「諏訪さん諏訪さん」
「あ?」
「抱っこ」
「ん、」



いつもの様に座っている諏訪の足の間に収まる梓。最初の方こそお互い照れていたが最近ではそれがスタンダードになりつつある。



「何読んでんの?」
「んー…」



最近買った新しいミステリー小説に夢中になる諏訪に構ってもらえず拗ねる梓。



「ねー、諏訪さーん」
「待て、今いいとこなんだよ」
「むー」



振り返って抱きついても微妙な返事をする諏訪に更に拗ねる梓。



「ん?梓…」
「わっ、なに?」
「シャンプー変えた?」
「よく気づいたね、嫌だった?」
「いや、こっちの方がいいな」
「じゃあこれからこっちにする!」



先程まで拗ねていたのはどこへやら。シャンプーを変えたことに気づいてくれた嬉しさに梓のテンションが上がる。



「んむっ!?」



ふっと諏訪が近くに来たと思った瞬間塞がれる口に目を丸くする梓。キスをした張本人である諏訪はしれっとしている。



「な、な、なん、」
「何今更照れてんだよ」
「え、や、だって…」
「何回もしてんだろ」
「いや、そうだけど…」
「おら、こっち向け」
「わー!待って待って!」



どこでスイッチが入ったのか。完全に夜の目になる諏訪に戸惑う。がっつり腰をホールドされ、後頭部を押さえる手に嫌な予感しかしない。



「え、ねぇ、ちょ、」
「待たねぇからな」
「っ!」


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