▼君の呼び掛けに(古森/tmGS2)
いいのに、もう来なくていい。
何で毎日来るの?
オラなんかに構わなくてもいいのに。
その人は今日も家のチャイムを鳴らす。
決まって同じ時間帯。
学校に行く前のこの時間に名字さんは来るんだ。
「古森くん、学校行こうよ!」
「……僕は、いい」
それだけ告げて扉の向こうに戻る。
ドア越しに溜め息が聞こえた。
「……そっか。じゃあ私は行ってくるね」
そして名字さんの声が立て続けに聞こえてくる。
毎日これの繰り返し。
先生も、名字さんも優しい。
オラだって学校さ行きてぇ。
けど、愚図だから。
誰かの足を引っ張りたりしたくねぇんだ。
誰かに迷惑かけたくねぇんだ。
「ごめん。ごめんなさい……」
ベランダに行って名字さんの後ろ姿を確認する。
ちょっと落ち込んでる様に見えた。
「名字さん……ごめんね」
君の呼び掛けに応えられない僕は何て臆病なんだろう。
せめて明日は、行ってらっしゃいって言おう。
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