「あ、おじさま。ちょっと待って」

 数度唇が重なり、舌を絡ませ合い。ベッドに雪崩れ込んだ勢いそのままにレオニダスがナマエの服に手を掛けた、まさにその瞬間。まるで犬の躾のように、ナマエはレオニダスに"待った"を掛けたのだ。

「…なんだ。したくねぇのか」

 突然止められたレオニダスは、当然の如く怪訝な顔になる。キスをしている間のナマエはこの先を拒絶する空気ではなかったし、むしろ期待するように甘い声でレオニダスの名前を呼んでいた。確実にこのまま情事を始めてもいい雰囲気だっただけに、何故止められたのか。皆目見当もつかなかったからだ。
 とはいえ、それはあくまでレオニダスがそう感じていただけの話で。もし本当にナマエが拒否するのであれば、ここで止めるのも致し方ないとは思う。まあ、少しばかり熱が燻りはするが。
 レオニダスのそんな考えを感じ取ったのか、ナマエは「したくないわけじゃなくて、」と即座に否定する。

「お願いがあるんです」
「お願い?」
「はい。おじさまのを舐めさせて欲しいんです」

 あっけらかんと。照れることなく言い放たれたその言葉を理解するのに、レオニダスは少し時間を要してしまった。
 たっぷり一分。ようやく出てきた言葉は、「………あ゙?」という、なんとも間抜けな一言、もとい一文字だった。

「だから、おじさまのを、」
「いや…分かってる。言わなくていい」
「え、じゃあいいんですか?」
「………一応聞いておくが、何をだ」
「え?」
「何を舐めたいんだ」
「え、な、何ってそれは……、」
 
 この状況で、何を、と聞くのは野暮だろう。それにレオニダスには聞かずとも分かっていた。けれど"それ"は何となく避けていたことでもあったため、違うのではという少しの可能性に賭け、そう尋ねたのだ。
 ナマエもまさか聞かれるとは思っていなかったのだろう。問い掛けにほんの一瞬顔を赤らめ。もじもじと指先を弄りながらレオニダスの下半身、もとい──股間に視線を向けていた。やはり直観は間違っていなかったようだ。
 舐めたいとまで言っておいて、直接的な言葉は照れるのか。ナマエのよく分からない照れポイントにレオニダスは混乱しながらも、なんとか否定の言葉を絞り出す。

「……止めとけ」
「ええ!何でですか!?ただレオおじさまの舐めたいってだけですよ!?」
「そういうことを大声で言うんじゃねぇよ…っ!」

 女という生き物は、夫を立て、常に慎ましく在れ。古代ギリシャでの女性の在り方だ。その考えについてはレオニダスも一家言あるし、そもそも他人に強要するものでないことは充分理解している。なによりナマエはそんなことを聞くような相手ではない。相手に簡単に染まらない、ナマエのそういうところをレオニダスは好きになったのだから。
 ただ、そういう価値観が周囲に多かっただけに、自然と接してきた女性もそういう相手ばかりで。ナマエのこういった強引な、もとい男に対しても頑固な面には、未だに驚かされてばかりだった。いや、そもそも「陰茎を舐めさせろ」などという発言ができる女性は、そうそういないだろうが。

「……むしろ、なんでお前はそこまで舐めてぇんだ…」

 確かに、これまでナマエがレオニダスのものを愛撫したいと言い出すことは何度かあった。けれどその度言いくるめ結局何もさせない、もしくは軽く触らせる程度に終わらせていたのだ。
 行為には積極的だが、直接口に出すのはまだ恥ずかしい。そんなナマエの性格的にもそんなことは考えないだろうと思っていたのだが、まさか完全ストレート。こうも直球で言い出すとは思ってもいなかった。
 これならまだ、「触りたい」だけで済んでいた頃に好きにさせていればよかったのかもしれない。今さらそう思っても遅いのだが。

「おじさまだって私の舐めるじゃないですか」
「女のそれは男のとは違ぇだろ」
「同じですよ」
「同じじゃねぇよ」
「いいえ同じです。機能的な意味でも、部位的な意味でも、全部ひっくるめて。だから私がおじさまのを舐めたいと思うのも間違ってないし、根本は同じです」
「…………」

 妙な屁理屈染みたことまで言い出す始末。話し合いと言っていいのかももはや分からないが、このままでは議論は平行線を辿る一方だろう。
 これは男女の価値観の違いというよりは、もはや互いの意地のようなものだ。ただ自分がそうしたいから、という理由だけで中身のないものではあるが、それでもナマエの口振りは、何もかも取っ払ってしまう勢いだけはあった。
 しかしそれはレオニダスも同じで。決してきれいなものとはいえない陰茎を、よりにもよってナマエの口にぶち込むなど。そんなことできるはずもなかった。

「…分かりました。それなら私も強行手段に出ます」

 そんな長い争いに先にしびれを切らしたのは、ナマエの方だった。珍しく淡々とした口調でそう言いレオニダスの下から這って抜け出すと、ベッドの脇に立ち。小さな唇をつんっと尖らせた顔でレオニダスを見下ろす。

「強硬手段だぁ?」
「ゲイレルル様のところに、しばらく帰らせていただきます」

 まさかの名前が出てきたことに、レオニダスは分かりやすく動揺してしまった。

「おまっ…それは駄目だろ……」
「いいえ私は決めました。もう絶対に行きます。帰ります」

 帰るって、そもそも実家じゃねえだろ、という言葉も出てこなかった。おそらくそう揶揄い交じりにでも言ってしまえば、ナマエは即座にこの部屋を出て行っていただろうからだ。
 動揺するレオニダスにナマエは「いつ帰るか分かりませんから!」と捨て台詞のような言葉を吐くと、踵を返し部屋の扉へと向かおうとした。

「っ、分かったから、待てっての…!」

 レオニダスはそんなナマエの腕を掴みやや乱暴に自身の胸元へと引き戻すと、「離して下さい!」と騒ぐ身体を、「落ち着け」とすかさず片腕で抱き込み抑え付けた。レオニダスに抱き込まれてしまえばナマエに勝ち目はなく。すぐに騒ぎはしなくなったものの、納得はしていないと言いたげに、相変わらず唇を尖らせていた。
 わずかに逡巡しながら、レオニダスは頭をかき。小さな溜め息と共に呟く。

「…舐めさせてやるから、ゲイレルルんとこには行くな」

 ラグナロクを共に闘った相棒は、ナマエのことを実の妹のように可愛がっている。妹が多いというのもあるのだろうが、元々彼女自身が姉御肌なことが理由としては大きいのだろう。ナマエへの寵愛とそれを受けるふたりの関係は、時折レオニダスの侵入を許さない結束力を感じさせることさえあった。
 もちろんそこに親愛とは別の意味が含まれているわけではないが、おそらく、いや確実に。ナマエが「おじさまと喧嘩しました」と自らの元に駆け込んでくれば、ゲイレルルはすぐにでもレオニダスの元に事情を聞きにやって来るだろう。一方的にナマエの意見を鵜呑みにするタイプでないとはいえ、ゲイレルルはそういう性格なのだ。
 それに、そもそもとして。こんな、犬も食わないような喧嘩。しかも恋人同士のセックスに関することでゲイレルルのところに行かせてみろ。怒られる以前に、死ぬほどどうでもいい、何やってんだと呆れられるに決まっている。
 今さらナマエとのあれこれを相棒に知られることを恥とは思わないが、こんな"くだらない"で片付けられるような争いを聞かせることは、流石に申し訳なさで憚られる。ならばレオニダスが折れる以外、道はないのだ。

「やったあ!おじさまありがとう!」

 その言葉を聞いた瞬間、ナマエは分かりやすく表情を変え。いつものような満面の笑みを浮かべると、勢いよく背後を振り向きレオニダスに抱き着いた。
 首を絞めんばかりの勢いでぎゅうぎゅうと抱き着き、猫のようにレオニダスの頬へごろごろと擦り寄りながら、「おじさま大好き」と甘える様子に、レオニダスもついに諦めたようにナマエを抱き締め返す。

「…おっさんのちんこ舐められるってだけでそんな顔できんのは、きっとお前だけだな」
「…そんなことないですよお」

 一瞬間があったところを見るに、あそこまで強引に押し通したものの、多少なりとも自分がとんでもない発言をしていた自覚はあるらしい。それを許してしまった以上、レオニダスも結局は同じなのだが。
 それから、腹を括ったレオニダスは早かった。
 これまでの攻防でくしゃくしゃになっていたシーツを一枚手繰り寄せると、ぽいっと床に落とし。そこへナマエを座らせる。そうして自身はハーフパンツに手を掛け下着ごと前をくつろげると、尻を付けぺたりと座り込むナマエのちょうど眼前に下半身がくるように、わずかに足を広げベッドに腰掛けた。

「………」
「…どうした」
「あ、え、えっと……、」

 目の前にあれほど熱望したものがあるにも関わらず、相変わらずナマエは動きを止めたまま。まだ萎えているレオニダスの股間をじっと見つめている。
 元々の民族性か裸を見られることに恥ずかしさはさほど無いが、さすがに股間を凝視されることは無かった。そういった意味での気まずさというのはあるが。
 片や下半身を曝け出し、片や無言のままそこを凝視している。異様な時間と空間にしびれを切らしたレオニダスが「おい…」と発したとき。重なるようにナマエが「おじさまぁ…」と、情けない声と共に口を開いた。

「…ど、どう、すれば…いいんですか……?」

 先程までの勢いはどこへやら。ナマエは少し気まずそうレオニダスを見上げ、口をもごもごとさせそう言った。まさかとは思っていたが、想像通りの言葉にレオニダスは身体から力が抜ける感覚を覚えた。

「お前…やりたいって言っといて聞くのかよ」
「だ、だってやったことないから…」

 確かにナマエは生前はおろか、こうして天界に召喚されるまでの間、他者と身体を重ねたことが一切なく。全てのことをレオニダスに教えられなければ、こんなことを知るはずもなかった。
 しかし逆を言えば、だからこそ、こういったことに対する好奇心が強くなってしまったのかもしれない。だがそこについては悪いことはないから、まあいいのだろう。
 呆れられたと思ったのか、少し慌てたように「ごめんなさい…」とこぼすナマエの頭を、レオニダスは「そういう意味じゃねぇよ」と撫でてやる。

「あー…まず勃たせなきゃ何もできねぇから、とりあえず触れ」
「え、どうやって…?」
「…適当に扱いてりゃいい」

 嘘だ。正直ナマエがそこに顔を寄せているというだけで既に勃ちそうである。だがそんな、女を覚えたての若造のようなことになっては流石に情けないので、気合いでなんとかしているだけだ。
 そんなレオニダスの葛藤など知るはずもないナマエは、「そうなんですか…」とこの場に似つかわしくない純真さを見せながら、萎えている陰茎にそっと手を添えた。レオニダスの脚がわずかに跳ねる。

「…痛くないですか?」
「強く握ったりしなきゃ痛かねぇよ」

 その形を確かめるようにナマエはゆっくり手を上下に動かし始める。動きが拙いことは自身でも分かっていたが、それでも徐々に硬くなっていく陰茎に、無意識のうちに喉を鳴らしていた。

「わ、か、硬くなってきた…」
「っ、そのまま、もう少し強く動かせ…はぁ、ッ」
「あ、は、はい…っ」

 先端から少しずつ先走りが溢れ、にちゅにちゅという音を共に滑りがよくなる頃には、すでにナマエの片手では収まりきらない大きさになっていて。普段挿入される頃にはぐずぐずに溶かされ前後不覚になっていることがほとんどなこともあり、ナマエは改めて見るレオニダスのものの迫力に、目を奪われていた。
 ──これがいつも、腹の奥で暴れているのだ。壁を抉り、奥を突き上げ。中から狂おしいほどの圧迫感と、どうしようもない快楽を与えてくる。おかげで下腹部は外から触れられるだけできゅうっ、と疼き。中を埋めて欲しいと蠢いている。
 想像した瞬間、秘部から大量の蜜が溢れ出る感覚がして。ナマエはぶるりと腰を震わせる。濡れた唇から熱い吐息を漏らしながら、熱に浮かされ誘われるように、そそり立つ陰茎の裏筋を尖らせた舌で根元から舐め上げた。

「ぐ、あ…ッ」

 びくりと小さく肩を跳ねさせ、耐えるような。けれど甘さを含んだ声を上げるレオニダスに、ナマエは嬉しそうに喉を鳴らし。今度は大きく口を開けると、先走りに濡れる先端をぱくりと咥え込んだ。

「んむ、っふ、ふ、ぅ……、」

 口内に広がる苦みと青臭さに思わず顔を歪めるも、それもレオニダスのものだと思えばそんなことはすぐに気にならなくなった。
 舌先を先端に擦り付け、小さな穴をくりくりと弄る。くびれをくるりと一周し、頬の内側で全体を擦っていく。大きくなったそれを全て咥えることはできず、根元は両手で柔く握り、滲みだした精液と唾液と絡めながら扱いてやった。
 初めてなのだから当たり前だが、お世辞にも上手いとは言えなかった。けれどナマエがその小さな口いっぱいに、赤黒く、血管を浮き上がらせた陰茎を頬張っている。その視覚からの情報だけで、情けないがレオニダスはこれ以上ないほどの興奮を覚えていた。

「は、あ…っ、」

 この光景をもっと目に焼き付けたい。──レオニダスはそんな感情に素直に従い、目元を隠していた髪を乱雑にまとめ上げると、開けた視界の先で必死に動くナマエの頭へ、するりと手を添えた。
 俯いていた顔をわずかに上げたナマエは、涙を溜めた瞳でレオニダスを見上げている。貼り付き乱れた前髪を退け、親指で生え際をなぞりながら柔く汗を拭ってやれば、ナマエは嬉しそうに目を細め。もごもごと蠢く舌で、「おじさま、」と小さく名を呼んでいた。

「…もっと奥まで咥えられるか」
「ん…、」

 レオニダスの問いかけにナマエは小さく声を漏らすと、さらに大きく口を開け、喉の奥へと飲み込んでいく。わずかな嘔吐感に苛まれながらも喉奥へと先端を招き入れれば、そこは腹の中と同じように、レオニダスをきゅうきゅうと締め付けていた。

「っ…あんまり、無理すんじゃねぇぞ…、」
「はっ、んぐっ、んんん…ッ♡」

 聞こえているのか、いないのか。ナマエは返事のように声を漏らしながら、口いっぱいで幹全体を舐め続けている。やはりナマエの腹の中とは快感の度合いは違うものの、健気な姿にますます興奮は高められ。レオニダスはじくじくと下半身に溜まっていく射精感に、もう少し堪えねばとばかりに背中を丸める。
 そのときふと、前かがみになったことで、座り込むナマエの下半身が目に入る。少し反って跳ねる細い腰に、すりすりと擦り合う柔らかな太もも。床にぺたんとつけられていた尻は、突き出されどこかもどかしそうに揺れていて。軽く喉奥を突き上げる度、ぴくぴくと跳ねている。
 それに気付いた瞬間、レオニダスの中にわずかに加虐心が芽生えた。同時に、このままではこいつも辛いだろうという、言い訳のようなものも。
 気付かれぬようナマエの胸元へ手を忍ばせる。ちゃんと見ずとも、ナマエの好きなその場所がどこにあるかはだいたい分かるのだ。
 するりと滑らせた手は迷うことなくそこを探り当て。指先にわずかに触れた瞬間、レオニダスは布を押し上げ勃ち上がる突起を、少し強めに爪先で引っかいた。

「ん゙ん、っ!?♡〜〜ッ、!♡♡」
「あ゙、っ!?おま、ッ…、」

 引っかかれた瞬間、目を見開くと同時にナマエは大きく腰を跳ね上げ、全身を震わせた。喉の奥は締まり、ぬめる舌が陰茎に強く絡まる。まさか少し引っかいただけで達してしまうとは思わず。油断していたレオニダスは強い刺激に耐えられず、ナマエの喉奥へと精液を吐き出してしまう。

「っ、あ゙ー、クソ…ッ、」

 全身を支配する快感と、脳内の片隅に浮かぶ「やってしまった」の一言。舐めさせることまでは譲歩したが、流石に口内へ出すつもりはなかった。寸前のところで引き抜くつもりが、突然締まった奥に油断していたこともあり、あっさり流し込んでしまった。

「わりぃ…大丈夫、か……」

 とにかく早く抜いてしまおうと、レオニダスは上体を起こしナマエの肩を掴む。けれど目に飛び込んできたのは、少し萎えた陰茎を未だ咥え込み。あまつさえ小さく喉を鳴らしながら、口内に溜まった精液を少しずつ飲み込んでいるナマエの姿だった。
 何やってるんだ、とは言えなかった。苦しそうにしながらも、不味いはずのそれをどこか嬉しそうに飲み込んでいく様はあまりにも淫靡で。レオニダスは目を離すことができなかった。

「ん゙っ、は、はぁ、……っ♡」

 こくこくと動かしていた喉を最後に大きく上下させ最後の一滴を流し込むと、ナマエはようやくレオニダスの陰茎を解放した。
 小さな口内に吐き出された濃く粘ついた精液が糸となり、ピンク色でどこか幼ささえ感じさせるナマエの唇と、赤黒くグロテスクな陰茎を繋いでいて。その倒錯的なアンバランス差に、レオニダスはくらりと眩暈を覚える。

「…おい、起きられるか」
「あ…♡、っ?」

 足に力が入らないのか、ナマエは床にぺたんと尻をつけ。レオニダスの太ももへ縋りつくように頭を乗せながら、びくびくと身体を震わせている。レオニダスはわずかに乱れた呼吸を整えると、今にも崩れ落ちそうな身体を抱き上げ。そのまま膝の上へ、向かい合わせに乗せてやった。
 唾液と精液で濡れる唇を拭ってやりながら、ナマエの服を脱がせていく。上半身を全て脱がし、黒いショートパンツにも手を掛け。ホックを外した瞬間、早く繋がりたいとばかりに下着ごと取り去っていく。
 そのとき、まとめて取り去った下着とナマエの間に、一本の糸が繋がっているのを見つけた。外気に曝されひくひくと震える入口と下着のクロッチを繋ぐその糸は、おそらく粘度が高いのだろう。距離が離れたにもかかわらず、切れることなく。しっかりと互いを結んでいた。

「ナマエ、お前…、」
「は、い…?」
「…舐めただけで、いってたのか?」

 舐めて興奮していただけにしては、あまりにも量が多く、粘度が強すぎる。それこそ中を散々弄り、何度も達したかのような状態だ。
 まさかと思い尋ねれば、ナマエは返事をしなかったものの、俯きながらぴくりと肩を跳ねさせた。その反応は、その言葉が事実だと示していた。
 絶頂の決定打となったのは確かに胸への刺激だったが、それ以前からナマエの身体はこれ以上ないほど快感に支配されていた。口内にレオニダスの熱を咥え。腹に出されるはずの精液を飲み込み。レオニダスの小さな喘ぎと、いい子だと頭を撫で褒める手。その全てが、触れられてもいない場所を潤わせるには充分な材料だったのだ。

「れお、おじさ、っあ゙……!?♡、〜〜ッ♡♡」

 その事実に気が付いた瞬間、レオニダスはナマエの腰を両手で掴むと、ぬかるむ中へ挿入していた。いや、もはや挿入なんて生易しいものではない。勢いよく、まだ解れてすらいない中を無理やりこじ開けるように、最奥まで一気に穿ったのだ。

「っ、!♡ぇ、ぅ……い゙…ッ!♡♡」

 ごちゅんっ、と骨を突く音がした後。ぐぽんっ、と飲み込む音がして。開かれた奥がすぐに先端へと吸い付く。閉じることのできていない口は金魚のようにはくはくと情けなく開閉し。時折ひゅっ、と空気の漏れる音が聞こえるだけで。きちんと呼吸出来ているのかさえ怪しい様子だった。
 レオニダスはそんなナマエを気遣うことはせず。ナマエの後頭部に手を回すと、歯がぶつからんばかりの勢いで口付け。即座に舌を滑り込ませ、粘つく口内を蹂躙してく。

「んぐ、っ!ふ、ぅ、んんん…ッ!♡♡」

 わずかな苦みは自身の精液だろう。舐めたいなんて普段ならば絶対に思わないが、今はそんなことも気にならなかった。
 小さな舌に歯を立て、じゅるりと吸い上げ。口端からこぼれようと構わずぐちぐちと唾液を絡め。曝け出されたナマエの喉が上下する光景にすら興奮していた。

「は、あ゙…っ!♡あ、ぁあ、♡あ゙、あぁあっ!♡♡」

 解すことなく突き入れたというのに、ナマエの中は突然の侵入者を拒むことなく、さらに奥へと蠢いている。絶え間なくあふれていく蜜と、がつがつ突き上げる度吹き出される潮が、レオニダスの腹と太ももを濡らしていた。

「あ゙うっ、あ、はあ゙、ぁッ!♡♡んんゔッ♡や゙、あ゙、あぁあっ…!♡♡」
「は、あ゙…っ、」

 嬌声を上げ、ナマエの身体が震える。強く締め付ける中につられて達しそうになるも、奥歯を噛み締めることでなんとか耐え。蠢く中からするりと陰茎を引き抜く。
 レオニダスは脱力するナマエの身体を抱き上げくるりと向きを変えると、これまで自身が座っていたベッドに仰向けに寝転ばせ。代わりに自身が膝立ちになる体勢へと変えた。
 投げ出された両脚を肩に抱え。自然と浮き上がる下半身を腰骨を掴み支えながら、くぱくぱと開閉する秘部へ先端を宛がい。上から圧し付けるように挿入していく。

「あ、あ゙…っ♡ひ、い゙、ぅう、う、〜ッ♡」

 ぐりぐりと壁を抉りながら、先端が腹側のざらついた部分を擦り、こつんと当たる子宮口を圧し潰す。ナマエの目の前には星が散らばり、涙と混ざりぼろぼろとこぼれ落ちていった。
 普段のセックスは体格差の点から、レオニダスがナマエを抱えるような座位や騎乗位がほとんどなのだが、今回はそうではなかった。そうしてやろうとレオニダスが思えなかったのだ。
 ──女を覚えたての若造のようになっては情けない。そんなことをほざいていたあのときの自分に言ってやりたいと思った。
 あの小さな口に欲を吐き出してしまったこと。自身の陰茎を舐めただけで達してしまうほどナマエが欲情していたということ。解す必要もないくらい濡れさせ、簡単に自身を受け入れるようになっていたこと。そのどれもに、結局情けないほど興奮してしまい。気遣いをかなぐり捨て欲望のまま蹂躙することになってしまったのだから。

「あ゙、あっ、ぁあ、あ゙ッ♡」

 うめきのような嬌声が、突き刺す度ナマエの喉から漏れている。呼吸がうまくできていないのかもしれない。苦しいと訴えているのかもしれない。なによりこの体勢はナマエに多大な負担がかかる。けれどそれを気遣えるほど、今のレオニダスに余裕などなかった。

「あ゙、ゔ、ぅあ゙ッ♡れお、っれお、おじさま、ぁ、あ゙ッ!♡♡」
「はぁ…ナマエ、ッ」
「っい゙、いあ゙、…ッ!」

 比喩などではなく、ナマエの腹の奥から本当に骨を叩くような音が聞こえたとき。嬌声の中に、ほんのわずかに違う音が混ざっていることにレオニダスは気が付いた。
 耳に入ったその音に甘さは無く。一瞬にして飛んでいた意識が引き戻される。そうしてよく見れば、ナマエの眉間にはしわが寄り、噛み締められていた唇にはわずかに血が滲んでいた。

「れお、おじさま…?」

 その光景にようやく理性を取り戻したレオニダスは、ぴたりと動きを止め。両肩に抱えていたナマエの足を、ゆっくりベッドへと下してやった。
 突然止まった律動に、ナマエはひゅうひゅうと喉から息をこぼしながら、不思議そうな顔でレオニダスを見上げる。

「悪ぃな…痛かっただろ……」

 ナマエの頬に手を添え、血の滲む唇を親指で優しく撫でる。ぐっと眉を顰め苦しそうな顔のレオニダスに、先ほど自分が漏らした「痛い」という言葉を気にしているのだと、ナマエもようやく気が付いた。

「…確かに、今日は中慣らしてないんで、ちょっとだけ痛かったけど……でも、大丈夫ですよ」
「…変な気ぃ遣うな」
「気なんて、遣ってないですよ…本当に大丈夫なんです」

 小さく笑みを浮かべ、「ね?」と返すナマエの言葉が嘘ではないと分かったのだろう。それでも最後に「続けて平気か」と聞くレオニダスの優しさに、ナマエは愛しささえ感じていた。
 返事をするように、頬に添えられた手に擦り寄る。レオニダスの空のような瞳がきゅっと細まる様子に笑みを浮かべながら、ナマエは唇を撫でる親指へちゅう…と音を立てて吸い付き。「それにね
、」と続ける。

「私、おじさまから貰えるものなら……痛みだってなんだって嬉しいんですよ」

 少し乱暴に喉の奥を突かれたのだって、解していない中に突き入れられたのだって。最奥を、骨が軋みそうなほど穿たれたのだって。そのどれもが、レオニダスという男に躾けられ、与えられるからこそ、喜びとなってしまう。そういう身体と心に、ナマエはなっているのだ。
 レオニダスの親指に、咥えたことを思い出させるように、ナマエの熱い舌がゆるりと絡まる。口内の温かさが指先から全身に伝わり、入れたままの陰茎が、再びずくりと重たくなるのを感じる。

「ハッ…ナマエ、お前……そういう趣味かよ?」
「そんなことないけど…おじさまにだけは、そうなのかも」

 ぐらついた理性を保つため、わざとらしく吐いた揶揄の言葉も、ナマエは恥ずかしがることなくあっさり肯定してしまう。
 それどころか、そんなレオニダスの思考も分かっているとばかりに怪しく微笑むと、「おじさま…」と一層熱を込めた声音で名を呼ぶ。

「ね、だから…お願い。レオおじさま……」

 ベッドへ投げ出されていたしなやかな足が、もっと近付けとばかりにレオニダスの腰にするりと絡まる。ぐちっ、と蜜の絡まる音と刺激に、レオニダスの肩が小さく跳ねた。

「お腹のおくが、寂しいんです……レオおじさまのでたくさん…突いて……ッ♡」

 ぽってりと色づいた唇から、はぁ、と吐息交じりに囁かれた声はひどく熱っぽく。艶を帯び、レオニダスの鼓膜を揺らした。──人は理性をなくすとき、糸の切れる音が聞こえたなどというが、この時レオニダスは確かにその音を聞いた。脳みその奥底。あるはずのない糸が、ぷつんっ、と切れる音を。

「っん!んんっ、ふ…ッ!ん、ん゙んんっ!!♡♡」

 ナマエの顔の横に両肘をつき、吐き出された熱を丸ごと飲みつくすように唇を奪う。性急に滑り込ませた舌を絡め合い、呼吸を全てを奪いながら、口と舌で深く繋がっていく。
 腹の奥が寂しいという言葉はあながち嘘ではないのだろう。小さな舌を吸い上げる度入れっぱなしだった中は、もう一度奥を穿てとばかりに蠢いていた。
 レオニダスはナマエとベッドの隙間に手を差し入れ身体を抱え直すと、吸い付く中から陰茎をずるるっ…と先端まで引き抜き。間髪入れずに、再び最奥へと突き入れた。

「い゙っ、あ゙あぁ!♡あッ、あ…ッ!〜〜っ!!♡♡」

 上から圧し潰される体勢は、身体を固定されているナマエには逃げ場がなく。腰を支えるレオニダスの手と、広い背中に縋りつくように回した自身の腕だけが彼女を支える唯一のものだった。

「あ゙、あ、っ♡あ、ぅ、は、あ゙あぁ、ッ♡」

 子宮口をこじ開けながら穿てば、ナマエの薄い腹がわずかに隆起する。そうしてその度、繋がるそこから潮が吹き出していた。
 いや、もはや吹くのではなく。溢れてしまっているといった方が正しいほど、動く度ちゅぷちゅぷと音を立てシーツに染みを作っていて。ナマエが何度も達していることを示していた。

「おじさ、ま、あ゙っ♡れお、おじさま、ぁっ♡♡」
「ハッ……可愛いなぁ、お前…」
「んゔッ…あっ、はあ、っ♡あ、あ゙ッ♡」

 肩口に顔を埋め、互いの呼吸を耳元で響かせる。全身へ電流のように伝わる甘い音は、正直それだけでも達することができるのではと思うほど、二人の身体に快感をもたらしていた。
 すっかり開いた子宮口は抜き差しされるだけでは物足りないのか、離れようとする度吸い付き。さらに中までは入れそうだ思わせるほどだった。

「っ、もうちっと…奥まで入れんぞ…ッ」
「え、あ゙っ!?い゙っ、あ!ん、い゙、っ!♡〜〜ッ!♡♡」

 入った、いや、飲み込まれた。レオニダスがそう感じると同時に、ナマエの腹の奥から小さな音が聞こえる。入り込んだ先端に子宮口がちゅうちゅう吸い付き。大きく背を仰け反らせ、抱えられた足をピンッと伸ばしながら、ナマエは深く絶頂を迎えた。
 締め付ける中に抗うことなく、同じく達したレオニダスも、一滴もこぼさないとばかりにその奥へと精液を吐き出す。注ぎ込まれる液が熱いのか、薄い腹がびくびくと脈打ち。奥へと飲み込むように注ぎ込まれていることが、外から見ても分かった。

「あ…ぁ…っ、え、ぅ゙…ッ♡」

 背中に回されていた手がずるりと落ち、ナマエの四肢がベッドに沈む。最後に達した瞬間、ぷしゃっと吹き出した潮が、ナマエの顔に掛かったようで。涙とは別のものが蕩けた顔を濡らしていた。
 その光景に、ナマエの顔に精液が掛かったことを思い出したレオニダスは、また下半身に熱が集まる感覚を覚える。

「れ、お…」

 その淫靡な光景と、余韻に軽く痙攣する中が心地よく。まだ抜きたくねぇなとレオニダスがぼんやり思っていると、荒い呼吸交じりの小さな声で名前を呼ばれた。同時に、ナマエが何かを伝えようと力のない手を自身の方へ伸ばしていたことも。

「…どうした」

 おじさま、と付ける余裕もないらしい。珍しい呼び方と甘えた声に続きをしようという気持ちは鳴りを潜め。レオニダスは小さく返事をすると、汗で貼り付いたナマエの髪を退かしてやった。
 優しく撫でられたことに安心したのか、ナマエはレオニダスの手に、猫のように擦り寄る。

「ふふ…かお、見えた……」

 瞳をとろりと溶かし、心底安心したといった顔で笑ったナマエは、再びレオニダスの名を小さく呼び。首の後ろへゆるりと腕を回した。
 こつん、と額同士が当たり、鼻先が触れ合う。空色の瞳と漆黒の瞳が交わりながら、それが当たり前であるかのように。再び唇が重ねられた。
 するりと入り込んだ舌が絡み合う。根本からゆるく吸い上げ、ちゅくちゅくと唾液を交換する。ナマエの小さな舌がレオニダスの歯列をちろりとなぞり、答えるようにレオニダスも小さな口内の上顎を撫でてやる。
 先ほどまでの欲をぶつけるものとは違い、互いの体温を分け合う口付けは身体に再び熱を燻らせ始め。ナマエは腹の奥が疼くのを感じた。それはレオニダスも同じようで。中に入れたままだった陰茎は、すぐにその熱さと硬さを取り戻していた。

「あ、ん…、は、んぅ…ッ♡」

 中で質量が増したことを感じ取ったナマエは、嬉しそうに瞳を細める。自身を気遣い一向に動き出そうとしないレオニダスの腰にゆるりと足を絡めた。まだ続けてもいい、もっとしてほしいと言わんばかりに。
 そんな意図をレオニダスも汲み取ったようで。小さく笑うと、ナマエを膝の上に座らせ。普段の体勢へとなる。

「んふふ…おじさま、髪がぼさぼさ」
「どこかの誰かさんが、必死にひっ付いてくるもんでな」
「うそ。結ぶときいつもより乱暴だったから、そのせいでしょう?」

 ナマエは笑いながら、ほとんど解けかけていたレオニダスの髪紐を取り払う。ぱさりと落ちたシルバーの髪を退かし、しわの寄った目尻を親指で撫で、ちゅっちゅっと、小さく、何度も唇を落とす。

「くすぐってぇだろ」
「やだぁ、もっとしたい」
「んなこと言ってると、倍にして返すぞ」
「大歓迎ですよ」
「言ったな?」

 戯れる猫のような動作をたしなめつつ、レオニダスはナマエの後頭部へ手を添え艶やかな髪を指へ絡めながら、何度も降り注ぐ唇を今度は同じそれで受け止めた。
 唇は角度を変え数度重なりながら、ナマエの口内へ舌が入り込み。どちらからともなく再び絡み始める。

「あ、んあ…っ♡」
「ん…おい、動くぞ…」
「はっ、い、あ、ぁあ…ッ♡♡」

 レオニダスは汗や体液ですっかり湿っていたシャツをばさりと脱ぎ捨て体勢を整えると、今度はゆるゆると腰を動かし始める。
 何度も達したおかげですっかり柔くなった奥は苦しさなど一切ないようで。突き上げるのではなく先端をぐりぐりと押し付けるその動きにも、聞こえてくるのは粘着質な音と、ひどく甘さを含んだ声だけだった。

「あ゙っ♡ひ、うぅ♡ぅあっ、あ゙…っ♡♡」

 密着している胸元では、レオニダスの胸と擦れあったナマエの胸の突起が、じくじくと震えている。言えばナマエは怒るだろうが、胸が大きくないおかげでより密着し、敏感なピンクの突起を強く擦り合うことができる。
 そうして与えられる刺激はさらに大きくなるようで。ナマエはこうして抱き合い軽く動くだけで、何度も達することができるようになった。調教の賜物だ。

「あ゙っ…♡ぜんぶ、っぜんぶらめ、ぇ…ッ♡♡」
「なんでだよ、いいんだろ」
「い゙、いから、らめな、のぉ、ん゙うぅッ♡」

 両手でナマエの身体を支え上下させるついでに、はずむ柔らかな尻たぶを揉みしだき。溢れた蜜を絡めた指先で、その奥のすぼまりを少し撫でてやる。この前、舐めるついでに少し触ってやったところだ。
 あのときは否定していたが、やはりナマエはそこでもわずかながら快感を拾えるようで。同じように指先だけを少し抜き差ししながら横に広げてやれば、その度中を締め付けていた。
 加えて、繋がる下半身も密着しているおかげで、ぷっくりと顔を出した突起がレオニダスの下生えに擦れるらしく。敏感な場所を全て同時に刺激され、ナマエは口端から涎を垂らしながら大きな声で喘いでいる。

「い゙、あ…っ♡またい゙っちゃ、あ゙、いっ、あ、あ゙ぁあ…、〜〜ッ♡♡」

 かぶりを振りながら一際甘い声を上げたナマエは、内ももをぎくぎくと痙攣させ。潮を吹き出し、何度目とも分からぬ絶頂を迎えた。ほぼ同時に達したレオニダスも、開いた子宮口へ先端を嵌め込み。直接中へと熱い精液を注ぎ込む。
 注ぎ込まれる刺激も堪らないようで。散々漏らしたせいかその量と勢いは少ないながらも、秘部から溢れる潮がレオニダスの下生をべっしょりと濡らしていた。
 レオニダスはナマエの身体を持ち上げ今度こそ中から引き抜くと、そのままベッドへと寝かせてやる。もちろん、色々な液でできた水たまりは避けて。

「はぁ…おいナマエ…腹大丈夫か」
「ん…へ、いきです、けど……、ッ♡」

 ナマエが荒い呼吸交じりに返事をする度、許容量を超えたらしい秘部から精液がこぷりとあふれ出す。散々暴いたそこを労わるように、レオニダスは上下する下腹部を指の背ですり…っと撫でてやった。

「あ゙、ッ!まっ…、触っちゃ、ぁ、あ、あ゙、〜〜っ!♡♡」

 その瞬間、ナマエは後頭部を枕に擦りつけるように喉を仰け反らせながら、びくんっと腰を跳ね上げた。

「あ゙…っ、ら、めって、い、言った、のにぃ…、♡」

 身体をがくがく痙攣させながら、精液が混ざり薄く白くなった潮が吹き出す秘部を、咄嗟に手で押さえる。それでも中の動きに合わせて細い指の隙間からは、体液がとぷとぷと溢れ出していた。
 目の前で繰り広げられる淫猥な光景にレオニダスが言葉を失っていると、視線に気が付いたナマエが、眉をふにゃりと下げ。未だ余韻の抜けきらない顔で、「れおおじさま、」小さくレオニダスの名を呼んだ。

「こぼれた、から……っれおの、また奥に、はぁ…♡あ、欲しい…♡」

 震える声と共に手が外され、濡れた淡いピンクと、それを汚す白く濁った液体に濡れたあわいが曝される。言葉の通り、そこは中を埋め、熱いものを注ぎ込んでくれとでもいうように、呼吸の度に怪しく蠢いていた。

「っ、ん゙ぅ!♡う、ゔうぅ♡、ッ!♡♡」

 再び頭のどこかで糸が切れる音を聞いたレオニダスは、シーツを蹴るナマエの足先を掴み大きく広げると、隠されていた場所へ打ち付けるように突き入れた。
 一気に奥まで届き入口へ嵌った陰茎はぎゅうぎゅうと締め付けられ。ナマエは腹の奥に響く音を聞きながら、目の前に散る火花に瞬きを繰り返す。

「は、あ゙っ、はぁ、あ♡ゔ、んぅ…ッ♡」
「お、まえなぁ…っ、あんま煽ってんじゃねぇぞ…ッ」
「ん…ふふ……だったら、狙い通りですよぉ……っぁ♡」

 繋がるそこがより密着するように、ナマエはわざとらしく腰をくねらせながら、涙や汗で濡れた顔に妖艶な笑みを浮かべる。分かりやすい煽りにレオニダスは「ハッ」っと口角を上げると、再び唇を重ねながら、体液で汚れた腹をすりすりと撫で。先端が埋まっているであろう辺りを軽く叩く。そうすれば、ナマエは外からと中からの刺激に甘く蕩けきった、けれど掠れ始めた声で、小さく喘いでいた。

「あ、ん゙、ぅ♡お、じさま、ぁ、ッ♡」
「あ゙…?」

 大きく揺さぶられながら、ナマエはレオニダスの名を呼ぶ。太い首に腕を回し首元に顔を埋めると、わずかに赤く染まる耳元でそっと囁いた。

「また舐めさせてくださいね…レオおじさま……♡」

 甘いその言葉にレオニダスはもう、「止めておけ」と返すことはできなかった。



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