よくある、日常のひとつだった。
 赤髪と知ってなお喧嘩を売ってきた身の程知らずを、嬉々として迎え入れ。ものの数十分で地に伏せさせた。そんな、日常の最中。
 すべてが終わったと思い、各々が収穫だと相手船の積み荷を確認していたとき。どこぞに身を隠していたのだろう男がひとり、ナマエの身体を拘束しようと物陰から飛び出してきた。
 情けないことに油断していたナマエは、背後の物音と気配に気付くのが、ほんの一瞬遅れてしまい。武器を持った男の手が自身の身体へと回されようかという頃になって、ようやくその存在を確認することができたのだ。
 ひどく粗暴な手が、ナマエの首元へと触れる。──その瞬間、視界の隅に映り込んだ男の姿は、すぐに見知った者へと変わり。美しい青がプラチナブロンドを捕らえ。そうして、「ライム」と小さく口にした次の時には、ライムの手から強烈な光が放たれていた。
 激しく轟く雷鳴。近距離で放たれた閃光に、ナマエの瞳が一瞬、ばちりと痛む。──違和感を覚えたのは、それから数時間後のことだった。




 じんわりと広がる冷たさに、閉じていた瞳をゆっくり開こうとする。その瞬間、慌てた声と共に、ナマエの視界は再び暗闇に閉ざされた。

「馬鹿、目開くなって言ってんだろ」

 目元を覆う手の主であるホンゴウは、叱りつけるようにそう言った。同時に、さきほどさされた目薬がナマエの目尻から一筋、雫となってこぼれ落ちていく。

「だって…」
「だってじゃねえんだよ…おいライム、ちょっとこいつが目開けないよう見張っててくれ」

 声をかけられたライムはぴくりと反応し。「おう…」と低い声で返事をすると、濡れた目元を親指で拭いながら、ゆっくりとナマエの目を覆った。
 目を開きそうになったら止めろという意味でホンゴウは言ったのだろうが、よほど気が動転しているのか、ライムは自身の行動が少し的外れなことに気が付いていない。
 とはいえ目元を覆うその手には手袋がされておらず。それだけで心底心配しているというのは伝わっているからか、ホンゴウもそれをからかうことはしなかった。

「おそらく、強い光を受けたことによる視力の低下だとは思うが…」

 あのとき、空から飛び込んできたライムが男の顔面に放った電撃で、ナマエの瞳はダメージを負ってしまった。原因は今はホンゴウが言った通り、強い光を近距離で見たことによるものである。
 戦闘直後はアドレナリンが出ていたのか、さして違和感を覚えていなかったナマエだったが、数時後やけにぼやける視界に気付き。徐々に見えづらくなっていく視界に、さすがに不味いかもとホンゴウの元を訪れ経緯を説明した途端、その大きな手で視界を塞がれ。それから、伝声管で呼び出されたライムが医務室を訪れナマエの状態を聞き、治療を手伝うこととなり──現在に至る。

「強い光が原因って…そんなこと起きるの?」
「お前は目の色が人より薄いから、より影響を受けやすいんだよ。…太陽が眩しすぎて目が痛むってこと、今までなかったか?」
「…ある」

 確かに日差しの強い夏島、特に白い砂浜がある場所なんかは目が痛むことがあった。けれどそれだって、例えば太陽を直に見てしまったとか、夜に強いライトに当てられてしまったとか。そういった、いわゆる誰でも多少は目がくらんでしまうであろう状況下で、だた人よりも少し過敏に反応してしまう。そんな程度だ。
 だが、例えばホンゴウのように目の色が濃い人は、眩しいとは思えど痛むまではないらしい。
 しかしそれならばナマエ同様、淡いヘーゼルカラーという、瞳の色素が薄いライムも同じ状態になっていなければおかしいのではないか。──そこまで考えたところで、ホンゴウに「だからライムは普段サングラスしてんだろ」と見透かしたように言われる。

「まあ確かにライムは長いことあの戦い方だから、強い光にもお前よりは多少慣れてんだろうけどな」

 思い返してみれば、ライムがサングラスをし始めたのはこの電撃を使った闘い方をし始めた頃だったかもしれない。その頃はナマエもまだまだ新入りの部類で。そこまで気が付いていなかったし、気が回っていなかったのだが。
 言いながら、ホンゴウはライムの手を退かし。その手を傘のように灯りを遮りながら、「ちょっと開くぞ」とナマエの上瞼を持ち上げ瞳の様子を診る。

「目の奥、痛みとかはないか?」
「うん」
「視界が暗いとかは?」
「真っ暗ではないよ。光があれば、どこに何があるかぐらいは認識できる」
「そうか…」

 ナマエの返答に、ホンゴウは「ふむ」と頭を掻く。

「とりあえずは目薬さして、しばらく安静にしてれば大丈夫そうだな」
「本当?」
「ああ。前にも同じような状態になった奴がいたんだよ。まあそいつはお前と違って濃いブラウンだったし、もうちっと症状も軽かったけどな」

 おそらく一時的なものだろうというホンゴウの言葉に緊張が解けたのか、隣にいたライムが安堵したように小さく息を吐くのが聞こえた。

「よし。じゃあ、包帯巻くぞ」
「え、包帯?」
「ああ」

 ナマエは思わずぱっと顔を上げる。再びライムの手に目元を覆われていたため、そこまで動かせはしなかったが。代わりにそのライムの手も、ぴくりと反応を示していた。

「大げさだよ…サングラスとかでいいでしょ」

 そこまで大きな戦闘でもなかったというのに、包帯など。想像しただけでも仰々しい出で立ちに、ナマエは顔をしかめる。

「駄目だ。お前絶対にうっかり目開けたりするだろ。今は少しの光でも刺激になるから、なるべく遮断したいんだよ」

 けれどホンゴウはその主張をぴしゃりと跳ね除けた。一時的とはいえ視力を失うほど強い光だったのだ。いくら気を付けようとも、ふとした瞬間に開いてしまうこともあるだろう。
 確かに、それが数時間の意識すればいいのならまだしも、しばらくの間という不確定な時間ともなれば、確実に一度はやらかすであろう自信がナマエにはあった。
 とはいえ、そこまで神経質になるほどのものなのだろうかという疑問も湧いてくるが、おそらくそんなナマエの考えと行動をよく分かっているがゆえの発言なのだろう。

「…気を付けるから」
「駄目だ」

 治療方針をこうと決めたら、よほどの正当性がない限り他の意見は聞き入れない。医者としてのホンゴウの性格だ。これが対野郎であれば、従わなければ手が出てくる場合さえある。
 だから一度でも駄目と言われれば、目に包帯などという仰々しいものをしたくなくとも、患者であるナマエは受け入れるしかないのだ。不満を口にできない代わりに、小さく唇を尖らせる。

「んな顔してんじゃねえ。ほら、ライムも手伝ってくれ」

 言われて、ライムはすぐにナマエの髪をすくい。ホンゴウはそのままゆっくりと包帯を巻き始める。ふたりともナマエの髪が絡まぬよう気を遣ってくれているらしく、とても丁寧な手付きだった。

「…よし。これで大丈夫。他に痛むところは?」
「特にないよ。ありがとう」
「ん。じゃあ、一日三回。この目薬さすようにしろよ」

 ホンゴウはナマエの手を取ると、掌に小瓶を置いた。ナマエは確かめるようにその輪郭を撫でる。
 細長く、片方の端にはスポイトのようなゴムが付いている。ホンゴウが薬を作る際に使う薬瓶のひとつだということはすぐに分かった。つい先ほどさしてくれたのもこの薬なのだろう。
 念を押すように、「一日三回だぞ。絶対にさせよ」と言われ、ナマエは「うん」と再び返す。

「包帯も変えてやるから、明日また昼頃診せに来てくれ」
「分かった」
「そういうことだから、ライムジュース。しっかりナマエのサポートしてやれよ」
「おー…」

 それまで始終無言だったライムは、ホンゴウの言葉にあからさまに覇気のない声を返し。ナマエの手を取ると、そのまま医務室を出ていった。




 医務室を出てすぐ右へと向かえば甲板へ出られるのだが、ライムは迷わずその逆、左へと向かった。医務室から三つ扉を通り過ぎれば、その先にはナマエの部屋がある。
 慣れた道だ。医務室を出て左に行ったとなれば、見えずとも今どこにいるかぐらいは判断ができる。ナマエは当然の疑問を口にした。

「ねえライム、甲板行かないの?」

 けれどその問いに答えが返ってくることはなく。代わりに扉が開く音が聞こえ。ナマエは強く手を引かれるまま、ライムと共に部屋へと入った。

「わ、」

 入るや否や、ナマエはライムにぎゅうと抱き締められた。背中と後頭部には手が回され、顔はライムの胸元へと押し付けられてしまう。
 なにも見えない分他の四感がいっそう鋭敏になっているのか、ライムの鼓動や匂い、肌の感触が、普段よりずっと強く感じられ。その妙な生々しさに、ナマエはぎくりと身体を強張らせる。
 それを拒絶と思ったのだろう。ライムの腕には逃がさんとばかりにさらに力が込められる。背中がしなり、ナマエは思わず「ぐえ、」と蛙が潰れたような声を漏らしてしまった。

「ら、いむ、い、一旦ちょっと、離して…っ、」

 少し力を緩めろと背を叩き訴えれば、それが拒絶でないと分かり、ライムはわずかに力を緩める。それでもナマエの頬は相変わらず、胸へとぴったりついたままではあったが。

「…いきなりどうしたの」

 ようやくわずかばかり動かせるようになった手を、同じようにライムの背へと回し。まるで親が子供にするような声で尋ねる。
 優しい声音にライムは一瞬ぴくりと肩を震わせると、身体をわずかに離し。おずおずとナマエを見やった。

「…自己嫌悪中」
「え、なんで」

 返ってきた反省の弁に、ナマエは包帯の下で目を丸くする。疑いを一切含んでいない、純粋に自己嫌悪の理由が分からないといったナマエの様子に、ライムはばつが悪そうに「あ゙ー…」と頭をかきながら、見えていないとは理解しつつも視線を逸らした。

「……こうなってんのは俺のせいだってのに…堂々とお前とくっついてられるってことが……嬉しくて」

 その言葉にナマエは一瞬、きょとんとして。そうしてすぐに、ライムの言わんとしていることに気が付いた。
 ふたりが恋人同士というのはもはや周知のことではあるが、だからといって人目もはばからずいちゃつけるほど、恥も外聞もないわけではない。だからナマエは誰かがいる場所で、いわゆる恋仲らしい接触というものを、あまりしたがらなかった。
 けれどここは大勢がひとつ屋根の下で暮らす船の中だ。人目が無い場所などほとんど無いといっても過言ではない。ならばそうした接触をする際にどうするかと聞かれれば、互いの部屋しかないわけで。
 しかしここでもまたひとつ問題が生まれる。
 大幹部の中でも部下の数が多く、しかも両隣にスネイクとルウの部屋があるライムの部屋は人の出入りが比較的多く。いつ誰とも鉢合わせするかも分からなかった。それなら他よりも外れた場所にあるナマエの部屋にいればいいのかもしれないが、二人揃って始終そこに籠もりっぱなしというわけにもいかず。
 結果としてふたりが恋人らしく過ごせる時間や場所というのは、四六時中一緒にいる分多いように見えて、実は少ないといった状態だった。
 だからホンゴウにサポートを頼まれたとき、ライムはこれをチャンスと考えた。もちろん怪我をさせてしまったという自責の念は多分にある。そして普段のナマエの、人にあまりそういう姿を見られたくないという考えも理解はしている。
 ただ、それはそれとして。"ナマエのサポート"という、堂々と人前で共にいられる大義名分を得たことに喜びを感じてしまったのも、また事実だったのだ。
 原因の自分は反省しなければいけない。改めて他者に指摘されて、罪悪感が押し寄せた。けれど言葉を選ばなければ、堂々といちゃつくことができる。でも──。そんな葛藤をしていたせいで、結果無言になってしまっていたらしい。

「……悪ィ」

 まさかの吐露に、ナマエは間抜けにもぽかんと口を開いたまま呆気に取られてしまう。
 そんな様子に、ライムはナマエが怒っていると思ったのだろう。まるでしょぼくれた犬のように謝罪に言葉を口にした。

「あ、いや、ごめん。怒ってるわけじゃなくて…、」

 おそらく眉間にこれでもかとしわを寄せているのだろう。見えないのであくまで想像でしかないが、それでも、そうだという確信がナマエにはあった。声が、本気で落ち込んでいるときのものだったから。
 気持ちを吐露した直後に相手が呆気に取られていては、怒っていると勘違いしても無理はない。ナマエはしまったとばかりに慌てて否定をする。──けれどあからさまに落ち込むライムからは視えぬ場所で、ナマエはじわじわと湧き上がる喜びに、上がりそうになる口端を必死に抑えていた。
 日常のサポートなど、普通であれば面倒だと思いそうなものなのに。それどころかライムは一緒にいられるのだと、喜びを感じている。言い方は少々下品だが、やることやっている仲だというのに、今さらそんなことが嬉しいのだとはしゃいでいる。
 その事実に、不覚にもナマエ自身胸をときめかせてしまったのである。くっついてられるって、なにそれ。ちょっと、可愛すぎないか。
 自分も大概ライムにベタ惚れだなと思いつつ。ナマエは気持ちを落ち着けるため胸中ひとつ息を吐くと、ライムの胸元にこつんと額を当てた。

「…ライム、ちょっと座りたい」

 甘えるように額を擦り付け言えば、ライムは少しの戸惑いの後、ふっと腕の力を緩め。ナマエを片腕で軽々抱き上げると、そのままベッドに、ぎしりと大きな音を立てて座った。
 向かい合わせで膝の上に乗せられたナマエは、ライムに寄りかかり全身を委ねる。

「…どっか辛いのか?」

 片腕でしっかりナマエを抱えながら、ライムは首元に埋められた頭を優しく撫でる。動揺と心配が混じったこんな声を聞くのはあの大喧嘩以来かもしれないと、ナマエはなんだか懐かしい気持ちになった。

「何度も言うけど、どこも痛くないし、辛くもないよ」

 見えないからだろうか。現金だが、いつもより恥ずかしさがなく。それどころか素直になりたいとさえ思え。ナマエはライムの背に腕を回すと、赤いシャツをぎゅうと握りしめた。

「…でも、今日はライムと、ずっと部屋にいたい。…から、ちゃんと面倒見てよね」

 ほんのり熱くなった頬を隠すように首筋に擦り付けながら、ナマエはぽつりと呟く。
 ナマエなりの精一杯の甘えだった。チャンスだと言いながら、同時に邪な感情を抱いたことに自己嫌悪なぞをする、なんとも可愛らしく、いじらしい恋人への。
 自身も同じ想いなのだと存外に告げた途端、ライムは身体をブリキのように強張らせた。どちらのものかも分からぬ心臓の鼓動が、寄り添った肌の間でどくどくと響き合う。

「……ライム」
「…待て、言うな」
「なんか、お腹に当たってるんですけど」
「言うなって…!」

 ライムは「くそ…、」と情けない声を出しながら、赤く染まった自身の顔を片手で覆い。絞り出すように天を仰ぎ見る。

「……お誘いは死ぬほど興奮するけどよォ…」
「いや別に誘ってはないんだけど…」
「…お前と、目、合わせてられねェのは嫌だから…今日はなんもしねェ……」

 今日は、という単語に少々引っかかったもののその前の、目が合わせられないからという理由については、大いに心が掴まれたので。ナマエはそこについては触れないでおいた。

「……ちなみになんだけどよ、」
「うん」
「……全部って、どこまでだ。風呂とかは?」
「…いや、さっきなにもしないって言ったでしょ」
「触るくらいは許されるだろ…」

 頭に置かれたまま止まっていたライムの手がするりと滑り、ナマエの腰へと回される。怪しい動きをするそこを、ナマエは「ばか」と笑いながら、嗜めるように小さく叩いた。





 抜けるような青には雲一つ存在せず、甲板には眩しいほどの太陽が降り注いでいる。洗濯日和だ、いや掃除日和だと走り回る船員たちの声を背に、ナマエとライムはふたり、船べりの手すりに身を預け水平線を眺めていた。

「眩しくねェか?」
「うん。もうすっかり平気」

 ライムの言葉に、青い瞳が得意げに弧を描く。数日ぶりに視界に映せた日常に、ナマエもすっかり上機嫌なようだった。

「…原因の俺が言うのもなんだけどよ、ちゃんと治ってまじでよかったわ」

 ホンゴウは一時的なものと言っていたが、あくまでその可能性があるというだけで、断言はできていなかった。それはつまり、そのまま見えなくなってしまう可能性だってあったわけで。
 もしかしたら、この美しい青に二度と自身を映してもらえなかったかもしれない。今だってそう考えただけで、ライムの背中にはひどく冷たい汗が流れる。
 心底安堵しているといった様子のライムに、ナマエは「うん、そうだね」と、同じく当たり前に見えているこの光景に感謝するように返した。

「…じゃあ、同じように、私が言うのもなんだけどさ」

 海からライムへ視線を移し、ナマエはくしゃりと顔をほころばせる。

「理由があれだったとはいえ、ずっと一緒にいられるっていうのも…確かに悪くなかったね」

 へへ、と誤魔化すようにこぼれた小さな笑い声は、それでも心の底からの言葉だという色を、隠しきれてはいなかった。
 あの大喧嘩以来、ナマエは少しだけ素直になった。相変わらず恥じらいはわずかにあるようだが、こうしてきちんと言葉にして伝えてくれる。しかもその言い方が、慣れてないからか少し拙い感じになっていて。それがまたライムの心を、いっそそのまま潰されるのではと思うほど握り締めてくるのだ。可愛いすぎて死ぬと本気でそう思える。
 溢れ出る衝動に抗うことなく、ライムはナマエを抱き締めた。

「う、わっ」

 ライムは感極まると、まるでその想いをぶつけるように、ナマエを思いっきり抱き締める。そうしてなにかを堪えるように唸ったり、時には無言になったりする
 それはあの大喧嘩以来ナマエが気付いた、衝動にかられたライムがする癖のようなものだった。だからたぶん、これもそうなのだろうと、ナマエはなんとなく思う。
 これまでは人目の在る処でこんなことをされようものなら、「ちょっと」だとか、「離れて」だとか。羞恥からそうして咎めていた。けれどそばにいてもらうことの心地良さを覚えた今は、そんな気はちっとも起きず。むしろもっと強くとばかりに、ライムの服の裾をほんの少しだけ握り返した。
 それに気付いたライムの力はいっそう強くなり。ぐうとしなった背中に、ナマエは「痛いって」とくすくす嬉しそうに笑う。

「おーい、お前らー。甲板でいちゃつくのは止めてくださーい」

 遥か頭上から呆れた声が降りかかる。ライムとナマエは声のした、見張り台の方を見上げた。
 そこには単眼鏡を片手にヤソップが、苦々しい顔でこちらを見下ろしていた。

「うっせェ!嫉妬してんな!」
「嫉妬じゃねェよ!」





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