「たっだいまー!」
「自分の家みたいに入りますね」
「私の第二の家」
「いつからっすか」
「物心ついた時から」
「へぇ」
「なんだその返事は」
「いえ、別に」

玉狛支部の扉を開けて京介よりも先に中に入る。昔からお泊り会と称して遊びに来ていたここは私にとっても第二の家のようなものなのだ。私が来た時に使う用の食器も実はちょこちょこ置いてあったりする。呆れた様子の京介にふざけて返す。

「…ねぇ」
「はい?」
「なんか靴多くない?彼女でも連れ込んでるの?」
「…………」
「ごめんって、私が悪かったからそんな目しないで」
「新入りっすよ」
「新入り?玉狛に?」
「そうだ、おれのな」
「うわ!びっくりした…背後をとるな…背後を…」

玄関に入ってすぐいつもよりも靴が多いことに気が付いた。振り返って後ろにいる京介を茶化せばもの凄い怖い顔の京介に睨まれた。ちょこっとふざけただけだったのに京介の気に障ることを言ってしまったみたいだ。じゃあこの靴は誰のなのだろうと考えていると後ろから聞きなれた声が聞こえてくる。突然のことに驚いて振り返れば雷神丸に乗った陽太郎の姿が目に入る。

「ふっ、まだまだだな」
「生意気」
「わー!なにをする!」
「くすぐりの刑で〜す」
「とりまるー!たすけろー!」
「おらおら、参ったか」
「梓先輩、大人気ないっすよ」
「遊んであげてるの、ねー?雷神丸。わ、今日もフカフカだなー!」

驚く私を見てニヤニヤと笑う陽太郎の脇腹をくすぐって参ったと言わせようとすれば隣でそれを見ていた京介が本日何度目かの呆れた視線を向けてくる。笑いすぎてひいひい言っている陽太郎を廊下に転がしてぼーっと立つ雷神丸の頭をわしゃわしゃと撫でてやる。

「くっ…つよくなったな、梓」
「あら、ありがと」
「でも、おれのこうはいはもっとつよいぞ!」
「へぇ…じゃあお手合わせ願おうかな」
「梓先輩、悪い顔してますよ」
「失礼だな」
「悪役の顔してました」
「今日なんでそんな私にあたり強いの」
「気のせいじゃないすか?」

雷神丸を可愛がっていると演技じみた様子で立ち上がった陽太郎が口を開く。そんな陽太郎が可愛くて頭を撫でてやれば満足そうに笑う。そんな私に胸を張って後輩の話をする陽太郎に後輩なんていたっけ、と思いながらも話を合わせてやれば陽太郎はまた満足そうに笑った。玉狛に新しく後輩が入ったということは模擬戦をしてくれる人が増えたということで。ワクワクしていると先ほどまで静かにしていた京介がぼそりと呟いた。


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