秘密だらけでも

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平日の朝。俺が唯一自由になる時間帯。普段ならこんな朝早く起きることはないのだが、今日は人とちょっとした約束がある。そのため、朝から自転車をとばしてとある公園まで寄り道をしているわけだ。公園の入り口に乗りつけ、自転車のスタンドを立てる。閑散とした公園内を見回すと、すぐに目当ての人物を見つけた。どこか哀愁漂う背中に駆け寄り、声を掛けた。

「待たせたか?」

一瞬だけビクリと肩を跳ねさせたカノジョは小動物のようにふるふると振り向き、俺を自前の両目で確認するとふわりと笑ってみせた。朝比奈さんとはまた違う小動物臭を放つカノジョは眞喜。俺とは北高に通い始めた頃からの付き合いだ。眞喜はそこそこの時間この公園で待ち呆けていたらしく、鼻を赤くし時々すんすんとならしている。

「立ちっぱなしもなんだ、ベンチにでも座ろうぜ」

ひょこひょこと動く眞喜を促し、寄り添ってベンチに腰掛けた。俺がSOS団に入ってからというもの、眞喜とは中々会えないでいた分、今日はゆっくり話そう。俺がそう言いつつも自分から何を話して言いかどもっていると、眞喜は俺の手を握って笑いかけた。

「キョンくんは部活楽しい?」

あの活動は果たして部活と言えるのか?文芸部の部屋を強奪しハルヒの思いつきで行動している団だぞ?けどまぁ、楽しくないわけではないか。なんだかんだいいつつもあの団に入って半年以上経ってるんだもんな。

「まぁ、そこそこだな」

俺が遠くに視線を固定したまま言うと、眞喜はくすりと笑って頷いた。

「そう、それならよかったよ」

……今日は会ってからやけに笑顔だな。

何か嬉しいことでもあったのか?

「うん、キョンくんと会えたからね」

あー……そうか?

「うん」

俺が頭をがしがしと掻きながら苦笑いを披露すると、眞喜はやはりにこりと笑う。その笑顔に、胸の奥がチクリと痛むが、それは今更どうしようもない。本当のところ、俺は眞喜に隠し事をしてばかりだ。主にSOS団のことなんだが。だからなのか、彼女は俺と会う度に『部活は楽しいか?』と聞いてくる。何か行事がある毎におかしなことをおっぱじめる団だ。そりゃ心配にもなるか。
俺が隠し事をしていることも眞喜は知ってるんだろうな。でも眞喜はそれ以上はいつも何も聞いてこない。それは俺が信用されているのか……。

「ん?どうかしたの?」

いつの間にか俺の目は正面の道路から眞喜に移っていたらしく、視界いっぱいに広がる彼女の笑顔を見ていたら考えていたことなどつい消えそうになってしまう。だから眞喜を抱きしめて、いつか話せる日が来るだろうと思いながら『好きだ』と呟いた。それを聞いた彼女はやはり嬉しそうで。俺の背に手をまわしながら言うんだ。

「私も。ありがとう、キョンくん」

おいおい、そんな時くらい本名で呼んでくれよ。

「そうだね、うん。


私も好きだよ……『――――』……」


俺が隠し事してても眞喜がこんなにも喜ぶなら、毎回来る甲斐があるってもんだな。