洞窟内は元から暗い
ひやり、山の冷気が頬をなでれば重たかった瞼も軽くなり、いつの間にか寝ていたらしい名前が目を覚ました
焚き火はとっくに消えており煙すら立たない
どうやらあの後レッドの胸で寝てしまったらしい、彼に抱かれながら横になっていた
向かい側ではお互いのポケモンたちが丸まって寝ている
名前が軽く顔を上げればレッドの顔がある
最後に会ったのがいつだったが忘れたが少々幼さの残るその顔立ちは昔のままだった
懐かしい、昔は遊び疲れた後こうして一緒に寝ていたな、そう思っているとレッドの口から息が漏れる
「ん……」
「ごめん、起こしちゃった?」
「いや……」
「そう」
会話が途絶え、抱きしめ合っているにも関わらずそういった雰囲気にはならない、むしろ気まずい空気に包まれる
ポケモンたちは未だに眠っている、それはもう気持ちよさそうに
「……レッド、」
「なに……?」
「いつまで、ここにいるつもりなの?」
ここというのはもちろんシロガネ山のことであり、下山する気はあるのか問う
シロガネ山は強力なポケモンたちが生息していて一般的に危険区域と同レベルの扱いをされているので、ここで生活し続けるのは非常に危険である
さらに山頂付近は気温が低く氷点下が平均気温と言っても過言ではない
いくら野生のポケモンより強くとも所詮は人間、氷点下の中で生活できるほど丈夫には出来ていない
このまま居続ければ命に関わるのだ
それにもう何年と会っていないであろう彼の母親もさすがに心配していることだ
もう一人いる二人の幼なじみだって心配しているはずだ
なのでレッドにはここを下山してもらい普通の生活に戻ってもらいたいと名前は思っている
だからそう聞いたのだ
「……さあ?」
「さあ、って……」
「名前は、俺がいないと寂しい?」
「寂しいに決まってるじゃない」
だから戻ってきて、レッドを見詰める瞳は力強かった
その目に臆することない彼は目を見つめ返して、応える
「……俺は、」
「?」
「俺より強い相手を待っている」
「そう……」
つまりはまだ下山する気はないらしい
まあ、今日の目的はレッドに会いに来たのであって下山云々は物のついでなので気にはしない
そっか、そう軽く伸びをしてそこで気付く
「(そうだ、今何時だろう……?)」
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