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01.


「撫子さん!」
「撫子さーん!」


背中に飛んできた息ぴったりな二つの声に振り返る。そこには予想通り藤丸くんと立香ちゃん、双子マスターの姿がある。
この二人と私は、ここカルデアでこの世界に残った三人のマスター適正者。日々世界を取り戻すため頑張っています。


「どうしたの?二人とも」
「撫子さん!ドクターのへそくりの呼符が見つかったの!」
「三枚!俺と立香と撫子さんで一枚ずつー!」


賑やかにやってきた二人の手には金色の呼符。あら、と驚く私に藤丸くんが一枚手渡してくれた。立香ちゃんに手を引かれ、早く使ってみましょう!と急かされるので楽しそうな双子と一緒につれられて召喚室へ向かう。

扉を開ければ、「やぁ、準備はしておいたよ 」と困り顔のドクターが。ありがたく使わせてもらいますね、と声を掛ければ彼はふわりと笑った。


「あぁ、そうしてくれ。もう少ししたら御褒美で渡す予定だったんだよ」


Dr.ロマン。ロマニ・アーキマン。かつて私は彼の下でほんの少しの間医療スタッフとして働いていた。彼のそばにはダ・ヴィンチちゃんもいて「藤丸くんと立香くんはまた張り切ってるね」と高らかに笑う。
あの二人はよく召喚室に籠ってはいるけれど、あまり望んだ結果は出ていないようだ。勿論二人はどんなサーヴァントでも大切にして、仲良くしている。縁は結ばれているのだから、きっと出会えるはずと毎度励ましているけれど……。


「っしゃー!一番は私!出るまで回すぞ!」
「いけ立香ー!でも一枚しかないから一発勝負だ」
「そうだったいつもの癖で……」


召喚サークルに向かう立香ちゃん。
スッ手を伸ばすとサークルが回転しはじめ、光が溢れていく。そして眩しい光が弾けた。


「概念礼装でした」
「立香、ほ、ほら元気だせ……よし!次俺!」
「兄さんのとこには静謐ちゃんかきよひーがまた愛に……会いに来てくれるよ」
「嬉しいけど!でも虹色か黄金の回転を久々にみたい!……って、あ!あ!」


今度は藤丸くんがサークルの前に立つ。そして先ほどと同じく召喚は進み……金色に輝いた光が弾けたあとには人影が。英霊の召喚に成功したようだ。


「やっほー! ボクの名前はアストルフォ! クラスはライダー! それからそれから……ええと、よろしく!」


可愛らしい英霊がにっこりと笑っていて藤丸くんは拳を高く掲げていた。ドクターは苦笑いだ。立香ちゃんはおめでとうと言いながらも目が据わっていた。


「立香ちゃん、私の呼符使う……?」
「えっ」
「私今戦力は間に合っている方だし……」
「撫子さん〜……いや、でも!ダメです!平等に一人一枚だから!」


私は次までに徳を溜めておきます!とにっこりと笑う立香ちゃんに背中を押され、私は召喚サークルの前に立った。
召喚は久々かもしれない。サークルに腕を伸ばすように呼符をかざして、目を閉じた。誰か、また新しい英霊と出逢えるだろうか。

光が回転して、ふわりと風が起きていく。徐々に強まる風、それに目を開けた時虹色の光が弾けるのが見えた。



何も見えないほどの強い光が少しずつおさまって、漸く人影が姿を現す。
最初に見えたのは美しい白い髪。それと対照的な黒い服に褐色の肌。琥珀色のような瞳としっかりと視線が交わった。少年と青年のちょうど境、そのぐらいの年に見える彼はとても整った容姿をしていた。
一歩踏み出した彼の胸元でチャリ、と十字架が揺れる。


「サーヴァント、ルーラー、天草四郎時貞。誰かに似ています? 他人の空似というやつですよ」


柔らかな声がそう告げ、私が伸ばしていた手を彼がとる。キョトンとする私の後ろで立香ちゃんが「幸運値EX!」と叫んで倒れた。

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