06
瞳子さんが試合を中断させたことによりアツヤは士郎に戻り、私たちの周りにみんなが集まってくる
「凄いぜ吹雪! あんなにビリビリ来るシュート、俺、感動した!」
「僕もだよ、僕のシュートに触れられたのは君が初めてさ」
「名前も凄かったぜ、触ることすら出来なかった!」
「ふふ、ありがとう」
「吹雪君、基山さん、正式にイナズマキャラバンへの参加を要請するわ、一緒に戦ってくれるわね」
「はい、いいですよ」
「わかりました」
かくしてある意味問題児が二人、雷門イレブンに加わったのだった
北海道の夜をキャラバンで過ごすのは自殺行為に等しいので雷門の皆さんには白恋中に泊まってもらうことになった、調理室で作った私特製のお汁粉を振舞う
「うんめえ!」
「美味しいっスー!」
「ふふ、ありがとう、今日の晩御飯は私が作るよ」
その言葉にまたみんなが盛り上がる、士郎や白恋のみんなも一緒に食べることになった、作るのは大変だろうけどみんなで食べるのは好きよ
みんなには就寝する教室に移動してもらって私は調理室に残って料理を作ることにした、お汁粉で一時の空腹を誤魔化しているとはいえ早く作らないとね
雷門のマネージャーさんたちに手伝おうかと言われたけど今日くらいは家事を休んでもらうためにやんわりと断りを入れた
白恋ユニフォームにエプロンを付けて包丁を握る、よし、大人数だしクリームシチューにしよう
てきぱきと材料を切りながら玉ねぎを炒めているとガラガラと調理室の扉が開く音がして、見やると士郎が入ってきていた
「いい匂いだね……、シチュー?」
「ふふ、正解」
「僕、名前のシチュー大好きだよ」
「ありがとう」
材料を切り終え鍋へと投入、水を入れて蓋をする、あとは煮えるのを待つだけ
顔を上げるといつの間にか士郎は目の前に立っていてニコニコと笑みを浮かべていた、何か嫌な予感
「こうしてると何だか新婚さんみたいだね」
「新婚、さん……」
士郎の言葉がぐるぐると私の中を駆け巡る、気持ち悪い、士郎はすきなのだけれど今の私にその言葉は止めて
目の焦点の合わない私を見て士郎はようやっと自分の口にした言葉の重要さに気づいたらしい
「ごめん、名前……僕、無神経なこと言った」
「っ、いいの、気にしないで、私がいけないだけだから」
私が生まれてくるずっと前の記憶に囚われている私がいけないのだ、士郎は何も悪くない
これは私の問題であって士郎が気に病むことは何もないの、調理台を回って士郎をそっと抱き締めれば士郎もそれに応えるように背中に手を回してくれた
温かい、士郎の体温が私の中に入ってくるような感覚に胸が熱くなってさっきまでの沈んだ気持ちはどこかへ消えていた
「あったかい……」
「名前の体も温かいよ」
「この温かさは士郎だけじゃない、アツヤの温かさも伝わってくる」
私は早くこの気持ちに整理を付けたいのに、どうしようにも出来ない自分が居てもどかしい
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