目が覚めたらすぐ隣に彼がいて。それが何よりも安心できるだなんて、初めての感覚だった。
布越しではない、素肌の触れ合う感触が心地よい。
「ん……?」
じっと見つめていると彼の瞼がピクリと動き、おもむろに上がった。うっすらと開かれた隙間から覗く漆黒の瞳はまどろみを残しつつ私が起きていることを認識する。
「起こしちゃった? ごめんね」
「……悪いとも思ってねぇくせに」
「ふふっ」
私は小さく笑う事で肯定する。彼は徐に視線を窓の方へ向け、厭わしげに眉を寄せた。
「……まだ朝じゃねぇじゃねーか」
「誰も朝だなんて言ってないわ」
「……」
私の言葉に口を真一文字に結んだ彼は視線を私に戻して不機嫌そうな表情のまま私に背を向けて二度寝の体勢に入った。長い髪の間から肩甲骨が覗く。
その背にぴたりと体をくっつけてやると髪に顔を埋める形となってしまうが見た目ほど硬くない。しかし毛先が肌に当たってちくちくするのが嫌で押し付けるように胸を張っていると観念したように彼がこちらに向き直った。
「ん」
短い言葉と共に彼の腕が私を包む。彼は素直じゃないのだ。