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いつの間にかイプシロンは消えていて、私たちは十日後までに強くならなければいけなくなった
「ん……」
「あ、士郎、大丈夫?」
私の膝に頭をおいた士郎が目を覚ましたのか私の顔を見とグラウンドを交互に見て、眉尻を下げた
何もできなかったことが悔しいのだろう、でもそれは私やみんあだって同じ、これから強くなればいいんだよ士郎
みんなデザームのボールをカットした小暮くんの元へと集まっていたので私たちも足を運ぶ
「名前姉! 俺凄かった?」
「うん、凄かったよ」
そう言って小暮くんの頭を撫でてやると嬉しそうに目を細めた
士郎に視線を移せば染岡くんに何も出来なかったと漏らしていて、私の中の不安が大きくなる
「何にも出来なかったんだ、こんなんじゃ駄目だ、完璧にならないと……!」
士郎、間違っちゃ駄目だよ、完璧の意味を間違っちゃ駄目だよ
小暮くんから手を離して士郎に近づいて何か話しかけようにも言葉が出てこない
しどろもどろしていると士郎の方から声を掛けてきた
「名前の携帯鳴ってるよ」
士郎に言われて自分の携帯が着信を告げていることに気づいた
お義父さんたちに名前は女の子なんだから何があっても良いようにと持たされた携帯、私は要らないよといったのだがいざというときに連絡が取れなかったら心配だから、と結局私が押し負けたのだ
滅多に使わないそれは、いつの間にマナーモードが解除されたのか数年前に流行った曲が流れていた
マナーモードが解除されていたこととめったに鳴らない物が鳴ったのが偶然にしては出来すぎなのではないかと、不安がよぎる
この不安が私の杞憂でありますように、そう願いを込めて通話ボタンを押し、耳に当てる
『もしもし、基山名前さんですか? 北海道警察の者ですが……』
道警が私に何の用だろう、まさかお義父さんかお義母さんに何かあったのだろうか
強張る私を他所に警察と名乗った人たちは話を続けた、その内容は私の不安を絶望に塗り替えるものだった
私の育ての親である老夫婦が交通事故でこの世を去った、それはあまりにも突然であまりにも残酷な知らせ
その場に立っていることすらできなくて、その場に力無く座り込んだ
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