▼離れていってしまう前に(マダラ/NRT)

「この手を離さないで」

 今この手を離されたらきっと、わたしは駄目になってしまう。
 わたしの言葉に彼は腕の力を緩めた。しかしその手が離れる事はない。

「そんなに弱い女だったか」

 目の前でわたしが死んだでもあるまいに、彼は悲痛な表情を浮かべている。

「人は誰しも弱い部分があるものよ」

 わたしにもあるように、きっと柱間や扉間にだってある。ただ他人の前ではそれを見せていないだけで。

「あなたにもあるでしょう?」

 その言葉に、彼は腕の力を強めた。



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