「セノだいすき!」
そう言って抱き着くなり頬をむいむいと押し付ける▼の姿は飼い主に全身で喜びをしめす犬のようだ。はちきれんばかりに揺れる尻尾の幻が見えそうなほど喜びに満ちた空気と、太陽の光を受けたオアシスの水面のように煌めく瞳から、真っ直ぐな好意を感じる。にこにこと満面の笑みを浮かべる▼のその感情は難しいことを何一つ考えずに享受できるものの一つで、砂漠にいた頃から変わらず伝えられてきたものでもある。
「好きだ」
緩んだ草色の瞳を見つめながら告げれば途端に逆上せたように耳まで真っ赤にして俯くが、それでも寄せた体を放さないところが愛らしい。可愛い、愛してる、と普段の大マハマトラとしてのセノを知っている人間が聞いたら耳を疑いそうな言葉を続けて囁けば、▼は完全に停止してしまう。セノの言うこれらもまた砂漠にいた頃から伝えていることで、そして▼が赤くなることも変わらない。
「昔から言っているのに、慣れないものなのか?」
「……多分ずうっと慣れないから、わたしが慣れるまで言ってね」