休日。久しぶりに練習も試合もない日。
御幸は珍しく朝からソワソワしていた。
「なまえ、ちょっと付き合えよ」
「え、どこ行くの?」
「んー……行けばわかる」
彼に連れられて着いた先は、街の宝飾店だった。
「……え、えっ?!」
驚くなまえに、御幸は視線を逸らしながらぼそっと言った。
「そろそろちゃんとしねぇと、って思ってさ」
ショーケースに並ぶ指輪を前にしても、御幸の表情は真剣そのもの。
一つ一つ丁寧に見比べては、時折ちらりとなまえの顔をうかがう。
そして、あるリングを選んだ時。
「……なぁ、なまえはこの指輪どう思う?」
御幸の声は、普段よりずっと低く落ち着いていた。
「すごく綺麗……」
「そっか。じゃあ、これだな」
スタッフにサイズを確認し、すぐに受け取れるとわかると、御幸はその場で箱を開けた。
そして不意に、膝を折ってなまえの前にしゃがみ込む。
「……俺、野球しかやってこなかったからさ。気の利いたことも言えねぇけど」
「……一也くん……」
「でも、これから先の人生はずっとお前と一緒にいたい。
なまえ、俺と結婚してくれ」
照れで耳まで赤くしながらも、まっすぐになまえの瞳を見据える御幸。
その真剣さに胸がいっぱいになって、なまえは涙をこぼしながら何度も頷いた。
「……はい、喜んで」
御幸の大きな手が、震えながらも指輪をそっとなまえの薬指にはめる。
ぴたりと収まった瞬間、彼の口元に少し不器用な笑みが浮かんだ。
「似合ってる。……やっぱ、俺の見る目間違ってねぇな」
次の瞬間、抱きしめられて耳元で低く囁かれる。
「これでもう、お前は俺のもんだからな」