【■■の悪魔】(csm→MHA/悪魔の心臓を持つ女の子)

悪魔の心臓を持つ女の子

00.魔人でも悪魔でもないものってなーんだ?

 魔人でも悪魔でもない女の子が頑張るおはなし

 話毎に視点が変わる。序盤の相澤との話しか書いてないので夢主と相澤で基本的に交互に変わる。

デフォ名:ユチカ

 無個性夫婦からから産まれた“悪魔の心臓を持つ”女の子。
 プロテクターである左手の薬指を抜いて注射針を露出させ、注射の悪魔となる。右目部分から腕の太さ程の注射器を半分突出させ、そこから謎の液体を噴射しながら変身する。
 変身後の姿は、頭部は右目部分の注射器以外血の付着した包帯でぐるぐる巻きにされている。右前腕部は注射器のシリンジの様にメモリの付いたガラス管状で中は謎の液体で満たされている。指の間から注射器を飛ばすことも可能。
 指先から注射針を自在に出す事ができこれを指して様々な薬品を注射することでバフ・デバフを付与する。本人には薬品の知識がないので大体“すっごい元気の出るお注射”や“何か眠たくなっちゃうお注射”と称している。
 戦闘能力に関しては岸辺の指導の賜物。体に染み付いてるのでかなり強い。

 ギャル系不思議ちゃん。かなり忘れっぽい。やる気になれば出来る子。アホの子っぽいけど世の中を知っている。肉弾戦強い。

・夢主視点だと前世の知識や関連ワードが全て黒塗りで聞こえてしまう。他の人視点だと黒塗りの部分はちゃんとした言葉で発せられている。他人が同じ言葉を発しても夢主には黒塗りとして処理されてしまう。




▼プロット

・親に殺される〜相澤と暮らし始める〜進路相談
 小中学校では説明が面倒なので無個性で通してる。
 マイクとも仲良くなった。ひざしさん。

・入試〜何でB組なの〜入学式にA組がいない〜体力テスト/知らない街の夜景みたいだ
 入試は持ち込み自由なのでサバイバルナイフ一本で何とかする。仮想敵の唯一装甲の薄い間接をナイフで切断して動けなくする作戦。ポイントが高いのは尻尾があるのと肩がすごいの、という認識。

 被服控除に関してはよく分かってない。お前の個性を生かせるコスチュームを書け。こういうヒーローになりたいとか、そういうイメージでもいい。あとは製作会社がお前に合ったのを作ってくれる。
 戦いやすい服ってこと? まぁそうだな。

・戦闘訓練〜USJ襲撃
 戦闘服は黒のスーツ。公安時代の制服と一緒の、本当にただの黒スーツ、中身ただのワイシャツ。
 物間と組む、注射の悪魔は正しくは“個性”じゃないのでコピーできない。岸辺師匠に叩き込まれているので変身しなくても楽勝で勝てる。“個性”は秘密。

 消太くん敵に襲われたって聞いたけど大丈夫? 命に別状はないけど酷い怪我さね。数日は安静ね。
 よかった、大丈夫そうだね。お前の大丈夫の基準低くない?


・体育祭/クラス対抗のデスマッチ
 やる気でない。何でヒーロー科入った。A組をぎゃふんといわせるんだから相澤もちゃんとやってくれよ。えー。わたし何も得しない……。……駅前のカフェの限定パフェ。やった! がんばる!

 振替休日に物間と駅前のカフェへ。カップル限定甘苺デラックスパフェを食べる。


・コードネーム〜職場体験/決め台詞も決まり文句も要らない
 ヒーローネームはそのまま名前。どうせ名前つけても忘れちゃうからそのままでいいや。

・期末試験/やがて秘密は明かされる
 アニメ同様一組ずつ行う形式。
 どこか一組が3人となるが名前の組は物間との二人組。コピーできない“個性”と組まされた時の対応と、実力未知数である名前のコンビ。相手はエクトプラズム。
 最初は純粋な戦闘能力で戦うが最終的に「強制収容 ジャイアントバイツ」に捕らわれ、埒が明かないので変身することに。嫌われてもいいや。
 怪我しなきゃいいんだよね、と最終的に正面から突っ込んで(猪突猛進! それ違う漫画だから!!)ぐちゃぐちゃになった時点で薬指引っこ抜いて変身全快、そのままアドレナリンぶっこんで腕から注射器出して槍のように刺して戦う。

 エクトプラズムの分身を作られても突いてぶっ壊しての繰り返し。疲れてきたらアドレナリンやステロイド入れて頭から液体ぶしゃーで復活。エクトプラズムが名前に付き添ってる間に物間が出口へ。合格。ちなみにこの二人、後の赤点組でもある。

 悪魔の姿に関して、クラスメイトは結構好意的。
確かに見た目はちょっと恐いけど名前は名前でしょ。名前が優しい子だって知ってるし。
 名前がヒーローになったらヴィランっぽいヒーローランキング1位とれるわ。ギャングオルカたち抜いちゃうノコ!
 キミたち変わってるね。ふふっ、ありがと!

 その日の帰りに物間に呼び止められていろいろ話す。試験の時は助けられっぱなしだったこと、自分の個性は誰かがいないと成立しないものであること、個性を使わなくても強い名前に対する賛辞。自分も追いつきたいという旨。
 追いつく必要あるの? わたしはわたしで、キミはキミなのに。



・林間合宿〜襲来
 A組同様適当な場所から降ろされてA組より早く合宿所に到着する。料理はできない。
 夜は物間と補習。A組煽る物間に対してA組と仲良くなる名前。
 勉強やだー。部屋戻るー。静かにしろ。
 もう不毛だよこんなこと……どうせすぐ忘れちゃうもん……大人になっても微分積分なんて使わないよ……。

 襲来時は合宿所にいた。不死身だから、消太くんわたし行く? いや、お前はここにいろ

・入れ寮〜仮免試験/明日を掴んで立つ
 部屋は特に何もない。早川家も相澤宅もそんな感じだったのでこれが普通なのかと思ってた。

・ヒーローインターンはしません?
 するかどうかは未定。するならちょっとA組と絡ませたい。


・文化祭
 顔だけで言えば小大と肩を並べる可愛さなのでヒロイン役候補だったが、どうでもいいことはすぐに忘れちゃう名前はやっぱりセリフ覚えられないのでセリフのある役は駄目だとヒロインは小大に。
「わたしジュリエットってキャラじゃないから」

 甘いもの全部食べる! を目標に文化祭を楽しむ計画を立てる。物間に誘われ一緒に回ることにプチデート。

・エンデヴァー立つ!
 消太くんはチャートに入ってないの?

・A組と合同訓練
 名前は3試合目。本来はドローで終わる試合を名前の力でB組の勝ちにする。


01.ある病院に女の子がいました

 ある病院に女の子がいました。

 女の子は重い病で余命が長くありません。

 かといって明日死ぬわけでもありません。

 医療の発達により延命されているだけです。

 ある日女の子がいつものように窓から外を眺めていると一匹の悪魔がやってきました。

 悪魔は民間のデビルハンターから命からがら逃げてきたのでポロボロです。

 悪魔は女の子を見て言いました。

「お前美味そうだな」

 悪魔はお腹がペコペコでした。

 女の子はこたえました。

「わたしをころしてくれるの?」

「何だ。お前死にたいのか」

 他の人間とは違う反応に、悪魔は首をひねります。

「どうせながく生きられないなら、もう死にたい」

 女の子の言葉に、悪魔は少し考えます。

 そして悪魔は笑いました。

「今は殺さないでおくぞ。お前が死ぬちょっと前に食べてやる」

「どうして? おなかがすいているんでしょう?」

 女の子の言うとおり悪魔はお腹がペコペコです。

 悪魔はニヤリと笑って答えます。

「人間の嫌がることをするのが悪魔だからな!」




 人類の八割が何らかの異能力を持っている時代で、わたしの両親は無個性だった。
 無個性同士がお互いを慰めるように惹かれ合って結婚した。そして無個性同士の間に生まれた子は殆どが無個性だ。

 でもわたしには“個性”があった。

 わたしにとってこの“個性”は“個性”ではなく体質そのもので、当たり前のこと。前世で、大切な友達からもらったもの。

 わたしの心臓は人間のものじゃない。

 わたしの前世では悪魔が当たり前のようにいた。街中を跋扈し本能のままに人間を食べる。そういう悪魔ばっかりだから当然退治する人も必要で、わたしはその人たちの中の一人だった。
 わたしの心臓は悪魔からもらったものだ。だからわたしは悪魔になれる。瀕死になっても悪魔みたいに血を飲めば復活するし、悪魔になることでも復活できる。
 マキマさんが助けてくれなければわたしは民間のデビルハンターに殺されていた。不死身だから殺されるというのはおかしいか。
 そんなこんなで悪魔になれるけど悪魔を退治する組織の一員になった。

 話をもどして。その時と同じまんまで生まれてきたわたしは、やっぱり心臓は悪魔のままで、その悪魔はわたしの友達なのだ。
 だからわたしは前と同じように悪魔にもなれるし、ふじみである。

 無個性の両親はわたしを当然無個性だと思っていたらしく、そんなわたしを産んでしまったことをとっても後悔していた。

 きっかけは小学一年生の時。魔人みたいに頭が人間じゃない子や腕や足が別の生き物みたいな子もいたから、わたしが変身しても他の子と変わらないのだと思っていた。
 わたしの“個性”を説明するとみんなが見てみたいと言ってきたので、わたしは悪魔の姿になってみせた。
 するとどうでしょう、友達だった子たちはおろか、先生たちもわたしを化け物呼ばわりして、ヒーローに助けを求めたのです。
 変な見た目の子が沢山いる世の中でもわたしの姿はダメらしい。まぁ化け物呼ばわりは慣れていたから、どうってことはない。強がりではなく、本当に何も感じないのだ。

 わたしは何とも思わなくても親は違うらしい。この出来事が原因で両親は一家心中を図った。

『まともに産んであげられなくてごめんね』

 それがお母さんの最期の言葉だった。まるでわたしが異常者のような言い方をするがすっごくイヤだった。前世では物心ついた時に両親は死んでたから分からないけど、きっと親とはこういうものなのかな。
 冷めた気持ちとは裏腹に熱くなっていく左胸。ぴーすけの心臓を傷付けられたことが何よりもすっごくムカツキ。わたしは変身のトリガーである左手薬指を引き抜いた。


 それからわたしは彷徨った。どうせ近所にはわたしが化け物だと知らされているだろうし、あの場にいたらわたしは人殺し扱いを受けて殺処分されてしまう。それはイヤだ。
 この世界にはマキマさんもデンジくんもパワーちゃんもアキくんも姫野センパイも岸辺師匠も居ないけど、ぴーすけがいる。私の心臓として今も生きている。もう二度と死なせたくない。
 服を血だらけにした子供が歩いていたら怪しまれるから、なるべく目立たないように路地裏とか建物のすき間とかを歩いた。
 ぴーすけが心臓をくれてからマキマさんに助けてもらうまで、その時もこうして人の少ない場所を歩いていた記憶がある。とっても懐かしい。

 どこへ向って歩いているのかなんてわたしには分からない。ただここではないどこかへ行きたかった。


02.俺らしくない日

 新人が故の激務の末にようやく訪れた非番。前日の仕事終わり山田に誘われるがままに飲みに行き、帰ってきて泥のように寝た。翌日は昼過ぎに起き、冷蔵庫から栄養補給ゼリーを取り出して啜る。少しだけ頭が痛い。
 先程開けたばかりの冷蔵庫の中身を思い出しつつ買い物くらいしておかなくてはと無精髭もそのままに家を出た。
 家を出てすぐ、物が焦げる臭いと共に消防車のサイレンが耳に入ってきた。人々の叫ぶ声が聞こえる。


 燃え盛るマンションからヒーローが次々と救助していく。非番だったとはいえ俺もヒーロー、しかも新人だ。現場を仕切っていたプロヒーローにライセンスを見せ避難誘導くらいは手伝うことに。

「危険です!」
「まだ娘が中にいるの!」
「今ヒーローが救助していますから! 心配しないで下さい!」

 娘がまだ中にいるのだと半狂乱の母親が今にも飛び込みかねないのを、避難誘導していた俺と同じくらいの若いサイドキックが抑えている。こういう光景は幾度となく見てきたがやはり慣れることはない。
 救助していたヒーローが再び燃え盛るマンションの入り口に飛び込もうとした時、頭上からガラスが割られる音がしたので視線を上げれば何かが落ちてきていた。
 それは小さい布袋の様に見えたが実際は子供だった。きっと先程叫んでいた娘なのだろうと、俺はその子供を難なくキャッチする。
 慌てた様子で飛びついた母親に子供の顔を見せれば大粒の涙を流しながら我が子を抱きしめる。外傷は見られないが一応検査はした方が良いと、母親共々救急車へ促していると再び大声で誰かが叫んだ。

「化け物よ!!」

 ヴィランではなく、化け物。確かにその風体はそう表現するのが近かったかもしれない。マンションの一室のベランダからこちらを見下ろしている。
 血塗れの包帯で頭部を覆ったそいつは右目の部分から太い注射器が飛び出しており、右前腕部が注射器の筒のようになっていて手首から先は人間の手だった。
 それから俺の方を見て口元と思わしき箇所の布をにやりと歪めると指の先から針を突き出し注射器となっていない方の腕にそれをぶっ刺し、部屋の奥へ消えていった。

ヴィランだ!」

 野次馬の誰かが叫んだ。群集心理によって一人がそう言い出せば感染病のように周りに広がっていく。

「あいつがやったんだ!」
「こっちを見て笑ってたぞ!」
「気持ち悪い!」
「子供を地面に叩きつけるつもりだったんだ!」
「ヒーロー早くあいつを捕まえて!」
「化け物をやっつけて!」

 ひどいもんだ。確かに見た目はヴィランのようだがあいつが直接何かした所を見たというのか。子供に関しては叩きつけるつもりだったにせよあいつが外に放っていなければ助かっていなかった。

「皆さん安心して下さい! あの化け物はこの私が捕まえてみせます!」

 救助していたプロヒーローは嬉々としてあいつを捕まえるべくマンション内へ入っていく。マンションを覆っていた炎は殆ど消えていたので俺も後を追うようにマンションの中へ。
 外側の炎は粗方消えていたから大丈夫だろうと思っていたが中は未だ消えていない箇所が多く煙も充満している。着ているTシャツの首を引っ張って口と鼻を覆ってそいつの後ろを追う。

「君! 確か新人ヒーローだと言っていたね! あの化け物はどの部屋にいたか覚えているかい!?」
「……六階の角部屋でした」
「ありがとう! 煙が充満しているから君はもう戻り給え!」
「……」

 オレの返事を待たずにそいつは階段を駆け上がって行った。追う形で俺も階段を上がる。
 煙がドライアイの目を痛めつける。だがそんなの気にしていられなかった。あいつより先にあの注射器の奴を見付けなくては。使命感だけが俺を動かしていた。

 奴がさらに上の階へ行ったのを確認して俺は五階の廊下へ出る。確か五階の南側、階段から四つ目の部屋だったはず。そいつがその部屋にまだいるという保証はないがとりあえずそこから確認するべきだ。
 中は廊下同様煙で充満しており、あの子供が未だこの場にいたとすれば一酸化炭素中毒に陥っていただろう。となれば注射器の奴は無事なのか。

「おい! いるか!?」

 返事はない。各部屋の扉を開け中をざっと見渡すが誰もいない。

「俺はプロヒーローだがお前を捕まえに来たわけじゃない! 信じられないだろうがとにかく信じてくれ! いるなら何でもいいから音を立てろ!」

 この部屋にはいないのか。諦めて別の部屋を見に行こうとした時、とんとん、と小さな音が聞こえた。子供部屋の押入れの中からだった。

「……さっき子供を投げたのはお前か」
「……」

 そいつは血塗れの包帯で覆われた頭で小さく頷く。よく見れば包帯だけではなく着ている服も血塗れだったらしく本来は白いブラウスだっただろうに腹部から円を広げるように赤黒く変色している。このままでは失血死してしまうと怪我の具合を確認するため服を捲ったが外傷は見当たらず、しかし返り血には見えない。
 兎に角この子も早く救急車に乗せなくてはと思い抱き上げて気付く。身長は一メートル程しかなく体重も軽く、完全に小学生のそれだった。

「お前……」
「わたしつかまっちゃうの?」
「!」

 ようやく聞き取れるくらいのか細い声に、思わず抱える腕に力が籠る。声色も小学生のそれだ。この子は、群集に化け物だと非難されたこの子は、ただの子供だった。
 さっきの群衆の反応を省みるに、このマンションの子供ではないのか、このマンションの住民だが普段は人間の見た目をしていてこの姿が“個性”使用中の姿なのか。
 どちらせにせよこいつがヴィランなわけがない。我ながら青臭い考えだと自嘲するが、たまには直感に頼ってもいいだろ。

「言っただろ。捕まえに来たわけじゃない」
「そっか……」

 俺の言葉に安心したのか少女が包帯で覆われた口元を僅かに動かす。
 さっさと部屋を出ようと玄関に向かう途中、少女の右目部分の注射器がその全容を剥き出していくのが分かり俺は思わず立ち止まる。
 腕の太さ程あった注射器は謎の液体を吹き出しながらめりめりと押し子の部分までしっかりと剥き出すと、ぼとりと地面に落ちる。連動するように包帯も不自然に千切れて外れていく。
 包帯の下に在ったのはあどけない少女の顔だった。右前腕部の注射器の筒のようになっていた個所は普通の腕に戻っている。少なくとも俺は見たことのない“個性”だった。

「おなかすいたなぁ」
「病院でたらふく食え」

 怪我の状況や体調次第で“たらふく”食えるかは分からないが。部屋を出れば煙はほとんど収まっていて。上の階を見ていたプロヒーローがこちらに気付いて走ってくるのが見えた。

「さっきの新人君! 先ほどのヴィランはどこにもいなかった!」
「!」
「どうやら逃げられてしまったようだ! してその女の子は!?」
「……部屋に取り残されてました」
「そうか! それはお手柄だ! さぁ早く救急車へ!」

 俺の腕の中の少女を見て、早くマンションを出るよう促される。他にも取り残された人がいないか見て回ると言って下の階へ消えていったのを見送って胸をなでおろす。俺の虚偽がバレたのかと一瞬焦った。
 先ほどの包帯のやつだと告げれば何をされたもんか分かったもんじゃない。あの男は確かにヒーローとしての正義感を持ち合わせているがどこか独善的でいけ好かない。今日は直観に頼ってばかりで俺らしくない日だ。


03.悪魔は明日も来るでしょう

 それから悪魔は女の子の病室に来るようになりました。

「まだ死なないのか?」

「まだみたい」

 一日も欠かさず、女の子が死ぬ日をいまかいまかと待っています。

「きょうもボロボロだね」

「今日はちょっと油断してただけだ」

 大抵はボロボロで、疲れ切った顔をしています。

 悪魔とはいえ、女の子は少し心配です。

 でも悪魔はすぐに笑って言います。

「デビルハンターなんてオイラの敵じゃねぇ」

 その言葉に女の子も笑います。

ぴーすけはつよいんだね」

 毎日やってくるので女の子は悪魔に名前を付けてあげていました。

 悪魔はその名前を少しだけ気に入っています。

 ですが悪魔にもプライドがあるのでそのことは言いません。

 いつものように他愛のない会話を少しだけして、悪魔は帰っていきます。

「あしたもきてね」

 女の子は笑って悪魔を見送りました。

 悪魔は明日も来るでしょう。




「……ここどこ?」
「病院だ」

 目が覚めると知らない天井。わたしの場合、知ってる天井の方が少ないけど。わたしの言葉に答えたのは知らないおじさんだった。
 すぐ隣に立っていた看護師さんが部屋を出ていく。きっと先生を呼びに行くんだ、よく見た光景だから何となく覚えている。
 よく見るともう一人、警察の制服を着た人がドアの所に立っている。目が合うと軽く頭を下げられたのでにこっと笑っておいた。困ったときは笑っとけって誰かが言っていた。

「あの後気を失ったんだ。慌てて検査した結果は極度の飢餓状態だと。何日食べてなかったんだ……」

 何日さまよっていたか分からないから何日食べてないかも分からない。正直にそう言えば露骨にため息をつくおじさん。

「おじさん誰?」
「おじっ……」

 岸辺師匠みたいな髭が生えててくたびれてるけど師匠より髪は長いしよく見ると結構若い。本当に誰だろう。

「……俺はまだ二十歳だ」
「見えない! 老けてる!」
「……素直なのは良いことだが素直すぎるのは時に人を傷つけるから気をつけろ」
「……ごめんなさい?」
「いや、気にしなくていい」
「じゃあ気にしない」

 そんなやりとすぐあとに、ノックの音と共に先生が入ってきた。さっきの看護師さんも一緒。
 これから診察なんだな、と子供の頃と同じように服を捲って聴診器を当てられたりした。あれ、わたしの手ってこんなに小さかったっけ。
 診察を終えると先生はにっこり笑った。珍しい。先生も看護師さんもいつもわたしに笑いかけたことなんてなかったのに。

「よしよし、経過は良好だね。これならあとは普通にご飯を食べていれば元通りだよ」
「ありがとうございます」

 二十歳のおじさんがお礼を言って先生と看護師さんは出ていって、おじさんが椅子を移動してわたしの近くに座り直した。

「……話を戻すが、俺は新米だがプロヒーローだ」

 プロヒーローって何だろう。ヒーローって英雄って意味だって聞いたことあるから、それのプロってことで。うーん、デビルハンターみたいな人かな。

「あの時マンションから助け出したんだが……流石に覚えてないか」
「ごめんなさい。わたし、どうでもいいことすぐ忘れちゃうんだ」

 マキマさんが言うには“ボーエイホンノウ”が働いてわたしにとって良くないことを忘れちゃうみたい。よく分かんないけど、マキマさんがそのままで良いって言ってたから多分忘れることは良いことなんだと思う。
 だからマンションからって言われてもよく分からない。ここ数日凄くお腹が空いていたことしか覚えてないから。

「……とりあえず病院へ連れてきて検査の結果外傷はなく極度の飢餓状態の為静脈栄養で栄養補給した次第だ」
「そういうのって先生が言うんじゃないの?」
「さっき説明せずに出て行ったんだから仕方ないだろう」
「それもそっかぁ……」

 先生ってどこも忙しいんだなぁ。窓から外を眺めてみたけどわたしがいた病室より階層は低いらしく中庭のベンチで談笑するおばあちゃんたちが見える。
 ぴーすけに会いたいなぁ。

「君のことを色々調べさせてもらった」
「?」
「君がいたあのマンション、君の家からは随分と遠い場所にあるみたいだが……」
「家?」
「自分の家くらい覚えてるだろ?」

 昔は公安の地下の部屋で一人ぼっちだったけどデンジくんと会ってからはデンジくんとパワーちゃんと一緒にアキくんちに住んでる。みんなでご飯を食べたり、パワーちゃんをお風呂に入れたり、おやつ食べながらみんなでごろ寝したり。あの何も無い部屋よりとっても楽しくて、とっても好きだった。

「“だった”?」
「? どうした。いくら忘れっぽいからと言っても自分の住んでいた家くらいは覚えてるだろう?」
「わたしが住んでたのはアキくんの家だよね?」
「誰だそれは……」
「違うの?」
「……まぁ兎に角だ。色々と聴取しないといけないんだ。協力してくれ」

 聴取。聴取かぁ。答えるのはいいんだけど多分この人が訊きたい事はほとんど覚えてないと思うんだ。


04.相澤視点の文章まとめ

「イレイザーヘッド。少女の身元が分かりましたよ」
「ありがとうございます」

 少女を救急車に乗せたあと警察で軽く事情聴取を受けた後、少女の身元が判明したという。


 本来ならば医者とか警察がするんだろうが生憎医者は忙しく、本来来る予定だった警察官は先ほど別の事件で駆り出されてしまったのでここに来たのはまるっきりの新人。
 従って看護師立会いの下、彼女を助けた俺が聴取を、新米警察官が内容を記録する運びとなった。まぁ、子供相手の場合、助けてくれたヒーローの言葉を信用するってのは多いので役者が揃っていてもヒーローが聴取を取るケースは少なくないと事務所の人に聞いた。

「軽く質問するから答えられる範囲でいいから答えてくれ」
「はぁい」

 間の抜けた返事をする少女は本当に分かっているのかぼんやりと窓の外を眺めている。まぁ耳さえこちらに傾けてりゃあ何でもいい。警察官に借りた資料と照らし合わせながら一つずつ質問を口にしていく。

「名前は?」
「名前」

 合っている。けど名字までは出てこないか、それとも意図的に口にしていないだけか。一応これも聞いておくか。

「名字は?」
「早川」

 違う。資料に書かれた名字とは一文字たりとも一致しない。相変わらず窓の外を見ていて表情が伺えないので態とかどうかの判別が難しい。
 試しに本来の名字を呼んでみたが反応はなく、もう一度呼んでみても寧ろ誰だそれといった眼で首を傾げられた。ショックで名字を忘れている可能性は高い。とりあえず次。

「学校は?」
「……行ってたかも?」

 随分と曖昧な回答だ。

「……学校の名前は?」
「知らない」

 分からない、ではないあたりはっきりとはしているらしい。どうやら覚えていないっぽいな。

「両親のことは?」
「わたしが生まれてすぐ悪魔に殺されたって言ってたよ」

 違う。正真正銘血の繋がった親子であった。だからこそあの惨状となったのだ。

「“個性”は何だ?」
「こせい?」

 記憶の混濁、にしては妙にはっきりとした物言いだ。この時代に生きていて“個性”という単語を聞いたことが無い子供はいない。

「“個性”……つまりお前の異能力のことだ」
「よく分かんないけどぴーすけの力で注射器だせるよ?」

 記憶喪失の可能性がある。

「……顔に注射器が生えてたあの姿はお前の“能力”か?」
「うーん……多分そうかも?」
「……」


「何故子供を助けた?」
「わかんない……助けてって聞こえたから。助けなきゃって……民間人を守るのがデビルハンターの役目だから……」
「デビルハンター? 何だそりゃ」

 子供の間で流行っているごっこ遊びか何かか。




「血を飲んだら治るよ」
「それがお前の“個性”か?」
「わたしの心臓はぴーすけからもらったの……だからわたし悪魔になれるの」

「ぴーすけ? 悪魔?」

 突拍子のない話をするのは子供に有りがちだが、嘘を言っているようには見えない。

「ぴーすけは悪魔だけど鳥みたいだからわたしが付けたの……クチバシが注射器になってて可愛いんだよ」

 心臓の辺りに手を当て嬉しそうに笑う姿は年相応だ。しかし話は一切見えない。

「あれ……ここ違う? わたしは名前だけどここにはマキマさんもいない? デンジくんも? アキくんも? パワーちゃんも、誰もいない?」


「あ、そっか」
「? 何か思い出したか?」
「ここが違うっていうのを思い出したの」

 違う、とは。




 注射器の子供が目覚める前日、奴が窓から放って寄越した子供の事情聴取へ行くという警察の方に、その子を受け止めた俺に母親が礼が言いたいとのことを伝えられ、俺も付いていくことになった。
 詳しい話を聞いて確信したがやはりあいつはヴィランなどではなかった。

「お姉ちゃんがカラダをまるめて目をつむっててねって。ちょっとフワッとするけど、そうしたらヒーローがかならず助けてくれるからって! 言われたとおりにしたら本当に助かったの!」
「その方にもお礼をしたいのですが知りませんか。お恥ずかしながらヒーローには疎くて……」
「……あいつはヒーローじゃないですよ」
「まぁ!」




 マスコミってのはより世間が食いつく言葉を使いたがる。新聞やテレビでは連日“化け物”や“親殺し”、“マンション放火”という言葉を繰り返しており、有る事無い事言いやがる。
 テレビの電源を落としリモコンをテーブルの上に置く。どのチャンネルも話題は同じで観るだけ無駄だ。

 マンションは煙草の火の不始末が原因。両親が一家心中を図って娘だけが助かった。そしてあいつは化け物なんかじゃあない。

 プロヒーローという肩書きと実績があるお陰で後見人には驚くほど簡単になることが出来た。申請がややこしくて面倒だったことを除けば。


05.夢主視点文章まとめ

 昔、というか前世で、一度だけ手紙をもらったことがある。
 いつものように公安として悪魔を倒した何日か後に、




 進路希望のプリントに行きたい高校の名前を書いて消太さんに見せたら眉間にしわを寄せた変な顔で突き返されてしまった。

「お前に雄英は無理だ」
「ダメなの?」
「……お前自分の偏差値分かってんのか」
「?」
「雄英の偏差値は79だ」
「わたしもそれくらいあるよ?」
「無い」
「ないのかぁ」
「大体お前テストの時に赤点取らなかった事ないだろ……見事に毎回違う科目で赤点取りやがって」
「だってどうでもいいことはすぐに忘れちゃうんだもん」

 学校は楽しいけど勉強はとってもつまらない。先生が黒板に書いた文字をただノートに写すだけだなんて面白くもなんともない。だからすぐに忘れちゃうんだよ。わたしのせいじゃないよ。

「……だめ?」
「可愛く言っても無理なものは無理だ」
「アキくんだったら折れてくれてた!」
「誰だそれは……兎に角これ以上の話し合いは非合理だ。お前の頭で行ける範囲の高校を選び直してから持ってこい」
「ぶぅ」




「何で消太さんのクラスじゃないの?」
「お前の“個性”を考えたらブラドの方が適任だと判断したまでだ」
「そっかぁ……じゃあしかたないね! B組で頑張る」




「わたし、デンジ君のこと好きだよ」

「マジで!?」

「うん。だってデンジ君はわたしのこと人間扱いしてくれるから」

「俺も名前が好きだぜ」

「だからさ、その……。私と結婚してくる?」
「する。ゼッタイ結婚する!!!」
「嬉しい。約束だよっ」


06.冒頭絵本語り風ポエム集

 女の子には両親がいませんでした。

 女の子が物心つく前に死んでしまったのです。

 一人生き残ってしまった女の子は後見人に預けられました。

 身寄りの無い子には後見人がついてあげる法律なのです。

 引き取ってすぐに、後見人は気付きました。

「この子は病気だ」

 それから女の子はずっと病室にいます。

 女の子は両親が遺してくれた莫大な遺産があることを知りません。

 後見人が女の子とこっそり養子縁組をしたことを知りません。

 後見人がお見舞いに来てくれたことはありません。

 ずっと病室にいるので女の子は何も知りません。

 これからもずっと病院からは出られないのです。




 女の子は寝る前に必ず注射をされます。

 病気だと聞かされているのでその治療のためでしょう。

 注射は慣れてしまったので少しも恐くはありません。

 ですが毎日訪れる看護師さんは笑わないので少しだけ恐いです。

 いつも無表情で、暗い目をしているからです。

 いつも同じ時間にやって来て淡々と処置をして病室を出ていきます。

 でも今日は少しも恐くありませんでした。

「もういいよ」

 悪魔がそばで見守ってくれていたからです。

 ひょこりと窓から病室に入ってきた悪魔は女の子に言いました。

「今のは毎日やってるのか?」

「そうだよ。わたしびょうきだから、まいにちしなきゃダメなんだって」

 悪魔は続けて尋ねます。

「あれの中身が何なのか知ってるのか?」

 女の子は同じように答えます。

「しらないよ。こどもにはむずかしいおくすりだから、しらなくていいって」

 女の子の言葉に悪魔は顔を恐くします。 

「どうしたの?」

 女の子は心配になって悪魔を覗き込みます。

「……なんでもねぇぞ」

 少しの沈黙のあと、悪魔はいつものように笑って見せました。

 女の子もつられて笑いました。





「お前、オイラが恐くないのか?」

「うん。注射はなれてるからね」

「そうか。お前変わった子供だな」

 子供に遭えば泣かれていた悪魔にとって女の子は不思議な存在でした。




 悪魔がいつもの様に女の子の病室へ遊びに行くと、女の子は沢山の管によって大きな機械とつながっていました。

「……何だお前。もう死ぬのか」

「うん。やっと死ねるの」

 女の子はにうっすらと見を開け、嬉しそうにほほ笑みました。

 悪魔は言います。

「それじゃあ約束通り、死ぬ前にお前を食べてやる!」

 悪魔は大きく口を開けて女の子に近づきます。

 女の子は答えます。

「ありがとう」

 悪魔は大きく開いていた口を閉じ、少しだけ考える素振りを見せます。

 その様子に女の子は首を傾げました。


「良いことを思いついたぞ」

「オイラの心臓をお前にやる。そしたらお前は長生きするんだ」

「なんで?」

 女の子は尋ねました。

 悪魔はニヤリと笑って答えます。

「人間の嫌がることをするのが悪魔だからな!」

 女の子は悪魔の心臓を貰い死ぬことはありませんでした。

 女の子は人間とも悪魔とも魔人とも違う生き物になりました。

 女の子は化け物になりました。

 それでもぴーすけのことは嫌いになれませんでした。


07.csmサイドのおはなし

 注射の悪魔に心臓を貰った女の子。

 両親が悪魔に殺され後見人となった知り合いの弁護士に病気だからと強制的に入院させられ毎日謎の薬品を注射されていた。入院生活中、どこかからやってきた注射の悪魔に対し友好的に接したのをきっかけに毎日訪れるようになった注射の悪魔に“ぴーすけ”と名付けるまで仲良くなる。
 夢主に毎日注射されている薬品の正体を一目見ただけで看破したぴーすけによって、心臓を与えられ生きながらえる。その後、注射の悪魔を追っていた公安によって保護されデビルハンターとして働くことになった。
 契約悪魔は包帯、メス、鋏の三体。いずれも注射の眷属のためほぼノーリスクで力を使える。

 注射の悪魔を追って病室を訪ねてきたマキマを夢主は一目見ただけで悪魔と看破し、最終的に友達になってもらう。

 マキマの唯一にして無二の“友達”となり、支配ではなく対等な関係を欲していたマキマから気に入られ非常に可愛がられる。
 公安に入ってからも化け物として見られ続けてきたが故に普通の人として接してくれたデンジやアキ、パワーが好き。早川家で一緒に暮らし、早川家と括られて呼ばれるの好き。
 マキマは、名前が勝手にデンジと結婚の約束をしたのに腹を立てるも逆にそれを利用しようとも考える。


 マキマによって銃の悪魔に殺された事にされる。
 胸から左腕にかけてを切り取りそれ以外の部分(顔と右腕と体の腹から下の部分全部)をデンジに見せ銃の悪魔に殺されたことにした。その後保管されていた体の左手薬指のシリンダーを外して復活。今回の仕事は超大変だったからその分長い休暇が貰えるよ、って言いくるめられ、付き人を付けられ世界旅行に行っていた。旅行中は意図的に日本のニュースを目に入れないようされていた。

 マキマ死亡後、岸辺がナユタを連れ去ってくる道中で呑気に中国観光していた名前を発見。そのままナユタと共に日本に連れて帰りデンジと再会。帰りの飛行機内で日本を離れてから起きた事を全て聞き、泣きわめき散らかしてた。
 二部からはナユタかわいいかわいいしてる。デンジと川の字でナユタ抱きしめながら寝てる。




・初対面でマキマを悪魔と看破する夢主

「あなたは何の悪魔さん? ぴーすけのおともだち?」
「ん?何を言っているのかな?」


・その後友達になる

「ケーヤク? しないとおともだちになっちゃダメ?」
「いや……分からない。今まで友達はいなかったから」
「じゃあケーヤクとかなしにおともだちになろ!」
「……そうだね」
「じゃあわたしたち今からお友達ね!」
「うん」

「……それで、友達って具体的に何をするのかな?」
「うーん、知らない!」

 そうしてマキマと対等な関係に。マキマに対してちゃん付けし敬語も使わない。


・デンジを拾う

「わわっ。男の子が出てきた!」

「マキマちゃん、この子どうする? 殺しちゃうの?」
「うーん……名前はどうしたい?」
「そうだなぁ、なんか可哀想だから殺すのはやめにしよ?」
「じゃあそうしよう」


・デンジの目標

「銃の悪魔ぶっ殺してマキマさんとエッチする。んで18んなったら名前と結婚!」


・名前の夢

「私の夢はね、お嫁さんになること!」

「でもわたしデビルハンターだから誰も結婚してくれないし、公安辞めたら殺されちゃうし……だから多分、夢で終わっちゃうんだぁ」


・その他

「でもね、やっぱりわたしマキマちゃんは裏切れない。マキマちゃんが公安で引き取ってくれなかったらわたし殺されてたから」

「あの子が消えて悲しいけど、マキマちゃんがね、あの子はわたしの中で生きてるって言ってくれたの。だからわたしはマキマちゃんが好き。例えあの言葉が嘘でもわたしは確かに救われたから、マキマちゃんが好き」



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