洗い立てのなめらかなシーツと、少し汗ばんだ背中の間に、節くれだった手がゆるりと差し込まれる。圧し潰さないようにと気を遣いナマエがわずかに背を反らせば、胸元に顔を寄せ柔らかさを堪能していたシャンクスが、褒めるように強く吸い付いた。
痕が残るであろう強さにナマエが小さな声を上げると、シャンクスはまたそれにも満足そうに笑い。再び可愛らしい音を立て唇を触れさせながら、するすると顔を下していく。
「…もう少し身体を上げられるか」
そうしてみぞおちの辺りに唇を寄せたとき、シャンクスは少し考えたようにそう言った。同時に背に回されていた手には、それを助けるように力が込められる。
ナマエは熱に浮かされ始めた脳内で、少し遅れてその言葉に込められた真意を理解すると、投げ出していた両腕をシャンクスの後頭部へゆるりと回し。自らの胸元へ抱きかかえるように細い指先を赤髪へと絡めた。
「いい子だな」
吐息のような声と少し癖のある毛先が肌をくすぐる感覚に、ナマエが小さく声を漏らす。早くと急かす色さえ含まれているような甘い声に、無意識のうちにシャンクスの口端が上がる。ずいぶん可愛らしいおねだりをするようになったものだ。
甘い柔さを堪能するように頬を擦り寄せながら、シャンクスは器用にホック部分を噛み。わずかに舌を動かしながら、少し強めに持ち上げた。そうすれば、数秒と経たずにホックは外れ。支えをなくしたそこは重力に逆らうことなく、その柔らかさを強調するかのように、ふるりと揺れた。
「な、んで外せるんですか…」
今日ナマエが着けている下着は前にホックが付いている、いわゆるフロントタイプのものだ。普段あまり着けることがないことにくわえ、こうして身を寄せ背中に腕を回した状態では、隻腕であるシャンクスにホックを外すことはできないだろう。だから唇を触れさせていたのは、てっきり戯れに噛んでいるだけだと、そう思っていた。
けれど、どうだ。今シャンクスは顔を寄せ、ホック部分を噛んでからものの数秒で、あっさり外してしまったではないか。
驚くナマエに、胸元に顔をうずめていたシャンクスは赤い瞳でじっと彼女を見上げる。
「片腕期間が長いもんでな。慣れてんだ」
目尻にしわを寄せ、まるで悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべるシャンクスに、「あ、これ、からかわれてるな」とナマエはようやく気付くことができた。
実はこの前、まったく同じ状況になったことがあったのだ。忘れもしない。そのときシャンクスはフロントホックに指先を引っかけながら、「なあ、片手じゃ無理だから、自分で外しちゃくれねぇか」などと、甘えるように言っていた。
それが今はどうだ。慣れている、だなんて。ナマエがフロントホックの下着をつけたのはこれが二度目。つまりシャンクスはナマエに自ら下着を外させたあのときから、まだ一度しかこれを扱っていないのだ。
だというのにこれほど簡単に口で外せるということは、元々できることをわざとナマエにさせていたと、そういうことなのだろう。
慣れてんだ、などというわざとらしいその言い方にも、ナマエは頬を赤くし。むっつりと唇を尖らせる。
「…この前も自分で外せたんでしょ…お頭の馬鹿……」
「初めて見るのは本当だったさ。ただ、お前が自分で外すところが見たくてな」
あっさり認めるところも実に腹立たしい。そうされてしまえばナマエに言葉を飲み込むしかできなくなってしまうのだから。
「もうお頭の前でこれ着けない…」
「おいおいそんな冷てぇこと言うなよ。これ、俺は結構気に入ってんだぞ?」
こぼれた胸を柔く揉みしだきながら、機嫌を直せとばかりに犬のように擦り寄る。いやらしい手付きと甘える仕草のちぐはぐっぷりも、自分の魅力を分かっていると言いたげで。
その仕草と、お気に入りという言葉と。なによりわずかに眉尻を下げた、今度は計算もからかいも一切含まれていないと分かるその顔に、結局丸め込まれてしまう未来があっさり脳内を過り。あまりに単純な自身の思考回路に、ナマエは胸中大きなため息をつくしかできなかった。
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