「おーい、白布っち。」
「しらちん生きてるー?」
「いや、死んでんな。」
「おい黒子、大丈夫なのか?白布…。」
「火神くんが思ってるよりは体力があると思うんで、大丈夫だと思いますよ。」
「これぐらいでバテていては、話しにならないだろう。」
「おまえらね…火神を見習って、もっと俺のこと心配しなさいよ…。」
練習3日目にして、ようやく地獄の特訓メニューにも追い付くようになって来た。
実際は4日目で、俺が合流してから3日目なので、正直遅過ぎるくらいだとは思う。
現に赤司から向けられる視線はどこか痛々しい。
ブランク舐めんな。
吐きはせずとも、1日目、2日目は練習予定時間をオーバーしていたが、今日は時間内に終わることが出来た。
周りが自主練している最中、1人だけメニューをこなしていることの虚しさたるや。
床に倒れ込んでいる俺を見て、火神以外から心配の"し"の字も入っていないような声色で声を掛けられた。
やっぱりこいつら、嫌いだ。
「ユウくん、お疲れ様!あたし張り切って差し入れ作って来ちゃった!」
「!?桃井おま、やめとけ!!白布にトドメ刺す気か!!」
「あー、ユウは放置で良いんだよ。あいつ死なねえから。」
「ハァ!?」
ニッコニコで俺に近付いて、タッパーと可愛くラッピングされた袋を差し出すサツキチ。
それを見ていた若松さんが何かを言っていたが、青峰がそれを静止するように口を挟んでいた。
何を言っているのか解らないが、この究極の空腹を満たせるのであれば受け取る他無い。
「サンキュー」と言いながらサツキチの渡して来たタッパーと袋を手に取り、開けてみたら丸ごとレモンのはちみつ漬けとクッキーが入っていた。
「ど、どうかな、ユウくん…!」
「ああ、んまいよ。クッキーはちょっと黒くて硬いけど、別に問題ねえし。レモンも酸っぱくて皮も柔いから丁度いいわ。」
「ユウくん…!」
「待て待て待て!?白布、何が丁度いいの!?何が問題ないの!?」
「やめろ高尾。あいつには突っ込んだら負けなのだよ。」
「信じらんねえ…桃井のアレ(料理)を平然と食ってるだと…!?」
「あんなん食ってる奴、俺初めて見たわ…。」
長時間寝かされていたのか、柔らかく歯ごたえのよくなったレモンに齧り付き、甘味が欲しくなったところにクッキーを放り込めば、少し固めなほろ苦いクッキーが口の中に広がる。
サクッとしたクッキーの方が好きではあるが、硬いからこそモサモサとしたクッキー独特の感触がなくて今は丁度いい。
高尾から何が丁度いいのか聞かれたから、素直にそれらを説明すれば、高尾だけでなく若松さんも日向さんも心底理解出来ないと言わんばかりの表情を浮かべていた。
この人たちはモサモサとするクッキーが好きなのだろうか。
「あいつだけは昔から、なんでかさつきの殺人料理が食えんだよ。」
「味音痴なんですよ、白布くんは。」
「普通に美味いもの食っても、白布っちは美味いって言うっスからねぇ…。」
「いや、あれは味音痴とかそういうレベルじゃねえだろ!!」
火神の言葉に同意する面々が居たとか居なかったとか。