電車で後ろに立ってる人が近いなぁやだなぁって思ってた雛。離れたいな、と思った瞬間、するって急に触られてひゅっと息を飲む。逃げようにも人がいっぱいで動けなくて泣きそうになりながらカバンを両手でぎゅううっと抱きしめて耐えてれば「何してんだオッサン」って黒尾の声が聞こえる。
背中に回った手に抱き寄せられてあっという間に黒尾の香りに包まれて、背中に触れた手がとんとんって落ち着かせるように動くからドッと安心感が押し寄せてきてぶわっと涙が溢れる。「な、なんだお前…!何もしてないだろ…!」って焦ったように声をあげる男に「何も?じゃあこの手はなんだよ」って苛立ったような声で男の手首を黒尾の大きな手がぎりぎり握り締めるから男が痛みで声を上げる。
周りの人達も徐々に異変に気付いてきて視線が集まってくるから男はどんどん居心地悪くなって顔色が青くなる。近くにいた他の男の人たちが協力してくれて止まった駅で速攻駅員に引き渡された男がギロッと雛を睨むから「…ッ、」ってびくっと肩を跳ねさせた雛が黒尾にぎゅっと縋り付く。
駅員に話をつけて詳しい話は明日に、ってことにしてくれた黒尾に手を引かれてちょっとオシャレな半個室のあるカフェに連れていかれる。「雛ちゃん、おいで」って優しい声で手を広げられたら飛びつかない訳がなくてぽろぽろ涙を流しながら黒尾の腕の中に飛び込めば「怖かったな。もう大丈夫だから」って優しく背中を撫でられて小さい子みたいに泣いちゃう。
少ししてぐすぐす鼻をすすりながら「…ごめんなさい、」ってちっちゃい声で謝れば「何で雛ちゃんが謝んの。何にも悪いことしてないだろ」ってぽんぽんって頭を撫でられるから「だって、黒尾さんにめいわく…」って言ったら「困ってる可愛い後輩助けんのに迷惑な訳ないだろ。次謝ったら怒るぞ」って全然痛くない軽いデコピンをされる。
「……くろおさん、ありがとう…」ってまたぽろぽろ涙を流しちゃう雛がいるから、ふわっと笑った黒尾が「どういたしまして。スッキリするまで泣いちゃいな」って抱きしめてくれるから黒尾の腕の中でまたぼろぼろ泣いちゃう。「落ち着いた?」って目元の涙を大きな手で優しく拭われて「うん…」って頷けば頭をぽんぽんって撫でられて「何か飲むか。ほら、何がいい?」ってメニュー見せられるから「…これ、」ってカフェオレを指差す。
「これな。ケーキは?」って別のページも見せてくれるから「…ちょこ、」って言えば「チョコな。お、これは?いちごも乗ってる」って笑いながら見せてくれるから「それにする…」って頷く。注文したものが席に運ばれてくるまで頭を撫でながらずっと色んな話をしてくれて注文したものが届いてからもずっと話してくれるし、ずっと隣にいてくれるからちょっとずつ元気になっていく。
その日は家まで送ってくれて夜も電話くれるし、翌日警察で話を聞かせて欲しいって言われて行く時も一緒に来てくれるし、警察の不躾な質問に怖い顔で「女性の方、いないんですか?」って雛以上にピリついてるから警察もタジタジ。
「雛ちゃん、ごめん。思い出すの嫌かもしんねぇけど、あの時の状況教えてもらっていい?ゆっくりでいいから。俺に教えて?」って大きな手で震える雛の両手をぎゅっと握りしめて優しく微笑んでくれるから、ゆっくりだけどちゃんと話せるし全部話し終わったら「ありがとう。嫌なことなのに、ちゃんと話してくれて助かった。ごめんな。本当にありがとう」って頭撫でてくれるからアフターケアまでバッチリ。
黒尾の完璧なフォローのお陰で変にトラウマになることもなく、割と早い段階で1人で電車に乗れるようになるし、いつもの元気で明るい雛の笑顔もすぐに戻ってくるから黒尾は一安心。ふとした時にフラッシュバックして怖くなっちゃった雛が「くろおさん、いっしょにいて」って真っ先に頼りにきてくれるから「ん、大丈夫だからな。一緒にいるから。怖いことなんか、何にもねぇよ」って目一杯でろでろに甘やかしちゃうよね。