マネージャー室に夕陽が差し込む。
練習が終わり、片づけをしていた なまえ に声をかけたのは、夏川だった。
「ねぇ、この前ちょっと落ち込んでたでしょ? 顔に出てたよ」
「……っ」
図星を突かれて言葉を詰まらせると、梅本もにこやかに寄ってくる。
「でもさ、なまえが頑張ってるの、ちゃんと見てるからね。みんな」
「そうそう!」と春乃も加わる。「私たち、チームじゃん。悩んでることあったら分け合お?」
少し離れた場所で小田と黒木が後輩らしく大きく頷いた。
「みょうじ先輩が笑ってないと、雰囲気が暗くなっちゃいますよ」
「だから、ちゃんと笑ってください!」
思わず吹き出す。
「……みんな、ありがとう。ほんと、心強い」
胸の奥に重く沈んでいたものが、少しだけ軽くなる。
⸻
その日の帰り道。
グラウンドの外で待っていた御幸が、自然に横に並んで歩き出す。
「お疲れ」
「お疲れさま……」
並んで歩く足音が心地よいリズムを刻む。
しばらく沈黙が続いたあと、不意に御幸が口を開いた。
「……顔、戻ってきたな」
「え?」
「さっきマネ室から出てきた時。やっと、いつものお前の顔だった」
照れくさくて言葉に詰まる。
そんな なまえ を見て、御幸はふっと目を細めた。
「いい仲間だな。お前が一人で全部背負う必要なんて、最初からなかったんだよ」
その声が優しくて、胸に沁みる。
思わず「……うん」と頷くと、御幸は立ち止まり、軽く なまえ のおでこにコツンと自分の額を当てた。
「それでもまた不安になったら、俺が全部受け止めるから」
頬が一気に熱くなる。
御幸はそのまま、なまえ の頬に短く、けれど確かにキスを落とした。
夕暮れの風が少し冷たいのに、胸の奥は温かくて仕方なかった。