日に日に寒さの増す今日この頃。耳に入るニュースの天気予報コーナーでは「この冬一番の寒さです」などとしなくてもいい記録を更新していて。視界の端に見えたリポーターの吐く息のあまりの白さに、寒そうだなと他人事のように小田切は思った。

「お、だぎりさ、っん」

 それと対比するかのように熱を持った声色に名を呼ばれ、小田切は自身の足の間で、まるで学生が授業中に居眠りするかのように背中を丸め机に突っ伏すナマエと目を合わせた。その顔は真っ赤に染まっていて、瞳には薄い膜が張り今にもこぼれ落ちそうである。

「あ、暑い、です…」

 唾液で濡れ艶を帯びた唇から発せられたそれは情事の快感によるものではなく、今まさに繋がる下半身を入れた暖房器具による、物理的なものへの感想であった。
 寒さに弱い小田切は十月の終わり頃にはすでにあらかたの暖房器具を出しているのが恒例で。それはナマエと同棲を始めてからも変わらず、今年も木枯らしが吹き始めた時にはエアコンの掃除をしヒーターとこたつを出し、早すぎる冬の準備をしていた。
 こたつへ入りながら、商店街で買った裏起毛のパーカーを羽織りゲームをし、ナマエの料理を食べて冬を過ごす。小田切にとっては楽園に等しいこの場が、まさか瞬く間に淫靡なものへと姿を変えるとは。いやはや人間の欲とは恐ろしい。

「ああ、たしかに暑いな…」
「こ、こたつから出ればいいんじゃないですか…」
「寒いから嫌だ」
「う、ん…」

 しっとりと汗ばむ首を舐め上げれば、ぴくりと反応を示す。軽く吸い痕を残しながら、楽だからと選んだらしい少し大きめの部屋着を捲り上げてしまう。

「あ、せ、せめて水…一口でも……このままだと倒れる………」

 言葉尻弱々しく懇願し、先ほど自身が二人分用意した湯呑みへと手を伸ばす。しかし腹の前へ回された手に阻止され届くことなく、虚しく指先が動くだけである。
 それを見た小田切は落ち着けとばかりに一つ息を吐くと、抱え込んだナマエの身体へと前屈のように体重をかけていく。それにより中のものが腹側を圧迫し、意図せず締め付けてしまう。

「んっ、あ…っ」
「っ、おい、あまり締めるな…」
「そ、なこと、言ったって、も、むりぃ…あ、っあ」

 何度も小さく身体を跳ねさせている様子からみて、おそらく今ので軽く達したのだろう。抑えきれない声と切なげに締め付ける中に、元々長い間入れたままであった小田切も危うく達してしまいそうになるが、唇を噛みしめることでなんとか耐えてみせる。
 しかしそれも一時しのぎに過ぎず。どこか焦りにも似た気持ちで掴んだ湯呑みの茶を口に含むと、うなだれるナマエの顎を掴み後ろを振り向かせやや乱暴に唇を塞いだ。

「う、んん…」
「ん、…」
「んく…ん、ふぁ、っ」

 そのまま口の端から溢れるのも気にせず流し込めば、抵抗することなくナマエはそれを飲み込んでいく。

「ん、ん….んぅっ」
「は、あ…っ」
「あっ、は、ひう、…っ」

 もったいないとばかりに顎を伝うお茶を舐め上げ、再び唇を塞ぐ。今度は舌を絡めると、ようやく与えられた水分に少しばかり復活したのか、応えるようにナマエも舌を絡めてきた。

「は、っあ、んあ、あっ、!」

 呼吸のために一瞬唇を離した隙に、胸に触れ硬く立ち上がる突起を強めに摘んでやる。途端に背を仰け反らせ大げさなほど反応を示す様子がなんとも可愛らしくて。小田切は弄ぶように強く引っ張り、反対に軽く押しつぶしたりを繰り返す。

「ん、うっ、んんっ、あ、あっ」

 制止するかのようにナマエの手が小田切の腕を掴むが、全く力が入っていないためほとんど意味をなしておらず。むしろ好機とばかりに小田切はその手を掴むと、押さえつけるように握り返してしまう。

「はあっ、あ、も、だめ、っ」
「ん、もう少し、我慢できないか…っ」
「あ、っ!やだ、さわらな、で、っああ、ああっあ…!」

 我慢しろと言いつつも、空いた小田切の手はするするとナマエの腹の前へ降りていき、繋がりのやや上にある突起を押しつぶした。
 もはや覚えていないほどの間快楽の水へと使っていたナマエの身体は、それを引き金にあっさりと達してしまう。ぎゅうと遠慮なく締め付ける中に小田切も絶えることなく身を任せ、蠢く奥に熱を吐き出した。

「あ、あっあ、は…んぅ、」

 仰け反りさらけ出された首に一つ唇を落とし、もはや邪魔でしかない部屋着を下着ごとナマエの腕から抜き去る。続いて小田切も、裏起毛のパーカーを乱暴に脱ぎ捨てそこら辺に放り投げ、鬱陶しげに額を流れる汗を拭った。
 部屋の中とはいえ、真冬だというのに身につけているものはなにも無いというなんとも間抜けな状況に、やや冷静になってきたナマエの頭は罪悪感ともいえぬ妙な感覚で埋め尽くされる。

「も、暑い、むり……」
「そうだな…次からはちゃんと水分用意しておくか」
「そういう問題じゃない…」

 こんな状況にした張本人は懲りる様子もなく。むしろ抜かずに再び自身の身体を弄っていることから、なにを言っても今は無駄だと早々に察してしまう。これならいっそ満足するまで付き合った方が良さそうだと、再び与えられる刺激にナマエは諦めにも似た気持ちで身を委ねることにした。


BACK | HOME