夢の中の俺
目を開けて数回瞬きをし、リィンを視認したメリルがひどく幸せそうに微笑む。彼女の寝起きは良いものではなく、朝はあまりすっきりと目覚めない人間であることを知っているリィンは「まだ半分夢の中にいるのかもしれないな」と思いながらその頬を撫でた。己の頬や髪を撫でる手にうっとりと目を細めてされるがままになっているメリルがふわふわとした声色でリィンの名を呼んだ。
「夢の中で、リィンさんがキスをしてくださいましたわ」
しっかり起きていたのかと驚いたのは一瞬で、幸せそうに語られた夢の内容におもしろくない感情が湧く。夢の中でもメリルを独占していることに喜べばいいものを、共に過ごす時間が長くなるほど欲は際限がなくなるのか、夢の自分にさえも嫉妬する。
あまり綺麗な感情ではないなと苦笑しつつリィンはメリルの頬に手を添えた。寝転んだままのメリルに覆い被さるようにして唇を塞げば、再びうとうととしていた瞳が驚きの色に染まっていく。舌や口蓋をなぞるうちに現に戻ったその様子に満足して唇を離すと、すっかり顔の赤くなったメリルを見下ろした。
「おはようメリル」
「……おはようございます、リィンさん」