まどろみ
開け放たれた窓の外から生徒たちの声が聞こえる。
第三寮とはまた違う音が聞こえるここは、最近やっと慣れた第一寮のリィンの部屋だ。自由行動日の今日、珍しく補習授業もなく政府都合の用事もないリィンとメリルは当たり前のように二人で時間を過ごしている。
最初はパトリックとフェリスから受け取ったノートを見て出席できなかった日の授業内容を把握することに努めていたが、メリルが眠たそうにしていたので少々狭いが二人でベッドに転がった。数分も経たないうちに寝てしまったメリルの横で、余計なことを考えないようにリィンはぼんやりと天井を見ていた。
半分以上夢の中にいるメリルが、リィンの腕を抱いてもぞもぞと動く。猫が収まりの良い位置を探るようにしばらくそうしていたが、落ち着く場所があったのかピタリと動きを止めてまた夢の中に戻っていく。
無意識下で甘えられていることは当然嬉しいし、愛おしいなと思うのだが。折角なら意識がある時に自発的に甘えてくれたらなとも思ってしまう。贅沢すぎるし、我儘な願いだ。
メリルの性格は理解しているつもりだ。能動的ではなく、誰かに触れることに躊躇い、己の感情を理解しては戸惑う。いつも、薄氷の上を歩くような慎重さで己に手を伸ばしているとリィンは知っている。
少しだけ申し訳なく思いながらメリルの拘束から腕を抜くと彼女の体を抱きしめた。
メリルから触れることを待つのでなく、自分から触れればよいだけのこと。柔らかい灰色にそっと頬を寄せて、腕の中にある体温に瞼を閉じる。
起きた時、彼女はどんな顔をするだろうか。自分が言えたことではないかもしれないが、メリルの初々しい反応は微笑ましい。唇を笑みの形に変えながら、緩やかにやってきた睡魔にリィンは身を委ねた。