友人に頼み込まれて1日だけやったバイト先がまさかの夜のお店の裏方だった雛。「ちょっとだけだから!」って言われて何故か外で通行人にティッシュを配る役を任命されてしまい泣く泣くやってたらかつての旧友達にバッチリ目撃されてしまい血の気が引く。
「雛?」「…ッエ゛、ひ、人違いじゃ、ないです、かね…」「俺らが雛を見間違える訳ないだろ」「こっち向けバカ雛」「ひ、ひぃぃ…か、勘弁してくださいい…」って縁下、成田、木下に肩掴まれて必死に顔を逸らすけど、もう大分手遅れだしとっくに気付かれてる。
一瞬手が離れた瞬間によし逃げようと思ったけど、ガシッと肩を掴まれてビクゥッ!って肩が跳ねる。「雛、何時まで?」って縁下の静かな声が聞こえてギギギ…って恐る恐る振り返ったらニッコリ笑った縁下が立ってて半泣きになりながら「あと…いちじかんです…」って答えれば「そう。俺達、ここで待ってるから」って言われて(アッッ終わった……)って心の中で手を合わせるよね。
泣きながら控え室に戻って臨時のお手伝いを感謝されるけど、この後の恐怖を思うと全然嬉しくないし涙止まんない。このまま帰ろうかな…とも思ったけど後の事を考えたら怖すぎてブッチする勇気なんて無い。恐る恐るさっきの場所に向かえば何故かさっきまでいなかった田中も合流してて頭を抱える。
項垂れる雛に木下が気付いて皆が駆け寄ってくるけど全員顔怖すぎて1歩後ずされば「どこ行くの?雛?」って縁下に腕掴まれて怖すぎてマジ泣き。「ちが…、ちがうってばぁ…」って訴えるけど「何が違うんだよ」「いやまさかそういうバイトしてるとは思わなかったわ」「もっと他にあるだろ」「さすがにノヤも黙ってないと思うぞ」って皆に言われてどんどん縮こまる。
「と、ともだちが…1日だけっていうからぁ…」って言っても「そういうバイトだって知らなかったってこと?」って言われたらそういう訳でもなくて「いや、その…わかって、た…けど…こまってた、から…」ってたどたどしく言えば「へぇ。そういうバイトって分かってて引き受けた訳?」って縁下の静かな声が響いてビシッッと固まる。
「ご、ごめんなさぃ…」って謝るけど「何かあったらどうするんだよ」って言われて返す言葉も無い。「お前は1日だけのお手伝いのつもりかもしれないけど、お前を見た知らない男達はお前がその店で働いてると思うんだぞ」って言われて「そ、それは…まあ、そうですね…」って返したら「俺が言いたいこと分かってないだろ」って言われてしまい図星で固まる。
「ご、ごめんなさい…」ってまた謝れば大きくため息を吐いたエンノシタが「お前が、変な男に絡まれたり目付けられたりしたら困るから言ってるんだけど」って言うから心配されてるんだ、大事にされてるんだって思って申し訳なさが増す。「…ごめんなさい」って何度目かの謝罪をすれば、困ったように笑ったエンノシタに優しく頭をぽんっと撫でられて「何にもなくて、よかった」って言われるから胸がきゅううんってなる。
「最初嘘だと思ったよな」「分かる。雛はこういう仕事選ばないと思ってたし」「多分頼まれて渋々だろうなって話してたけどそれもビンゴだったな」って皆が笑って言うから「そこまでバレてたの!?」ってびっくり。「当たり前だろ。何年一緒にいると思ってんだよ」って笑われて「みんなすご…」ってなっちゃうね。
「昔から人に好かれすぎるから、皆心配してんだよ」「過保護すぎって思われてもちょっと目離すと大事になってるからな、お前」「分かる。完全に巻き込まれ体質なんだよな」って言われて「そ、そんなこと…」って言いつつも思い返すと確かに色んなトラブルに巻き込まれてたし常に何かしら起こってたな…?って思い当たる節が多すぎて苦笑いしか出ない。
「でも、私が色んなことに巻き込まれると皆が一緒にいてくれるから、それが嬉しくてわざと巻き込まれに行っちゃってるのかも」って悪戯っ子みたいに雛がクスクス笑うから皆きょとんと目を瞬かせてから「ったくお前はほんとによぉ!」って田中がぐしゃぐしゃ〜!って頭を撫でて「そういうとこ!そういうことするから寄ってくるんだよ!」「これを素で言っちゃうのが雛だよなぁ〜!」って木下と成田も頭を抱える。
「なになに!?なんか変なこと言った!?」ってあわあわする雛の頭をまたぽんぽんって撫でた縁下が「雛の、そういう所がみんな大好きってことだよ」って言うから、今度は雛がきょとんと目を瞬かせてから「〜〜ッ!私も皆のこと大好き!」って嬉しそうに笑って飛びつくよ。