おしまいの日
目が覚めたら目の前には名前の寝顔があって、相変わらず可愛いなこいつ、と眠たい頭でぼんやりと考えていた
窓からの日差しはオレンジ色でもう夕方になってしまったのだと理解した
上半身を無理やり起こしてぼりぼりと頭を掻いて気付く違和感、というかこれが正しいんだが
元に戻った、俺の顔に俺の体に俺の声、目の前には名前、何度も触って確かめる、ほんとに良かった
「おい名前、元に戻ったぞ、起きろ」
「んー、あと一時間……」
「ながっ! あー、まじ戻れてよかったー」
名前の頬をふにふにと触って夢じゃないことを確かめる、こんな柔らかいのが夢のわけがない、ついでに名前の胸も掴んどく、やっぱ夢じゃない
「んっ、へんたい」
「やっと起きたか」
「あれ、晴矢……?」
「おう俺だ、元に戻ったんだ」
「戻れて良かったね」
上半身を起こして目元をこする名前と何で戻れたんだろって話になった、謎すぎる、何かしたか、いやしてないだろ
そう話したら名前がぼそりと、キス、と呟いた、あ、そういやキスしたっけ、あれ夢じゃなかったのか
ヒロトが観ていた映画が関係しているらしい、でもキスだけで精神が入れ替わるなんてないだろ普通、そう思って名前に口付けても何ともなかった、ほらみろちげえだろ
この二日間が夢だったのだろうかとも思ったがベッド脇に真新しい避妊具の箱があったので夢ではないだろう
「ほんと、何だったんだろうね」
「さあな、でももうこんな体験はマジ勘弁」
そう二人で笑い合う、それから見つめ合って貪り合うように口付けて舌を奪い合い、さて名前の服に手を突っ込んだ瞬間インターホンが鳴り響く
「晩御飯食べに来たよー!」
「げっ、ヒロト……」
「どうした名前、晴矢みたいだぞ」
「俺は晴矢だ!」
「あ、元に戻ったんだ、おめでとう、でもすぐに盛るのはよくないよ」
「るせぇっ!」
堂々と入ってきたヒロトたちは俺たちが元に戻ったことよりも盛ろうとしたことの方が重要らしい、良い雰囲気だったのに邪魔しやがって
名前の服から手を抜いてがっちりと抱きしめる、やっぱ名前は名前で俺は俺が一番だな
「名前、好きだ」
「晴矢、私も」
ヒロトと風介そっちのけで再び雰囲気を作った俺たち、なのだがそれは俺の腹の音ですぐぶち壊れた
ご飯作るね、ってキッチンに急いだ名前の後ろ姿を見つめているとヒロトたちが寝室に入ってきてまで茶化し始めた、まじうぜぇ
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