Welcome,Rain!

■ ■ ■

空が号泣した。突然の土砂降りから身を守るように、一組の男女が店の前で雨宿りをしている。既にびしょ濡れである二人は傘を持っていなかった。その二人の内の女――眞喜は、隣で大量の雨粒を降らせる空を見上げた男――臨也に文句を垂れる。

「……何で傘持って来なかったのよ。アパート出るときに言ったでしょう」

睨むように臨也を見遣る眞喜だが、臨也はそれに堪えていないような素振りである。

「別にいいじゃない、たかだか雨ごとき、そのうちすぐ止むさ」

怒っているのか無言で髪の毛を整える田中に、ちらりと臨也が目をやる。雨に濡れた彼女を見て、臨也は自身が着ていた上着を眞喜に投げて寄越した。

「っ!……何?」

「……それ、上から着なよ」

「……ファーがべちゃべちゃして気持ち悪い」

彼の行動を理解しかねた眞喜は怪訝な顔で上着を見つめる。臨也は大きくため息をつくと、ブラウスを着た田中を指して呆れ顔で言った。

「何で雨なのにブラウスなんか着て来るのさ……。濡れたせいで身体に張り付いてるんだよ」

薄手のブラウスを着ていた##NAME2#は、雨に濡れてほぼくっきりとそのボディラインが浮かび上がっていた。それを臨也に指摘されて自覚した眞喜は、ふと微笑むと臨也の言う通りに上着を着て前のファスナーを上まで上げた。

「まったくホントに……。貴方はちゃんと言葉で言わないと伝わり難いのよ」

その後、雨が止むまでの小一時間、臨也と眞喜は店の前で佇んでいた。


(まぁ、こういうのなら雨もたまには悪くないよねぇ)

(……臨也もその格好だと十分エロいわよ。……特に鎖骨が)