貴方の誠実さを信じているから

黒尾がご飯に連れてってくれるって言うからるんるんで待ち合わせの場所に行った雛。でも中々黒尾が来なくて寒空の下ずっと待ってる。メッセージを送っても返事は無いし、電話も電源切れてて繋がらなくて、何かあったのかなって不安になりながらずっと待ってる。

孤爪に『黒尾さんと連絡取れないんだけどなんか知ってる?』ってメッセージを送ったらすぐに電話がかかってきて「どうしたの?急に」って開口一番そう言われて「いや、ご飯一緒に行く約束してて、時間過ぎても来ないし連絡も取れなくてさ。黒尾さんそういうのちゃんとしてる人じゃん?だから、なんかあったのかと思って心配で」ってちょっと冗談っぽく笑いながら言う。

「俺も連絡してみる。ていうか待ち合わせって事は今外にいる?」って言われて「うん?そうだよ」って返したら「どっか店入ってなよ。風邪ひくよ」って言われてしまう。「うーん…それはそうなんだけど…」って微妙な返事をする雛に孤爪が「けど?」って続きを促したら「電波が届かないって事はさ、電源切れてるかもって事じゃん?もし何かあって遅れてるだけだとしたら合流できなくなっちゃうから…」って困ったように言うから盛大なため息を吐いてしまう。

「ほんっと、バカだよね。雛って」「え、なんでよ」「何でもない。あんまりにも遅ければ帰りなよ。それくらいでクロ怒んないし」「あはは、そうする!ありがとね」って電話を切ってきょろきょろ辺りを見回すけど黒尾っぽい人は全然いないからネットを見ながら時間を潰す。

待ち合わせから一時間経って、二時間経って。全然来なくて時間も遅くなってくるし、寒くて指先も紫になってくるし、人通りも少なくなってきてちょっと寂しくなって来てたら黒尾から電話がかかってきて慌てて出る。「もしも…」「今どこにいる!?」「うぇ、え、駅前にいますけど…」って雛の言葉を遮った黒尾に押されながらも居場所を伝える。

「マッッッジで悪い!!!いやメッセージ送ったつもりだったんだけど、エラーになってて…って、そんなのどうでもいいよな…いや、もうほんとに、クッソ…!悪い、今向かってるから…!」って黒尾にしては珍しく慌てたような狼狽えるような声で話しててちょっと新鮮だなあって笑っちゃう。

「あはは!黒尾さんがそんなに慌ててるの、初めて見たかも。急がなくていいので、ゆっくり来てください」って笑ったら「連絡も無しに待ち合わせに数時間遅れてて慌てない訳ないでしょ、ほんとにもう…」って呆れたような声が返ってくる。

「とにかく、すぐ行くから…!今いる店のリンク送っといて!」って電話を切られてしまって「あっ、ええ……切られてる……」って苦笑いしながら『最初に待ち合わせしようって言ってた場所にいますよ』って送ったら未読のままで(多分めっちゃ走ってるんだろうなあ)って笑っちゃう。

両手に息を吐きかけてあっためながら待ってたら大声で名前を呼ばれて顔を上げる。「あ、黒尾さん」って手を振ったら走ってきた黒尾が息を切らしながら「はあ…っ、はあっ…ほんと、はっ…わるい…っ」って謝ってくるから「気にしないで下さい。それより、急がせちゃってごめんなさい。汗冷えたら風邪ひいちゃいますよ」ってハンカチで汗を拭ったら、額に触れた雛の指の冷たさに黒尾がぎょっとする。

ぱしっと反射的に雛の手を掴んでまじまじと見てから「まさか、ずっとここにいた…?」って恐る恐る聞いたら「あー、えっと…平気ですよ。そんなに寒くなかったし」ってへにゃっと笑うから自分の上着を脱いで雛に着せる。

「マジでほんとに…!」って荒々しく舌打ちをした黒尾ががばっと雛を抱きしめるから「おわ!?黒尾さん?」って雛もびっくり。「ほんとに、ごめん。どんな理由があっても、約束すっぽかしたのは俺だ。ほんとに、悪い」って苦しそうに黒尾が言うから「あの、ほんとに全然気にしてないので…」って苦笑い。

あまりにもけろっとしてるから黒尾が「もっと怒っていいんだよ…?」って言えば「だって黒尾さんは理由なく約束すっぽかす人じゃないでしょ?私の為にこんなに必死に走って来てくれるんだから、何か理由があったんだなって、しょうがないなって思うに決まってるじゃないですか」ってふわっと笑うから「…ほんと、何でそんな良い子なんだよ」って益々抱きしめられる。

話を聞けば夕方にトラブルが起こってしまって待ち合わせの時間に遅れる可能性が高かったから雛にメッセージを送ったもののエラーで送れていなくて、挙句充電も切れてしまい連絡できず。まさかエラーになってるとは思っていなかった為、トラブルの対応を終えて家に帰り、充電器にスマホを繋いで充電が復活したタイミングで孤爪から連絡を貰い、雛がまだ待っているかもと聞いて慌てて家を飛び出したらしい。

話を聞いて「黒尾さんが事故ったとかじゃなくて良かったです」って笑った雛に(もう俺、絶対雛ちゃんのこと大事にしよう)って心に誓う黒尾はいるし、その日は家まで送り届けて後日謝罪の品を持って行くし、とびきり高い良いお店に連れて行ったりでめちゃめちゃ尽くすから雛が半泣きで「研磨たすけて…黒尾さんが貢いでくる…」って助けを求めてる。

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