セキエイ高原でつかまえて(fin)
「あの約束は忘れてって言ったはずなのに……?」
信じられない、という風に目を見開いて彼を見つめながら思わず呟く、罪悪感からかそれ以上の言葉が出てくることはない
これ以上耐えられなくなったのか彼女を後ろを向く、そこでようやく、レッドがゆっくりと口を開いた
「違う」
「……?」
そこで帽子をくいと上げ顔を見せる、迷いも戸惑いもない、真っ直ぐ名前だけを見ていて、名前は彼から目が離せなくなった
旅立ちの日とシロガネ山の時を含めて三回目の、あの瞳
しっかりと目を見つめて、ゆっくりと彼女が聞き漏らさぬよう、はっきりと言う
「俺は自分の意志で下山した」
「うん……」
「そしたら俺より強い奴がいた」
「……」
「それが名前」
いつの間にか名前の瞳からは涙が流れ、それをレッドの親指が拭った
そのまま手は頬に添えられ、ふふ、と彼女は照れたように笑う
「名前、ただいま」
レッドの顔が息のかかる距離に近づき、名前が自然と目を閉じたまさにその時
「よお名前! また遊びに来たぜー!」
「……」
「ぐ、グリーン……」
「お、お前ら何やってんだああぁあっ!」
突然訪問してきたグリーンに見られているにも関わらず名前に顔を近づけるレッドにすぐさま制止をかける名前
渋々といった表情で離れたレッドに、今度はグリーンの説教が始まった
聞く耳を持たないレッドと今までの鬱憤を吐き出すグリーン、小さい頃に戻ったかのような光景に名前は思わず笑みをこぼす
それから怒声を右から左に受け流すレッドの視線が自分に向いていることに気づいた名前は思い出したように口を開く
「レッド、おかえり」
彼女の笑顔に応えるよう彼は口角を上げた
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