私たちは何年かぶりに私たちが出会った場所を訪れた。あの丘は今も変わらず、大自然に囲まれている。昔はここでよく虫取りや魚釣りをしていた。そして、京治君がバレーを始めてからは、バレーを教えてもらったりした。
『久しぶりだね』
「全然変わってないな」
出会った場所も、楽しい思い出も、想いが通じ合った場所も全部この丘だった。ここには素敵な思いでしかない。
私たちは丘の中心に着て、そこに座った。ここは二人で花火を見上げた場所だ。
『懐かしいね。ずっとここで京治君と遊んで、すっごく楽しかったなぁ』
「あんなに暑い中よく遊んだよね」
『京治君と一緒だったから暑さなんて気にしてなかったかも』
思い出に浸りながら空を見上げる。あの時とちっとも変わらない青空だった。
『ねぇ、京治君、悩んでることがあったら何でも言って。私、高校の時に京治君に何もしてあげられなかったことすごく悔やんでるの。あの時は幼すぎて、頼りなかったかもしれないけど、今はあの頃よりも成長しているはずだから…。少しでも、京治君が安心して隣にいられる私でありたいの。』
この場所だと、普段は言えないような言葉もスラスラと出てくる。本当に、特別でかけがえのない場所だ。
「もう十分だよ。名前は俺にとってかけがえのない存在になってるから、隣にいてくれるだけでいい。今更どこかにいかれたら、俺、今度こそダメになると思う。」
『ダメになった所も見てみたいかも』
「じゃあ試してみる?」
『え、どうやって?』
「ダメになった俺ってこんな感じだと思うんだよね」
そして隣に座っていた京治君は、私の肩を掴んで静かに地面に押し倒した。その綺麗な目が私を捉える。あまりにも愛おしそうに見つめられるから、とても切なくて、だけど嬉しい気持ちになった。
「俺、…名前なしじゃ生きていけない」
『ちょ、京治君?』
体勢を変えて私にまたがった京治君は、悲痛そうな声で私の首元に顔を埋める。どうしてもそれが演技に見えなくて、心がすごく痛くなった。
「もう、俺から離れていかないで…。傍にいてほしい」
言いながら首元にキスを落とす彼。くすぐったいが愛おしい。
『私どこにもいかないよ』
宥めるように頭をなでると、彼の動きが一瞬止まった。
『京治君が嫌っていうまで離れないから。…だから、どこにもいかないでね。私も、京治君がいなくなったら立ち直れなくなっちゃう』
自分で言っていて泣きそうになってきた。彼と別れたときは、またこんな風に二人でゆっくりできるとは思っていなかった。慈しむように彼の頭を撫でると、黙って受け止めてくれた。
「名前」
首元から顔を上げた京治君の目線は優しく、熱が籠っていた。そして触れるようなキスを私の口元に。
「愛してるよ」
私も、と口を開く余裕もなく、次のキスを落とされた。彼とのキスは毎回とろけそうになるくらい幸せだ。私も彼に応えるように必死に合わせていく。
こうして世界一好きな人と一緒にいること。
私は今後、こんな幸せなことに出会うことはないだろう。
2019.08.31- by ぷんぷん