抜けるような青空のもとに吹く風はどことなくモンドを思わせた。ヤシが作る影の下から、自分と同じようにこの洞天内を散策している仲間を見て▼は溜息をつく。
空の洞天に立ち入れる唯一の人間という立場は、約三日で終わりを迎えた。
この洞天の持ち主である空から洞天通行証を貰った時は内心飛び跳ねる程喜んだのだが、まさか三日で終わるとは。空の性格からして他の仲間達を呼ぶのはわかっていたし、初めてこの洞天に入った時も空が「いつか他の皆も呼べるといいなあ」と言っているのを聞いていた。
三日で他の皆を呼べるようになるのなら、自分も同じタイミングで壺に招けばよかったのだ、そうすれば変に浮かれることもなかったのにと、足元の砂を蹴り飛ばす。
「機嫌が悪そう」
笑いの混じった声の方向を向けば、太陽に照らされた金髪がきらきらと光るのが見えた。琥珀色の瞳が声を同じように笑ったので、▼はバツが悪そうに海を向く。 それに倣って海を眺めた空がぐぐっと伸びをしてから地面に座り、自分の隣を何度か叩いて▼に座れと促す。
大人しく従って空の隣に座った▼の横で、暫く波音に耳を傾けていた空が突然、しかし自然に▼に腕を伸ばした。
「その洞天通行証を持っているのは君だけ」
頬に触れ、耳に髪をかけて離れていくその指先を見送ってから、真っ赤になった▼は顔を覆って隠す。
なんでも見透かすような瞳をしているし、実際にそうではあるが、こうして宥められると恥ずかしさが倍増する。いっそ何も言わず黙っていてくれれば、三日程度で他の誰かがいる洞天にも慣れて、気持ちも落ち着いていただろうに。
それでもあの通行証を持っているのが自分だけというのは▼にとってはとても嬉しい事だったので、自分のことながら単純だと思いながら▼は掌の内で呻き声を上げる。直射日光に長時間あたったような熱を持つ頬を冷ますために顔から手を退け、そうっと空の横顔を視線でなぞってから唇を開いた。
「別に。何も、気にしてない」