的視線で考えてみれば、現段階で一番怪しいのは私なのではないか、という結論に至ってしまった。西条サンによって開けられた赤い宝箱、そしてその中から出てきたアイテムは私達の脱出を助けるものだったが、私によって開けられた宝箱とそれと関係があると思しき青いアイテムは私達の脱出に悪影響を及ぼすものだった。

単純に考えれば私達をここから脱出できなくする為に私が何かしらの妨害をしているのではないかと、疑われてもおかしくない訳だ。それに私がいないと探索が出来なかった、という事実も私が他の人の目を盗んで何かを仕掛けていたと思われてもおかしくない。証拠はないし、根拠としても不十分だが今の全体の雰囲気をぶち壊すには十分すぎるものだ。あ、いや、雰囲気ぶち壊してるのはいつもの事なんだけど。

「あの子が裏切り者かもよって言うのと私が裏切り者かもよって言うのだったらどっちがマシかな」
「どっちも言わなくていいでしょ。どんだけ引っ掻き回したいの」
「あれ、聞いてたの」
「聞いてたんじゃなくて聞こえてたんです〜」

ふざけた事を言っているけど実際に言うつもりはない。確かに私が裏切り者だと言っても彼女が裏切り者だと言っても面白いくらいに場を引っ掻き回せるのは目に見えてる。けれど、この状況でそれをやればここから脱出できる可能性を下げることになる。そんなバカなことできないし、したくない。それに、私と彼女が怪しいことは賢いあの3人なら気づいているはず。つまり、私がなにかするまでもなく彼らがどうにかしてくれる。私はあいつの言う通りに動くだけだ。

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