夕暮れの球場スタンド。
いつものように、マネージャー業をこなしながら、ふとなまえはグラウンドで汗を流す御幸先輩を見つめていた。
だけど、その隣には、いつも熱心に応援している女の子がいる。
彼女は声を張り上げ、御幸に向けて手を振りながら笑顔を輝かせていた。
「……なんであんなに楽しそうなんだろ」
なまえの胸はざわつき、心臓が締め付けられる。
⸻
翌日。
学校の廊下で、思い切って御幸に聞いた。
「ねぇ、一也くん……あの子のこと、どう思ってるの?」
御幸は少し驚いた顔をしてから、穏やかに答えた。
「みんな応援してくれてありがたいと思ってる。でも、それだけだよ。」
その言葉になまえの心は少し安らいだが、まだ複雑な想いが消えない。
夜の帰り道、二人きりの静かな公園。
御幸がそっとなまえの手を包み込み、柔らかな笑みを浮かべる。
「嫉妬していいか?」
なまえは驚いたように見上げるけど、すぐに目を細めて頷いた。
「……うん」
御幸は指でなまえの頬に触れ、優しく撫でる。
「お前だけだ。俺が一番大事にするのは、誰よりもなまえだけだ」
声は低くて甘く、なまえの心にじんわり染み渡る。
「これからはずっと、俺だけを見てろ」
そう囁くと、そっと額にキスを落とした。
なまえは胸が熱くなり、自然と笑みがこぼれた。
「……一也くん」
その名前を呼ぶのは、誰よりも特別な証。