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 何故か警察ではない、甥っ子と同じような年頃の男の子に絡まれている。しかも何故か頬っぺたを引っ張られた、中森警部と違ってやんわりとした引っ張り具合だったのは、女性だからだろうか。しかし、頬っぺたをつねられたということは、今日この場所には。

「怪盗さんがいるのね」
「ボクは先程から何回もそう言いました!」
「あらごめんなさい、全く別のことを考えていたわ」

 巻き込まれた挙句疑われているというのに、このマイペース具合。
 白馬はその当人を前にして溜息をついた。たまたま通りがかっただけ、と言いながらも高確率で怪盗キッドの予告現場にいるこの自称主婦の女性に声をかけるのは初めてではないのだが、絶対にこの女性は白馬の顔も名前も覚えていないだろう。

「ところで、誰だったかしら。前も話した気がするのだけれど」
「白馬探ですよ、紫倉江威子さん。ちなみに、こうして話すのは3回目です」
「あら、そうなの?白馬、白馬……」

 人の苗字を連呼して考え込んだ江威子は、なにか思い当たったのか晴れやかな顔で手を叩いた。

「快斗君が言ってたキザで嫌味な白馬くんかしら!」
「ほ、ほぉ……黒羽くんの僕への評価はよぉーくわかりました」

 まさか顔見知り程度の女性にキザで嫌味呼ばわりされるとは思わなかった……というより、快斗と江威子が知り合いで、そこまでよく話す仲だということに驚いた。彼女に同年代の子供でもいれば、子供から彼女に話はいくだろうが。彼女の親族で自分達と同年代というと、白馬と同じように高校生探偵として名をはせている工藤新一がいるが
工藤新一と黒羽快斗の間に親交があるとは聞いていない。……まぁ、大して気にすることではないだろう。
 思考に沈んでいた白馬を呼び戻したのはまぁまぁ!という明るい女性の声。

「それで、白馬くんは何でここにいるのかしら?」
「僕は探偵ですから。それより、紫倉さんは何故ここに?」
「私は主婦ですから。スーパーの安売りの帰りよ」

 にこにこ笑うその手には近所のスーパーの袋。はみ出した白葱がなんともまぁ、いかにも買い物帰りだ。白葱、白菜、袋の角が四角く尖っているのは豆腐だろうか、平たい部分は恐らくパックに入った肉や魚などだろう、袋が伸びてすけた部分から鍋の素らしき商品のパッケージが見える。そしてこの今日の肌寒い気温。

「今日は鍋ですか」
「カレーよ」

 そんな馬鹿な。

今日は鍋ですか



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