寝台の男女


 ユーリスのしなやかな体をなぞる。
 細身とは思うが、それでも男性とわかるその体はそもそも骨からして女である自分とは違うのだ。いつも美しい顔に化粧を施す手は男性しては綺麗だけれど、やはり骨張っているし。声だって女性のものより低くて、喉は隆起した部分が目立つ。
 紛うことなく男性である彼と共に過ごすことが苦ではないのはひとつの寝具を共にしていることから明らかで、はぁとため息をついたリーゼッテはそこでようやく寝ていると思っていた相手の瞳がしっかりと自分を捉えていることに気が付いた。
 リーゼッテが手を引くより先にユーリスその手を掴んでにんまりと笑う。

「寝てる人間によくまああんなぺたぺたぺたぺた触るなお前は」
「っ、どこから起きてたんですか貴方」
「ん〜? お前が俺のここらへん触ってた辺りから」

 つ、と空いているユーリスの手がリーゼッテの肋付近をなぞる。
 衣類越しに肌を撫でられて顔を真っ赤にしたリーゼッテが咎めるように名前を呼べば、意外なほど大人しく体をなぞる手は離れたが、リーゼッテを掴む手はそのままだ。

「……そちらも放してもらえますか」
「やだね、お前逃げるだろ。誰かさんのせいで起きちまったからもっかい寝る」
「わたしが付き合う必要ないじゃないですか! こら、放しなさい!」

 暴れるリーゼッテを抑え込んだユーリスはその体を抱き込むと、満足したように息を吐いてからまた目を瞑る。
 いまから寝ますという態度を前にすると邪魔するのは申し訳なく感じてリーゼッテは口を閉じた。ここでリーゼッテに叩き起されたとしても文句を言いつつも怒りはしない相手なのだが、寝姿を晒すということが信頼されている証のようで無下にするのは躊躇われる。それすらもこの男の掌の上のようで悔しい気持ちはあるのだが……。
 大きなため息をついてからリーゼッテは投げやりに目を閉じた。
 共に寝るのは悪くない、あたたかくて落ち着く。それは適度な体温を持つ生き物だからであって、別にこの男だからではないのだ。きっと。



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