6-1

今日は望月と犬山がCTとMRI担当なのでみょうじは撮ったレントゲンをファイルわけをしていた。そこで一人の患者に目が留まった。

「藍沢…絹江…?」
「あぁ、王子様の祖母ね。骨折で入院してるんだよね」
「え?!そうなんですか…。てか葉山さんも王子様って呼ぶんですね」
「コハクがそう呼んでたから面白そうでな。まっ、俺的には王子様より王様って気がするけどな」
「…確かに」

王様っぽいマントに冠を身に着けた藍沢をイメージして似合うな、と思った。いやいや、と頭を振って作業を再開し出来上がったものから担当医に届けるために部屋を出た。そういえば藍沢先生のおばあちゃんがいるんだっけと思い病室へ向かった。窓から病室内を伺うと西条と藍沢がベッドの上の人と話していた。それをぼんやりと眺めていると絹江と目が合った、そろそろお暇するかと思い廊下を歩きだすと病死を飛び出してきた西城に腕を掴まれた。

「ちょっと来い」
「え?」
「絹江さん、この子知っているんですか?」
「知ってるわ。大切な娘だもの、ね”夏美”」
「…え?」

西条もみょうじも”夏美”が誰かわからなかった。娘と言っていたので多分藍沢の母親にあたる人なのだろう。

「絹江さん、私みょうじなまえといいます。」
「どうしたの夏美、もしかしてごっこ遊び?」

お母さんとよくやったわね。とクスクスと笑う絹江にみょうじはどうすればいいのかわからないでいると西条が助け船を出してくれた。

「絹江さん、夏美さんと少しお話するのでちょっと待っててくださいね」
「えぇ。夏美、後で沢山話そうね」
「…うん、わかった。」

まだよくわかっていないけれど笑顔を浮かべ三人は病室を出た。西条はこれからどうするべきかうーんと悩んでいた。

「あの、夏美さんって藍沢先生のお母さん、なの?」
「そうだ」
「…みょうじ、悪いが悪化させないためにも協力してくれるか?」
「はい、大丈夫です。できる限り顔を出しますね」
「藍沢もな、身近な人間がいることが治すことに必要なことだからな」
「…はい」

西条はそう言い他の患者の元へ向っていった。心なしか顔が暗い藍沢に何か声を掛けようと考えていると藍沢が口を開いた。

「…悪いな」
「え?あ、ううん。大丈夫」
「…」
「えっと…もう一度顔会わせておく?」
「いや、今行ってもダメだろう。」
「そう…かな」

じゃ。と言って藍沢はどこかへ向かった。とりあえずレントゲンを届けてからもう一度会いに行こうと思った。