プロとしてのシーズンが始まったばかりのある日。
SNSや週刊誌に流れてきた見出しが、なまえの胸を締め付けた。

――【人気若手キャッチャー御幸一也、夜の街で女性と】

画面を閉じても、胸の奥に黒いざわめきが残る。
(プロになったんだから、女の人にモテるのは当たり前……。でも……もし本当だったら……)

なまえはいつも通りに家事をこなし、同棲している部屋で御幸を迎えた。

「ただいまー……」
練習帰りの疲れた声が玄関に響く。
笑顔を作って「おかえり」と出迎えるが、その奥にある不安を御幸が見抜かないはずがない。

「……なまえ」
名前を呼ばれただけで、肩がビクリと跳ねる。
御幸がゆっくり歩み寄り、真正面から視線を合わせてきた。

「隠せてねぇよ。俺のこと疑ってんだろ?」
低く落ちる声に、涙がにじみそうになる。
「だって……ネットに……」
か細い声で言った瞬間、御幸の腕が強く引き寄せる。

「なまえを一切不安にさせたくねぇから話すけど、あの女性は倉持の彼女だ。俺も一緒にいただけ。写真が変な風に撮られただけなんだ」

耳元で囁かれ、心臓が爆発しそうになる。
そして御幸の手がなまえの頬をそっと包み込む。

「俺はなまえしか見てねぇから……他に目移りなんかするかよ」
唇が重なり、甘く長いキス。
不安でいっぱいだった胸が、一気に溶けていく。

「……安心した?」
「うん……」
小さく頷くなまえを、御幸はぎゅっと抱きしめ、額にキス。

「もう大丈夫だ。俺がお前を守る。俺のもんだから」
その言葉に、涙は笑みに変わり、なまえの心は甘く満たされた。



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