蛍光灯の下に曝されたものを直視できず、ナマエは思わず目線をそらしてしまう。いくら前世で何度も体を繋げ、そして今生でも数回行為をしたとはいえ、こればかりは慣れるものでもない。そもそも、自身の体には存在しないものなのだから慣れるというのはおかしいのだから。
そんな言い訳じみたことを何度も考え、しかしやりたいと言い出したのは自分なのだと湧き上がる羞恥を必死で抑えながら、ナマエは目の前のものに向き合った。そして再び、固まってしまう。
「………」
「……無理にしなくていいんだぞ」
「や、やります!できます!」
心配そうな福本の声に、まるで自身に言い聞かせるようにナマエは叫んだ。
そもそも事の発端は、ナマエの衝撃的な一言からだった。その日も二人は普段のように晩ご飯を終え風呂に入り、あとは寝るだけだとリビングでゆったりとした時間を過ごしていた。そろそろ寝るかとナマエを抱き上げ寝室へと向かおうとした福本に対し、ナマエが驚くべき言葉を発したのだ。
「ふぇ、ふぇらを、さ、させてください…」
思わずナマエを落としそうになった福本であったか、すんでのところでそれだけは防いだが、代わりにピシリと動かなくなってしまった手足に、まともな言葉を紡げなくなる喉。
福本は常々、ナマエが自身との行為において受け身であることを気にしているのには気づいていた。しかしそれは幼さや経験の少なさゆえ仕方のないことだとは理解していたし、その代わりに物理的にも厳しい自身を受け入れてほしいというわがままを聞いてもらっているのだから、別段気にしてはいなかった。
しかしそれはそれとして。積極的になってもらえるのならばそれはとても嬉しいことであるし、もっと端的に言えば、ものすごく興奮するのだ。
どういうことだ、なにを言っているんだ、まだ無理はさせたくない、真っ赤な顔で恥ずかしいんだろう、俺のことなら気にするな。ぐるぐると浮かんでは消える言葉たちが頭の中を駆け巡り、辛うじて出たのは「い、いいのか…」という期待の言葉だった。
おぼつかない手つきで福本の寝巻きのスウェットを下ろし、一瞬躊躇しながらも下着も下ろしてしまう。そして出てきたのは、ナマエに真っ赤な顔でお誘いを受けたためかすでに熱を持ちゆるく勃ち上がっているものだった。その大きさに、今までこれが自身の中に入っていたのかとナマエは驚きで言葉を失ってしまう。
「……………」
「…そんなにじっくり見られるとさすがに恥ずかしいんだが」
「う、ええ、す、すいません…」
「……やっぱり止めるか?」
「む、で、できます!やります!」
むっとした表情で答える様子に、前世の自負心をこんなところで出さなくてもいいんだがと思いつつも、あの照れ屋なナマエが自らこんなことをしてくれるなんてという喜びがその言葉を頭の中に留めさせていた。
とはいえ、こうも怯えられてはやりづらいのもまた事実なわけで。直前で固まってしまったナマエを見てやはり止めさせるかと福本が声をかけようとした瞬間、小さな口が意を決したようにぱくりと先端を咥え込んだ。
「んぅ、ふ、ぁ…」
苦しげな声を漏らしつつも、尖らせた舌先で出っ張りを刺激する。ぎこちない動作で裏筋に舌を這わせ時折吸い上げれば、福本は思わず声を漏らしてしまう。
「っう、」
「ん、んん…」
珍しい福本の声に気を良くしたのか、それとも吹っ切れたのか。それまでの戸惑いが嘘のように、ナマエは咥え込んだ熱に拙いながらも愛撫を施す。
…これはまずい。福本の頭の中にはそんな考えが早々に巡っていた。
刺激としてはたしかに拙いものだった。しかしそれ以上に、ナマエがあの小さい口で自分のものを咥え込んでいるその光景だけで、福本は理性が焼ききれそうなほど興奮していた。
本当は頭を掴んで腰を振って、その口内に欲をぶちまけてやりたい。そしてそのまま飲み込んで身体の中に取り込んで欲しい。頭の中を駆け巡る欲望をなんとか留め、ナマエの頬に手を添え顔を上げさせる。
「ん、ふ、福本さん…?」
不思議そうに見上げてくるその口元と自身の先端は細い糸で繋がっていて。重力に従ってぷつりと切れるその様子にさえ煽られる。
「ご、ごめんなさい、気持ち良くなかったですか…」
瞳を潤わせ謝る様子にまだ続けさせようかと一瞬頭を過るが、これ以上されては我慢できる気がしない。下手をすれば恐怖で泣かせるかもしれないというあまりよくない考えが過ぎった福本は、子供をあやすようにナマエの頭を撫でて誤魔化す。
「いや、気持ち良かった。けど、出すならナマエの中で出したい」
直球な言葉に赤面しつつも、褒められたことが嬉しかったのだろう。ナマエは頭を撫でる手に嬉しそうに笑っていた。
しゃがみこむナマエを自身の胸に寄りかかるように膝へ座らせ、ずり落ちていた洋服を下着もろとも剥いてしまう。あっという間に生まれたままの姿にしてしまえば、せめて少しでも見られないようにという抵抗なのか、俯いて胸元を隠すように縮こまった。
フェラまでしておいて今さらだと思いつつ、福本は胸元を隠す腕を退けさせまだ小さな胸を揉み上げた。そのまま乳首の先端を円を描くように撫でやや乱暴に摘めば、ナマエの声にはすぐに甘さが混じり始める。
「あっ、ひ、んん、」
びくりと跳ねるナマエの顎を掴み後ろを向かせ、やや無理やり唇を重ねる。先ほどまで咥えていたせいか苦味の残る口内に福本は思わず眉間にしわを寄せたが、嬉しそうに舌を絡めるナマエの姿を見てそんなことはすぐに気にならなくなった。
「ふ、んん…はぁっ、んく…」
必死に舌を絡めるナマエに応えつつも手の動きを止めることはなく。左手で胸を揉みしだきながら右手をするすると下ろしていき、薄い腹を通ってぬかるむそこへ指を触れさせた。
「ん…んあっ、はぁっん、!」
数度入り口を往復し迷うことなく指を二本差し込めば、そこは待ち望んでいたかのように福本の指を飲み込んでいく。わざと音を立てるようにすれば、ナマエの声と混じり卑屈な音が室内に響いた。
「は、あ、っあぁ、」
根元まですっかり飲み込みきゅうきゅうと締め上げる中で容赦なくバラバラに動かし始めれば、ナマエは声にならない声を上げて体を跳ねさせる。
指の先に触れるざらつきを撫で上げ、時折円を描くようにぐるりと回転させる。そして二本の指をまとめて、見立てたそれを大きく抜き差しをすればその度ナマエは声にならない声を上げ簡単に頂点へと上り詰めていく。
「ひ、あっあ、ああ、やだ、やだぁっ!」
最近ようやく体を繋げることに慣れてきたおかげか、それとも元来の飲み込みの早さなのか。こういった物事に関して上手い下手という言葉を使ってしまうのはいかがなものかとは思うが、それでもそれ以外にしっくりくる言葉がないほどには、ナマエの身体は快楽を拾うのが上手かった。
福本の今生における経験から察するに、どんな女性でも中で快楽を拾えるようになるには数回程度はかかる。さらにナマエのように二次性徴に加え体格の違いすぎる相手のものを受け入れるとなっては苦痛が勝り、気持ち良いと感じるにはさらに時間がかかるはずなのだが…。
ナマエの身体は良い意味で素直で、なおかつその全てで福本との行為に感じていると表していた。浅はかではあるがこれに喜びを感じない男はいないだろう。日頃から同僚には感情に乏しいと言われている福本とてそれは同じで。自らの手であっという間に乱れるナマエを見るのは、それだけで下半身にくるものがあった。
「ふ、んぅ、んんん…は、あっ、」
かき回す度ちゅぷちゅぷと音を立てるのが恥ずかしいのか、ナマエは徐々に足を閉じようと膝を動かす。けれどそれに目敏く気が付いた福本は、ナマエの足を自身の膝に引っ掛け大きく開いてしまう。そうすると、膝に乗せられているため必然的にナマエの足も大きく開く形となるのだ。しかもリーチは福本の方がはるかに長いため、力の抜けた身体ではそれを振り払うこともできず、されるがままナマエは濡れたそこを曝け出してしまう。
「こら、閉じるな」
「だ、って、ふくもとさ、やだぁっ」
「嫌じゃない。この方が触りやすいだろ」
「ひっ、そ、なこと言わな、っで、はっあ、あ、」
出し入れをしながら入り口の上にある小さな突起を軽くつぶしてやれば、ナマエは背を弓なりに大きく反らし、もう何度目か分からない頂点へと達した。
「ん、う…っ」
ずるりと指を引き抜かれすっかり力の入らなくなった身体を福本の胸元へと預け必死に呼吸を整える。口の端から溢れる唾液を親指で拭いつつ上を向かせ啄むように唇を重ね合わせると、嬉しそうに目が細められた。
「ふ、んん、ん…、んあ…あっ、」
「ナマエ、少し力抜け…」
「む、無理言わないで、ください…っ」
「無理じゃないだろ…ほら、」
「ん、ああ、っ」
細い腰を掴み持ち上げ濡れるそこへ先端を押し付ける。離された唇からは期待にも似た甘い声が出され、福本の鼓膜を揺さぶった。
入り口に数回擦り付けた後、負担をかけぬようにとゆっくり入れていく。圧迫感に苛まれながらも確実に入り込む熱に、ナマエはぞくぞくと背中を駆け上がる快感に必死に耐える。
「は、あっあ、んあっ、あ!」
仰け反る背中に伝う汗を眺めながら落ちないようにと細い支え腰を打ち付ける。曝されたうなじをひと舐めしつつ吸い上げれば、白いそこに真っ赤な痕がついた。あの頃は決してつけられなかったキスマークは今なら思う存分つけることができる。いつか消えるとはいえ子供のような独占欲を目に見えるものとして残せることに福本は少なからず高揚していた。もう二度と逃がさないとでも言いたげにいくつも痕を残していけば、まるで首輪でもされたかのようにナマエの首元には痕が散りばめられる。そこに力を込めず柔く歯を立て甘噛みしていると、苦しげな声に名を呼ばれた。
「ふ、くもと、さ、っはぁ」
「どうした…」
「あ、かお、顔見たい、っふ、あ、あっ」
眉を八の字に下げ涙をこぼしながら申し訳なさそうに振り向く。唇を震わせ快感に耐えながら、それでも時折こみ上げる熱に小さく声を漏らす。「お願い…」と吐息交じりに呟くその姿のあまりのいじらしさ、可愛らしさに思わず頭を打ち付けてしまいたくなった。
なんだ、なんなんだこの生き物は。もはや可愛いとかいう言葉だけでは済まされないぞ。
危うく射精しそうになるのを奥歯を噛みしめることでなんとか耐え、まだ中にいたいと熱を持つ自身を一旦引き抜いた。その時にも声を漏らされるものだからたまったものじゃない。
すっかり力の抜けたナマエの身体を持ち上げくるりと向きを変えてやる。視線が合うや否や性急に唇を重ね、薄く開いたそこに舌をねじ込んだ。優しく吸い上げ、上顎を舌先で擽り歯列をなぞれば、小さな身体はかわいそうなほど跳ね上がる。
「ふ、んあっ、んん…ん、んっう!」
くちくちと音を立て絡まる舌にナマエが夢中になっている間に、福本は再び中へと熱を押し込んだ。中途半端に刺激を与えられていたせいか、ナマエの中は入り込んだ熱を喜ぶように締め付ける。
「んんんっふ、んぁっあ、っは、はあっ!」
「ナマエ、っん、はぁ…」
「あ、ふくもとさ、は、ああっん!あ、あっ!」
細い腕を福本の首に回し隙間なく密着すれば、胸の突起が擦れて僅かな快感を生む。それにすら過敏に反応するナマエの身体を福本はさらに快感の渦へと落としていく。
小さな身体は突き上げる度苦しげに震える。薄い腹はほんの少し膨らんでおり、中に入っているのだとその存在を主張していた。
「う、んうぅ、は、ふくもとさ、それ、くるし、」
ぽっこりと膨らむそこを指先で軽く押せば、連動するように締め付けも強くなる。ほんの少し圧迫感があるらしいが、それすらも気持ち良いのかナマエは甘い声を漏らす。もうどこを触られても全て快感に変えてしまうのはある意味才能と言ってもいいのではないだろうか。
軽く力を込めたまま指先を滑らせ、繋がるそこの上部にある小さな突起を再び弄ぶ。先ほどよりも強く摘み上げこねくり回せば、下半身に広がる妙な感覚にナマエはいよいよ悲痛な声を上げる。
「あ、それいっしょ、だめえっ!」
「…駄目じゃないだろ」
だめと言いつつも縋るように擦り寄る腕に、これはほぼ無意識のうちに出てしまっている言葉だと知っている福本は手の動きを止めることはしない。加えて腰の動きも奥を突く激しいものへと変え、嫌だと首を振るナマエをどんどんと追い詰めていく。
「あ、やらっ、なんかきちゃ、きちゃうっ、ひぅ、あっあ、あ、ああっ…!」
「っ、う…」
少し下りてきた子宮の入り口を先端で突き上げると同時に突起を強く押しつぶせば、大きく痙攣しながらナマエは達した。その締め付けに引きずられるように、福本も中へと精を放つ。
「ひ、う、んんんっ、あ、ああっ…あ、っ」
どぷどぷと中を満たす熱にナマエが悲鳴にも似た声を上げた瞬間、繋がるそこから透明な水が流れ出した。自身の腹を濡らす愛液とは違うさらさらとしたその液体がなんなのか早々に察した福本は、同じく察したようで顔を真っ赤に染め上げたナマエへと視線を向ける。
「…潮吹くほど気持ち良かったか」
低く、ぼそりと呟かれたその言葉に、ナマエはまるで叱られた子供のように肩を跳ねさせ、そして。
「ど、うして、そうはっきり言っちゃうんですかあ…」
あまりの恥ずかしさに耐えられなかったのだろう。ナマエはついに生理的なものとは違う涙をその大きな瞳からぼろぼろ零しながら、情けない声でそう言った。これには流石の福本も罪悪感が勝ったらしく、慌てた様子で涙を拭ってやる。
「悪かった、少し調子に乗りすぎた……」
「うっ、ふ、くもとさんの、ばかぁ…あほぉ…へんたいぃ……」
「……………」
悪口のレベルが小学生のようなのは、恥ずかしさやら疲れやらであまり頭が働いていないからなのだろう。鼻をぐずぐず鳴らし泣く姿にさえ可愛さを感じつつも、それを今言えばまた怒らせることになるだろうと、福本はその言葉をすんでのところで飲み込む。
「……泣くな…」
俯く頬に手を添え顔を合わせる。嫌だとそらされる視線を追うようにその目元へ口付け再び「すまなかった」と小さく謝れば、拗ねつつもようやく目を合わせてくれた。
至近距離で見つめ合い、そのまま軽く、啄むように唇が重なる。ちゅ、と音を立てて離れれば、ナマエの機嫌はほんの少し直ったようだった。
「ふくも、あっ…!?」
少し距離をとろうとしたのだろうか、なにげなく、ほんの少し動いたことでナマエは下半身からの刺激に声を漏らしてしまう。そして信じられないといった顔で福本を見る。
「………ナマエ、」
「む、無理です」
決定的な言葉を言う前にきっぱりと断るナマエであったが、およそ先ほど吐き出したとは思えないほど元気に勃ち上がる福本が中に存在したままであり、そしてさらにナマエの身体は行為の疲れで普段のように力はうまく入らず福本の腕によってようやく支えられている状態だ。
つまり、要するに。今のナマエには逃げ場がないということであった。
信じたくもない状況を理解してしまいさあっ、と青くなるナマエをよそに福本は腰を動かし出す。先ほど自身が出した白濁とナマエの愛液のおかげで、それはすぐにスムーズなものへと変わっていく。
「っ、あん!あ、やだっ福本さん!」
「…すまないナマエ、もう一度だけ付き合ってくれ」
「や、ああっ!むりっ、やだぁ!」
そもそも今の雰囲気のどこに興奮する要素があったんですか!
ナマエのそんな責めるような視線を感じつつも、再び昂ぶる熱に促され福本は腰の動きを早めていく。
ばか!あほ!と再び喚く唇を無理やり塞ぎながら、福本は心の中で小さく三度目の謝罪をしたのだった。
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