片桐高校事件簿前編(ヒロイン視点)
「まただ」
私は困っている、非常に困っている、明音にも言えない悩み
原因は私の右手に収まっている物、現代社会に生きる若者を中心に多くの人が持っている手のひらサイズの電話機器、所謂携帯電話である
この何の変哲もない私の携帯電話に最近頻繁にメールが来るのだ、しかも差出人は不明、それだけでも怖いのに内容がそれを上塗りしているのだ
件名はなく、本文には私の名前と卑猥な口説き文句が羅列してあるのだ、所謂ストーカーというやつである
私がいつどこで何をしていたのかなど事細かに書いてあるときもあった、酷いときには体育の着替えや登下校時の写メなんかも添付してある始末
最初は気持ち悪くてすぐに消去してメアドも変えた、しかしメアドを変えてもどこから入手したのか次の日にはまた受信するのだ
しかも現在は受信も頻繁に行われているので、フォルダ分けしてなるべく目を通さないようにしている
写メからして同じ学校の生徒だろう、校内に他校生がいたら目立ってしまって体育の着替えシーンなんて撮れないだろうから
そしてメールアドレスが同じであることから同一犯、ストーカーは1人であることがわかる、ここまでわかっているが犯人が誰かはわからない、気持ち悪すぎて探す勇気がない
誰かに相談しようとも考えたがあまり他人に迷惑を掛けたくないし、そこから明音に伝わるのが怖い
そして今日、私は油断していたのか生徒会室に携帯を置いたまま忘れてしまったのだ
昼休みにみんなでお弁当を食べていたときもストーカーメールを受信していて、私は携帯に触れるのすら億劫になり少し離れた机に携帯を置き、そのまま教室に戻ってしまった
気付いたときにはもう授業が始まっていて、今日の授業はこれで終わりなのでチャンスは授業終了時、翔から生徒会室の鍵を奪って走っていくしかない
もしも誰かに中を覗かれたら、誰かにメールを読まれてしまったらいままで独りで頑張ってきたことが全て台無しになってしまう、それだけはまじ勘弁
そしてこんな時に限って先生の話が長い、いつもより長いホームルームが終わってすぐに荷物を持って教室を飛び出した
明音には悪いけど今はこっちが最優先なの、翔のクラスに駆け込めば既に清掃時間に突入していた上に翔の姿は見当たらない
「あれ、名字さんじゃん、どうしたの?」
「あ、ねえ翔どこにいるか知らない?」
「会長? 会長なら生徒会室行くって言ってたよ」
「! あ、ありがと!」
話しかけてきた知らない男子に居場所を聞いた私は生徒会室に走った、どうか間に合ってくれ
「翔!」
時すでに遅し、生徒会室には翔だけではなくレミや桜もいて二人の真ん中に立つ翔の手には見慣れた携帯電話、そう私の携帯だ
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