暦は二〇一八年の四月六日。本来ならば入学式が行われるはずだったその日にナマエが任務へ行っていたのには、それなりに理由があった。
 それはつい今朝方のこと。共に一年として入学式に参加するはずだった伏黒が、急遽任務へ向かうことになったためだ。万年人手不足の業界故、たとえ学生だろうと式があろうと優先されるのは呪霊の対処なわけで。元より旧知の仲、加えて二人で入学式をやっても仕方ないと元々必要性を感じていなかっただけに、伏黒は「構いません。行ってきます」と、青春時代の思い出の一つでもある入学式をやらないなんてー!と嘆く五条を無視し、二つ返事で足早に任務へと旅立って行った。
 となれば、もう一人の新入生であるナマエも手が空くわけで。それなら私も任務行きますと、ちょうど報告が上がっていた近場の任務を与えられたのだ。
 そしてそれが終わったのが、日も落ち始めた頃。共に現場へ向かっていた新田と共に高専へ帰ろうかと話をしていたまさにその時、ナマエの携帯に一本の連絡が入った。
 妙な既視感を抱きつつ携帯を確認すれば、表示されていた名前は予想通りのもので。しかし前回と違うのは、それが電話ではなくメールだったということぐらいか。

「…新田さん、すいませんけど、今日はここで下ろしてもらってもいいですか?」
「ん?…あ、そんなに遠くないっスね。了解っス!」

 ──見せたいものがあるから、任務後そのまま僕の家に来て。
 普段のスタンプや絵文字を乱用した明るい文面ではなく、白黒の簡素な文。それは五条がなにかを企んでいる時のものに他ならない。
 例えばそれが良い企みなのか悪い企みなのか、大概は後者であるが、それを断る権利も理由もあいにくナマエは持ち合わせていない。
 伏黒のように突っぱねればいいのだが、そこは惚れた弱みというやつなのだろう。結局こういうところで甘いのだと自分に苦笑しつつ、言われた通り五条の自宅へと向かった。



「入学おめでとう〜!」

 どこから取り出したのか、普段のテンションにさらにご機嫌を上乗せさせた五条は、玄関を開けたナマエに向けて盛大にクラッカーを鳴らして見せた。
 ちなみに、クラッカーは人に向けて発射してはいけない。常識である。

「ありがとうございます…」

 先ほどの言葉から察するに、おそらく中止になった入学式のお祝いとやらだろう。青春時代の思い出だの何だのと騒いでいたが、まさかそこまでめでたく感じてくれていたとは。
 はらはらと目の前を待っていく紙吹雪に照れくささを感じつつもお礼の言葉を述べると、五条は満足気に微笑みナマエに頭に掛かったリボンや紙切れを取ってやる。

「ついにナマエが僕の生徒かぁ…なんだか感慨深いね」
「…その言い方、なんだか先生、おじさんみたいですよ」
「僕まだピチピチの二十八歳なんだけど?」
「うわあ、その言い方もよけいにそう思いますね」
「やだぁ、止めてよ」

 おかしそうに笑うナマエに拗ねたのか、黙ってくれとでも言いたげに五条はその小さな唇を塞いでしまう。不意打ちにぴたりと止んだ笑い声と、狙い通りの様子に今度は五条がにんまりと笑う。
 柔らかな頬を両手で包み込み、啄むように何度も、可愛らしく音を立てながら唇を顔中に落としていけば、ナマエの身体から徐々に力が抜けていく。

「ん…っせんせ、待って」
「んー?」
「みっ、見せたいものがあるんじゃ…っ」
「あ、そうだ忘れてた!」

 逃げる腰に手を回し抱き寄せれば、いつものセックスの流れ。このまま玄関で突入するかと思われたそれは、ナマエの言葉で何かを思い出したらしい五条によって終わることとなる。
 危なかった〜、とどこか楽しそうな様子で力の抜けたナマエを抱き上げると、リビングのソファへと連れて行く。そのまま「ちょっと待ってて」と、自身はいくつかある部屋の一つにするりと入って行ってしまった。
 たしかその部屋はクローゼットだったはず。ということは、見せたいものとは洋服だろうか。キスで少しぼんやりとした脳内でなんとなく考えていれば、背後で扉を開く音が聞こえた。

「お待たせー」
「先生、見せたいものってな…え?」

 振り向いたその先。にこにこ笑う五条を上から下、確認するように何度も行き来すると、ナマエは喉を震わせ、なんとか言葉を発する。

「ど、うしたんですか、それ…」
「ナマエが制服オーダーするとき、僕も一緒にした」
「…なんで?」
「思い出作りするために♡」

 五条の私服は元々黒くシンプルな物が多い。彼の好みというのも勿論あるだろうが、おそらく体躯故にサイズの合う物が少なく、オーダーメイドや機能性重視で買うからなのだろう。それは普段仕事で着ている物もそうだ。
 だからナマエは気付けなかった。先程玄関で自身を出迎えたまさにその時。五条が着ていた服が仕事着でも、ましてや私服でもなく。──高専の制服だということに。
 といっても、先程までの五条の恰好は白いワイシャツに黒のスラックス、それと丸いサングラスのみだった。その状態からそれが制服だと気付ける強者はどこにもいないだろう。
 そして今、それらが制服だったとナマエが判断できたのは、クローゼット部屋から出てきた五条が校章の付いた上着を着ていて、なおかつ、学生時代の彼の姿を知っていたからだ。

「思い出作りって、なんの……」

 そこまで言って、ナマエは一つの答えに辿りつく。
 まさかそんなことはないだろう。どうか違っていてくれと、願いにも似た気持ちで問いかける。

「…正気ですか?」
「正気だし、これ以上ないくらい本気♡」

 そしてナマエが答えに辿りついた事もとっくに理解している五条は、その願いをあっさり跳ね除けた。
逃げられるとは思っていないが、それでも本能的に距離を取ろうと勢いよく立ち上がったナマエの身体は、次の瞬間にはソファに沈んでいて。
 背中に触れる滑らかな革の感触と、恍惚とした表情でこちらを見下ろす五条に、ナマエは顔が青くなっていくのを感じる。

「せ、先生」
「あー、駄目だよナマエ。僕は今、"先生"じゃなくて、"先輩"なんだから…♡」

 すっかり正気を無くした様子だけれど、実はしっかりとした意思を持ってこの行為を行っているのだから、それはそれでもっと危ないのかもしれない。
 これ以上色々な意味で刺激しないようにと、おそらくそう呼べという意思を汲み取り恥を忍んで「…先輩」と呼べば、どうやら正解だったらしく。五条は満面の笑みで「いい子♡」とナマエの頭を撫でた。
 ──そういえば、五条はこの制服を作ったと言っていた。必要以外のものをあまり持たない主義なだけに、学生時代の物は当の昔に捨てている。
 制服えっちはしたいが、もう捨ててしまったのなら仕方がない。普通の人ならばそこで、そう諦めるはずだ。けれどこの男、五条悟だけは違った。わざわざ現在の体躯にサイズを合わせ直してまで、この制服を用意したのだ。
 制服は個人が自由にカスタマイズできるため、大抵の生徒は自身の好みに作り替える故に完成までにはよほど急ぎでなければ二週間程度かかる。
 ナマエが制服のデザインを考えていたのが三週前。サイズを測り注文したのが、約二週間前。届いたのが、つい一昨日のこと。

「…せん…先輩、最初からそのつもりでしたね?」
「んー?何のこと?」

 気付いてしまった。気付かなくてもいいことに。自分を追い詰める事実に。
 ナマエが制服のデザインを考えていた、まさにその時。五条はこのくだらないプレイを思いつき、自らの昔の制服をフルオーダーしたのだ。しかもナマエの制服が届くのに、きっちり合わせて。
 まさか三週間も前から"制服えっち"とやらをすると決めていたとは。そしてそのためにわざわざ自らの昔の制服を用意するとは。
 ことナマエとのセックスに関しては信じられないほどのやる気を出す五条に、もはや呆れればいいのか、いっそ愛されていると盲目になればいいのか。ナマエには分からなかった。

「にしても、僕まだ全然いけるね。自分でもこんなに似合うとは思わなかった」

 サングラスのブリッジを上げながら笑う姿は、たしかに、自らを婚約者として迎え入れてくれた学生時代の五条と、なにも変わっていないように見える。
 同じ人物なのだから当たり前だが、それでも十七、八歳頃と二十八歳では顔つきが違うのが普通だ。けれど五条にはそれが一切ない。不老不死だと言われても思わず信じてしまいそうなほどには。
 しかし、だからといってセックスのためにフルオーダーしてまで用意するのは、教師としてどうなのか。完全にアウトだ。
 呆れて「そうですね…」と返すしかできなくなったナマエに覆い被さりながら、五条はつるりとしたおでこに唇を落とす。

「まあ、ナマエも僕と先輩後輩気分になって楽しもうよ。下したての制服でセックスなんて、今しかできないんだからさ」
「ご自分がなにを言っているのか分かってます…?」
「分かった上で言ってるんだよ」

 そのための"思い出作り"なんだからね。語尾に音符でもつきそうな程楽しげな声で、五条はナマエの制服のボタンを外し始める。
 初めて身体を重ねた一年前から確実に育っているのを実感しながら、ソファから浮いた背に手を滑りこませ下着のホックを外した。

「っん、あ、」

 浮いたブラジャーの隙間から手を滑り込ませ直接触れると、既に硬くなった突起が掌をくすぐる。そのまま先端を軽く転がしたり、根元から扱きあげたり。まるで玩具で遊ぶかのように触れれば、もっとしてくれとでも言いたげにぷくりとその存在を主張し始める。

「ふあっ!♡あ、やだっぎゅってしちゃっ、やだぁ…っ!」

 少し乱暴に摘み上げてさらに勃たせようと扱いてやれば、ナマエから制止の声が上がる。痛みだけではないのだろう。その事実が恥ずかしいのか、黒い瞳にはじわりと涙が浮かぶ。

「痛いの嫌?」
「やだ…っ」
「ん、そっか。じゃあ舐めるね」
「へ、なに、ふ、あっ…!?♡」

 正直弄ればいじるほど可愛い反応をしてくれるものだから、つい指先に力がこもってしまうのだ。でも嫌って言われたら、じゃあ代わりに舐めるしかないよね。なんて。
 誰に対するでもなく言い訳のように言葉を並べながら、五条は触れて欲しそうに立ち上がる突起へ軽く口付けると、躊躇なくぱくりと口へ含んだ。

「せ、んせっ、や、止めて…!」
「ん?んー…」
「やっあ♡吸わな、で…っ♡」
「ん、ぷはっ…だってさぁ…」
「っうあ!♡」

 ころころ転がして、時折噛んで、吸い上げて。赤ん坊にでもなった気分でちゅぽんっ、とわざとらしく音を立てながら突起を解放すると、今度は伸ばした舌で先端を舐めながらナマエを伺う。

「触る度硬くなって真っ赤になるのがすごく可愛いくて…いじめたくなっちゃうんだよねぇ♡」

 ふにゃりと目元を垂らしながら、顔を真っ赤にしてこちらを見ている。ばちりと視線があった瞬間、唾液で濡れて光る突起をきゅっと摘まみ上げれば、ナマエの身体は大袈裟なほどびくりと跳ね上がった。

「あと、これから先生って一回呼ぶ度お仕置きするから」
「え!?」
「さっきのは見逃してあげる。これからは気を付けてね」
「いやそんな無茶苦茶な…!」
「はいはい。ほら、ちゅーしよ」
「ちょっ、とまっ、んー!」

 身体を起こし再びナマエへ覆い被さると、反論を聞く前に唇を重ねてしまう。薄く開いた隙間からあっさり舌を滑り込ませ、ちゅるりと音を立てながら粘着く唾液を行き来させれば、あっという間に反抗の意思はどこかへいってしまった。

「ふ、んんっは、あ、あ…♡」
「ん…あー、サングラス掛けてんの忘れてたわ」

 顔の角度を変える度がちゃりと音を立てる彼のアイデンティティの一つでもある黒いサングラスを、鬱陶しそうに机上へ放り投げる。
 それも高いやつなんじゃないですか、と咎めるナマエの視線を無視し、五条は迷うことなくスカートの中へと手を侵入させる。
 柔らかな内ももをなぞり、すっかり濡れそぼるそこへ触れる…はずだったのだが。黒い厚手のタイツに、あっさりと行手を阻まれた。

「……ねぇ、ナマエ」
「…考えていることは分かりますが、それは止めてください……」
「破いていい?」
「勘弁して…」
「冗談…分かってるよ」

 今履いているタイツは制服を着るために買った物で、それを一回で駄目にしてしまうというのは、流石に申し訳ないと思っているらしく。
 やや面倒臭そうにしながらもナマエの言葉を素直に聞いた五条はタイツをくるくる丸めドーナツのように下ろしていくと、そのまま足先まで全て抜き去った。

「じゃ、今度こそ失礼しまーす」
「そういうの、いちいち言わないでくださ、あっ」
「いや、なんか何となく言っておきたくなった」
「なんですかそれぇ…」

 ようやく表れた素足を楽しそうに撫でながら今度こそ下着へと手をかけると、タイツ同様抜き去ってしまう。蜜を吸ってクロッチ部分が色を変えた下着が、白日の下に晒された。
 そしてその下着もすぐに取り払われてしまうのだろう。そう思っていたら、何故か五条の手がそこでぴたりと止まった。

「あの、せん…先輩……?」
「やっぱり。さっきのブラジャーのときも思ったけど、これ僕の知らないやつだ。いつ買ったの?」
「あ、えっと…この前、任務帰りに、たまたま…」
「ふーん…」
「…ちょっと、なんでポッケにしまってるんですか」
「これ、しばらく借りるね」
「は!?え、ちょっと!」
 
 返してくださいと咎めるナマエを無視し、足首を掴むとそのまま大きく開かせる。下着を履いていないためか、ずり上がりぎりぎりまで捲れ上がったスカートを慌てて直していた。
 五条はその間に身体を滑り込ませると、指先で入り口を下から上へ、ぴちゃりと一撫でする。途端にびくりと身体を跳ねさせ抵抗の手を止めたナマエは、おそるおそる、伺うように五条を見上げた。

「あの、スカートは…」
「脱がないよ」
「ですよね…」

 ええ、分かってましたよ。分かっていましたとも。わざわざオーダーしてまで揃えた制服を脱ぐってことはないだろうなって。でも私の方はこれからずっと着ていくものだからこそ、着たときに思い出してしまうような事はしたくはなかったんですよ。
 あと単純に、これから密着する下半身を覆うスカートは、確実に汚れてしまうから、嫌だなあ、って。
 口に出しても無駄なぼやきをなんとか脳内に留めていると、気付いているのかいないのか。五条の手は迷うことなくそこを擽りはじめる。

「あ、ま、まって、っひ♡んあっ♡」

 しとどに蜜を溢れさせる中へ誘われるように二本の指を侵入させれば、待ってましたと言わんばかりに締め付け奥へ奥へと飲み込んでいく。
 身体を重ねてまだ一年、されど一年。すっかり中でも感じられるぐらいに成長した身体は全て自分が仕込んだものなのだと思うと、興奮して仕方がない。
 大きく抜き指ししながら内壁を抉り、指を軽く曲げて音を立てるようにかき回す。好き勝手に動く指の乱暴さにも喜ぶ身体はびくびくと跳ね、中は堪らないとばかりにきゅうきゅうと締め付ける。

「や、っあ、あ♡もっ、やだ、ひ♡やだぁ…っ!♡」
「…ナマエ、やだじゃなくて。そういう時はなんて言うんだっけ?」
「っ、」
「ちゃんと教えたでしょ。ナマエはいい子だからできるよね」

 こんな時ばかり教師のような口調で諭すのだ。しかもそれにナマエが弱いと知っていてやるのだから、なおさらたちが悪い。
 するりと頬を撫でる手にすり寄りながら、ナマエは恥ずかしさを押し殺し喉を震わせる。

「っ、い…」
「うん」
「いっちゃう、から…、」
「…うん。それで?」
「もっと、して、ください……っ♡」

 はあっ、と。頭上で熱い吐息が漏れる音がした。羞恥で強く目をつむるナマエの頬に涙がこぼれた瞬間、中の指がざらつく場所を抉り、同時に入り口の上で赤く震える突起を、強く押し潰した。

「あ゙、っ〜〜♡!?」

 次の瞬間、ナマエの視界は真っ白になり、火花が散ったようにいくつもの光が目の前を覆った。きゅうっと丸くなる足先が何度も宙を蹴り、太ももが痙攣している。
 何が起きたか頭は理解できていないらしく、焦点の合わない瞳はどこかを見ていて。
 さらけ出された白い喉に噛み付きながら五条は蠢く中から指を引き抜くと、スラックスを押し上げ窮屈になっていた熱を取り出した。
 焦って下着ごと下したせいか勢いよく飛び出したそれは、べちんっと音を立てて腹に当たる。

「ナマエ、入れるよ」
「あ、え……っ!♡♡」

 手早く避妊具を被せ余韻でひくつく入口に先端咥え込ませると、返事を聞く前に一気に奥まで挿入する。
 意識もはっきり戻らぬまま、五条の言葉も理解できぬまま。硬い熱に擦られ奥を突かれた身体は、あっという間に二度目を迎えてしまう。

「ひ、あっ♡あ…?あ、あ…♡♡」
「あー…ちょっと急すぎたか。ごめんね」
「ん、あ♡ら、いじょうぶ、れす…」
「全然大丈夫じゃないなー」

 呂律の回らない様子に笑いながら、ぐったりと脱力するナマエを膝の上に抱き上げる。自重で先程よりも奥へ入り込んでくる熱に達したばかりだからか、中はきゅうきゅう締め付けてくる。何度か甘イキをしているようだった。
 細い腰を掴みゆるく動かし始めれば、打ち付ける度ぱちゅぱちゅと水音が繋がるそこから響く。スカートで隠れて見えないけれど、下生えを濡らす感触に、ナマエのそこからどれだけの蜜が溢れているのか想像ができて。五条の興奮は高まるばかりだった。

「は、あっ、あ♡あっ、ああぁっ♡」
「ん…ナマエ、ちょっと裾持ち上げて」
「あ、す、すそ…っ?♡」
「うん。見たい」

 好き勝手に揺さ振られていたナマエは、その言葉に目を丸くする。この行為自体が既に灯りの元行われている時点で今更なのかもしれないが、それでも、自らスカートを持ち上げ繋がるそこを曝け出すなど。想像しただけで死ねる。
 いっそかわいそうなぐらい顔を真っ赤にしながら、それだけは勘弁してくれないかと五条を見る。けれど五条はにっこりと笑ったまま、ナマエを見つめるだけで。何も言わなければ、動こうともしない。あくまで、ナマエ自ら見せろと、そういうことらしい。

「ナマエ」

 自身の肩を掴む小さな手を取ると、優しく名前を呼ぶ。
 ──ちゃんと教えたでしょ。言われたわけではないのに、同じ言葉が脳内に響く。既に正常な判断ができなくなっているナマエは、言われるがまま、震える手でスカートの裾を持ち上げていく。
 永遠にも感じられるぐらい焦れったく上がっていく裾に、いっそ自分が捲り上げてやろうかとも思ったが、五条は唾液を飲み込みなんとか耐える。まだ、まだだ。もう少し。
 耐えに耐えてようやく現れたそこは、快感によって大量に蜜を溢しながら、五条のものを嬉しそうに飲み込んでいた。

「っ、う、んん…っ〜♡」

 五条に見られていると意識したことで余計に興奮したのだろうか。ナマエは熱い吐息を漏らすと、唇を噛み締めながら、さらに中のものを締め付ける。
 それを見た瞬間、五条はじくじくと股間が熱くなるのを感じた。ていうか、熱いより、痛い。
 手を伸ばし現れた入り口を指先でなぞりながら、外気に晒され震える突起をこねくり回す。達したばかりで敏感になっているナマエの身体は、それだけで軽く簡単に果ててしまっているようだった。

「ひっ♡ぁ、う♡そこ、触らにゃ、でっ♡♡」
「にゃ、って…はは、可愛い」
「は、あ!♡や、あぁ、あっ♡」

 強すぎる快楽から逃げようと動くナマエの身体を抑えつけ、奥へねじ込んでいく。とうとう自分の身体を支えていられなくなったのか、スカートの裾から手を離したナマエは、五条の胸元に倒れ込んだ。

「ナマエ、だいじょう、っん…!」
「うっ、ん…♡」

 ぐったり力の抜けたナマエに、五条が「さすがにやりすぎてしまったか」と今更な心配をした、その瞬間。首に腕を回し距離を詰めたナマエが、五条の唇に自分のそれを重ねた。
 さすがの五条もこれは予想しておらず。勢いが良すぎたせいかガチッと歯がぶつかる音と、わずかに血の味を感じながら舌を絡めると、飲みきれなかった唾液が互いの口端から零れていった。

「はっ…なに、急にどうしたの」
「先輩っ、はあっ、悟せんぱ、もっと……っ♡」

 濡れた唇から覗く舌が、誘うようにわざとらしく蠢いている。
 もうほとんど意識していないのだろう。先ほどまで恥ずかしがってあまり呼んでいなかったのに、まさかこの状況で、こんな手段で呼んでくれるとは。
 普段のナマエならば考えられないような言動に、五条はぴたりと動きを止める。

「…なに、ナマエも乗り気だったんじゃん」

 それならもう、いいか。独り言のようにぽつりと呟くと、五条はぺろりと唇を舐め、最奥を乱暴に突き上げた。
 ごつんっ、と骨が軋んだと勘違いしてしまうような音が、二人の腰に響く。もう何度目かも分からない果てに、華奢な脚がたまらないとでも言いたげに五条の腰に絡まる。
 けれど今度は動きを止めることはなく。ばちゅばちゅと水音を響かせながら、五条も自らの快感だけを追い、精を吐き出すためにナマエを責め立てる。

「んっあ♡ああ、や、先輩っ、悟せんぱっあああ!♡」
「っ制服、作っておいて良かったよ。ナマエもこんなに気に入ってくれるなんてさ…っ♡」
「ひっ、あ゙ああ!♡まっ、らめっ♡♡あ、あ゙……っ!!」

 押し付けた先端を小刻みに動かし、吸い付く入り口をくすぐる。こじ開けられる感覚にナマエは声にならない声を上げながら、何度目かも分からない頂点へ追いやられた。
 種を絞り取ろうと蠢く中に五条も小さく声を漏らすと、ようやく一度目の精液を吐き出す。膜越しとはいえ奥へ注がれる感覚にも軽く達し続けるナマエの様子に、腰が震えた気がした。

「んゔ、う♡あ、んんっ…♡」
「は…んっ、」

 散々蹂躙した中から名残惜しさを感じつつもずるりと引き抜けば、それにすら感じるのか、ナマエは小さく声を漏らす。
 栓がなくなったことで奥から溢れ出した重たい蜜が、重力に逆らうことなく落ちていきスカートに染みを残す。真っ黒な制服は汗やら体液やらでその色をより濃くさせ、下ろしたとては思えないぐらい皺を作っていた。
 やってしまった、と。少しばかりの罪悪感が五条の脳内に湧いてくる。

 明日から普通に登校するというのに、制服はこの惨状。どうしたものか。
 唯一の同級生である伏黒は任務で明日の夕方以降の帰宅になるはずだから、一年が一人私服でいてもそこまで問題ではないのだけれど。真面目なナマエのことだからそういう事ではないと怒りそうだ。

「ナマエ、ちょっと脱がせるよ?いい?」
「ん…」

 汗でじっとり張り付いていた自らの制服も五条はあっさり脱ぎ捨てそこら辺に放り投げると、今度は疲れ切って動けないナマエの身体を抱え、上着、ワイシャツ、スカートに下着と順番に脱がせていく。
 普段なら、こんな明るさの元で全て脱がせようとすると抵抗されるのだが、今はそれもない。瞳が開いているところを見ると気絶はしていないようだが、意識がはっきりしないのだろう。揺蕩う瞳は、ぼんやりとどこかを見つめているだけだった。
 すっかり生まれたままの姿になったナマエの肌には、制服を着たまましたから当たり前だが何の痕も残っておらず。強いて言うならば、腰を掴んだ時に込めた手の形が薄っすらとしているぐらいだろうか。なんだか、物足りない。

「………」

 触れてしまえ。少しぐらい構わない。悪魔の囁きに誘われるように、五条は現わになった柔肌に吸い付いた。

「っ、せんせ、なにして…」
「ナマエ、もう一回しよう」
「っや、だ…も、しない…」

 小さく上下していた胸をやわやわと揉み、汗で湿る細い首元を強く吸い上げる。
 疲れていたとはいえまだ浅い眠りだったナマエも、流石にここまでされては五条が後処理をしているのではないと分かったのか、抗議の声を上げると、逃げるように背を向けうつぶせになってしまう。
 けれど五条はすかさずその後を追い縮こまるナマエへ覆い被さると、なめらかな背骨をなぞるように、下から上へと舐め上げる。

「そんなこと言わずにさ…お願い」
「は、あ、あ…っ♡」

 子供のように甘えた声を出しながらナマエへと擦り寄り、耳元で熱い息を吐く。ぺろりと耳の縁を舐められると、何度も果てた身体はそれだけでぞくりと震えてしまう。
 五条は太ももに手をすべらせ、未だひくつく入り口を確認すると、躊躇なく指を侵入させる。まだ濡れる中はそれを歓迎し、さらに奥への刺激を求め淫靡に纏わりつく。

「ほら、ナマエもまだ足りなさそう」
「ひあ、あ♡や、だめっ♡そこ、あっあ、あぁ…っ!」

 ぐちゃぐちゃとかき回しながら、五条は時折ざらついた場所を、思い出したように強く引っ掻く。
 乱暴すぎる快楽に拳を握り耐えようとするも、腰はびくびく跳ね上がり再び絶頂が近づいていると全身に知らせている。

「あ、だめっ♡なんか、なんかでちゃ、っ♡」
「ん?ああ…出していいよ」
「や、やだっやだやだやだぁ、っや、あ、あ、ああ、あ…っ!♡」

 ナマエの慌てた言葉と蠢く中に何が起きるのかを察するも、五条は手を止めることなく、むしろその先へと促すように動きを速める。
 早くなった指の動きにすでに限界の近かったナマエの身体が耐えられるはずもなく。もう駄目だと思った瞬間、赤く腫れた突起を強く押しつぶされ、全身が大きく跳ね上がった。
 同時に、それまでの粘度がある液体とは違うさらさらとして水のような液体が、五条の手とソファを濡らしていく。
 震える中から指を引き抜き、手首まで伝うそれをぺろりと舐めながら、空いた手で頭を撫でてやる。

「ひっ♡う、んん、はあ、あっ♡」
「ちゃーんと潮吹きできたね。偉い偉い」
「うっ、ん、んん…♡」

 ぐったりと沈み込む身体を仰向けにさせると、労わるように涙で濡れた顔に唇を落とす。
 ぼんやりとしていたナマエもそれに必死に応えながら、送り込まれる唾液をなんとか飲み込んでいく。

「ん…ねえナマエ、疲れてるところ悪いけどちょっと足開くよ」
「え、や、なに…」
「一回吹いた今ならできるかなって」
「や、やだ…っ!」

 五条は投げ出されたナマエの足首を掴むと、一瞬のうちに自らの肩にかけ濡れて震えるそこを灯りの下に晒す。
 いくら呆けた脳内でも、これから五条が何をしようとしているのか。否が応でも察してしまう。加えて、あの言葉。
 それだけは止めてほしいと必死に抵抗するも、やると決めた五条が聞き入れるわけもなく。暴れる身体を押さえつけると、物欲しそうにひくつくそこへ顔を近づける。

「や、うそ、やだやだっや、ああっ!♡」

 生温かく濡れた感触がしたと思った次の瞬間には、感じたことのない快感がナマエの身体に走っていて。
 聞こえた甘い声に五条は数度唇を落とすと、まるで甘い果実を貪るようにかぶりついた。

「や、せんせっ♡はあっ、あ!♡」

 あらぬ場所を舐められているという事実だけでも頭がおかしくなりそうだというのに、じゅるりと立てられる卑猥な音は、耳からもナマエを羞恥の海に叩き落とす。

「せ、んせ♡っひ、はぁっ♡あ!♡」
「っは…あーおいしい…すっごくおいしい…」

 足を持ち上げられているせいで身体を起こすことは叶わず、されるがままに腰を跳ねさせるしかできない。
 白く長いまつ毛を伏せ楽しそうに舌を動かす姿は、ナマエの熱を煽るには充分すぎる材料となる。

「っん、あ♡あ、んん!♡はあっうあ、♡」

 視界にその姿を捉えてしまうと、もう駄目だった。
 一気に湧き上がる甘い感覚に抗うことができず、抑えきれない声は湿った部屋へと響く。五条の視界の端で、小さな足先がきゅうと丸くなるのが見えた。

「あ、出ちゃ、出ちゃうっ♡あ、あっあぁあ…!♡」

 一際大きな声と共に、ナマエの足が宙を蹴る。びしゃびしゃと吹き出す潮を、喉仏を上下させ迷うことなく飲み込めば、そんなはずはないのにひどく甘く感じて。最後とばかりに伸ばした舌は中を抉り、名残惜しげに引き抜かれた。
 身体を起こし口元を拭う五条の瞳は、冷たい炎が燃えているようで。ぼやけた視界の中でかちりと視線が交われば、足りないとばかりに腹の奥底が鳴くのを、ナマエは否が応でも感じてしまう。

「はは、顔射みたい…♡」

 目的達成。飲みきれず顔にかかった潮をそう言いたげに拭う五条に、もはや怒るべきなのかどうかすら分からなくなってきた。
 呆然とするナマエの足を抱え直すと、五条は躊躇することなく未だ震えるそこにゆっくりと挿入していく。途端に待ってましたと言わんばかりに蠢き誘う中にうっかり出てしまいそうになるもなんとか耐え、なんとか奥まで侵入を果たす。

「んっ、う、んん…♡は、っあ、あぁあ…♡」
「ねぇナマエ、分かる?ほら、ここ…ここまで入ってる」
「や、あ゙、押しちゃだめ、っ♡」
「っあ゙、はー…すっごい締まる…♡」
「あっ、あ…っ!?♡」

 中と外、既にいっぱいいっぱいなのも構わず圧迫されるため、より一層締め付けは強くなる。強請るように先端に吸い付いてくる入り口をやや乱暴に突けば、まさかいきなり突かれるとは思っていなかったのだろう、油断していた身体は再び達してしまった。
 突き上げた瞬間に繋がりから僅かに吹き出した透明な飛沫が、五条の腹筋にかかり白い下生えを濡らしていく。

「ん゙、う、んんんっ♡」
「あ、息止めちゃ駄目だって。呼吸して」

 呼吸してと言うくせに迷いなく口を塞ぐのはなんなのか。ぬるりと侵入を果たす舌と共に腰は動いたままで。
 腹側のざらついた部分を的確に抉り、かと思えば一気に引き抜いて最奥を突く。その度小さく吹き出る潮が、ますます五条を上機嫌にさせる。

「んゔ、っん!♡ふ、あっあ、ああぁっ!♡」

 逃げようにも抑えつけられているせいでそれは叶わず、ギシギシ派手な音を立てながら、ソファへ沈み込む。
 汗なのか、潮なのか、繋がるそこから溢れた体液なのか。もはやなにかも分からないもので皮張りのソファはどろどろになっていた。

「やら、っもうやらぁ!♡きもちぃの、こわい、っ♡」
「大丈夫、怖くないよ。僕がいるでしょ」
「っう、んあ!♡せんせ、せんせぇ…♡」

 怖い目に合わせている張本人だというのに、優しく頭を撫でる手に生まれる安心感からなのかすり寄る小さな身体に、五条は腰に言い表せない悦を覚える。
 ──もっと縋って。僕無しでは生きられなくなって。純粋な、けれどこれ以上ないほどの、呪いの言葉。

「ナマエ、好きだよ、愛してる…っ」
「ん、ぁっ♡あ゙、あっ!♡」
「ね、っナマエは…?ナマエも好きって言って…」
「あ、すきっすきぃ♡せんせぇ、っだいすき…っ♡♡」

 真っ赤な舌を淫靡に覗かせながら、ぼろぼろ涙をこぼして愛の言葉を吐き出す。
ああもう、可愛い、可愛い可愛いかわいい、かわいい!

「っはは!俺も♡、俺も大好き…♡」

 ぐにゃり。歪んだ碧が、うっそりとナマエを見つめる。ぐしゃぐしゃに濡れた顔中に唇を降らせながら、入り口まで引き抜いた熱を一気に押し込んだ。

「はあ゙、あ…っ♡」
「あ゙っ!♡あ、あっ〜〜…!!♡♡」

 声にならない声を上げながら大きく背を反らす小さな身体を思い切り抱き締めながら、種を搾り取ろうと蠢めく中逆らうことなく奥へとぶちまけた。
 吐き出される感覚さえ快感になるのか、びくびくと小さく跳ねながら声を漏らすナマエの目は虚ろで、縁取る長い睫毛に付いた雫が瞬きの度にきらきら落ちている。

「ん……あれ?ナマエ…?」

 最後の一滴まで出し切るようにゆるゆる腰を動かし、名残惜しさを感じつつも柔らかなそこから抜け出す。許容量を超えたらしく、ごぷりと音を立てそうなぐらい中から精液が溢れ、ナマエの内ももを伝い床へ水溜りを作った。

「…あ、ゴム忘れた」

 死んだように気を失う姿に多少の罪悪感を覚えないわけではないが、最後のあれはナマエも悪いだろう。あんな舌っ足らずに、「大好き♡」なんて。まあ、言わせたの俺だけど。
 すっかり力の抜けた身体を抱き上げ、溢れる体液で床が汚れるのも気にせず風呂場へと向かう。軽く湯を浴び、事前に張っておいた湯船にナマエを起こさぬようゆっくり浸かれば、先程までとは違った心地良さが身体を包み込んだ。

「あ゙ー…さいっこうだったなぁ…♡」

 袖を通すジャケットはしわくちゃになって、揺れるスカートは二人分の体液を吸ってその色をさらに黒くして。
 ナマエはこれから四年間、毎日制服を着る度否が応でも今日のことを思い出すのだ。そして頭の中を五条の姿でいっぱいにしながら、何でもない風に取り繕い日常を過ごしていく。
 ──その状況を想像しただけで、興奮して仕方ない。
 すぐにまた勃ち上がりそうになる下半身を、流石に今度ばかりはまずいとなんとか抑え、代わりにすっかり眠ってしまったナマエの頬に唇を落とす。

 ああそういえば、先輩って呼ばせるの途中から忘れてた。
 次のお仕置きは教室とかでしてやろうかな、なんて。


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