【浜田と微妙な関係】(浜田/oofr)

浜田と微妙な関係01

「え、留年……?」

 正直唖然とした、浜田の口からとんでもない言葉が飛び出した

 昼休み、浜田に呼ばれて屋上へと行くとその日に限って誰もいなかった
 浜田は浜田で都合がいい、と言っていたので何の話かと思っていれば突然の留年宣言
 私はその場に崩れそうになったが何とか持ちこたえた、私偉い

「そ、出席日数足りなくってさー」

 留年の理由をいつもと同じように笑って話す浜田、なんで笑ってんのよ

 浜田とは高校に入ってから知り合った、たまたま入学式の日に席が隣だったのをきっかけによく話すようになった
 それがなかったら、席がたまたま隣じゃなかったら、ただのクラスメイトだったのかな
 ただのクラスメイトだったら今浜田からこんな話聞かされたりしなかったのだろう
 きっと、噂で誰かが留年したと聞かされてふーんと思う程度だったのだろう

「……は、浜田は馬鹿よねー」

 浜田がいつも通りに笑っていたので私もいつも通りに振る舞って、ケラケラと笑ってやった
 浜田も、馬鹿って言うな、って笑っている、何で笑っていられるのよ
 私が二年生になったら浜田はまた一年生、私は先輩で浜田は後輩になってしまう

「浜田、」
「ん、何だ?」
「私が二年生になっても、」
「うん」
「浜田がまた一年生でも、」
「……うん」
「私たち、友達、だよね?」
「名字……」

 私の言葉に浜田は目を見開いていた、そんなに驚かすこと言ったかな
 それからすぐに浜田は複雑そうな顔をしてまたいつもの笑顔にもどった

「あったりめぇじゃん!」
「だよね……!」
「俺と名字はずっと親友だかんな!」

 親友、その言葉に私はひどく安心した、私は浜田を親友だと思ってくれていて、浜田も同じだった

 私が二年生で浜田はまた一年生になっても、私は私で浜田は浜田なんだ
 不安なんてもの、ほとんど消えてなくなっていた


浜田と微妙な関係02

「友達、か……」

 私たち友達だよね、名字は俺にそう言った

 正直複雑な気持ちだった、友達と言われるのは悪い気はしない、だけど何故か釈然としなかったのだ
 理由なんて解らないけど、考えれば考えるほどややこしくなる、俺の頭で考えてもらちがあかないので放っておくことにする

 あの後名字は別れを告げて屋上を出て行った、きっと教室に戻ったのだろう、最後に見た表情はそこはかとなく嬉しそうだった気がする
 俺は戻る気がなく、何をするでもなくただ屋上に残っていた、この状態で授業を受けたって頭に入ってくる訳ないし
 転落防止用のフェンスに背中を預けて座って空をみると、この上なく青かった
 とにかくこれ以上何かを考えても俺の頭だと混乱するだけなので寝ることにする
 留年が決まってしまったので今更単位とか考えても無駄だしな

 鳥の鳴き声をBGMに俺のまぶたは重みを増した

「……名字……」


浜田と微妙な関係03

 あの後予鈴が鳴っても浜田は教室に戻って来なかった

「授業始めるぞー……と、浜田はどこだ?」

 サボリかー? と、教科担任が一つだけ空いた席を見るがみんな浜田の行方が分からないらしく教室内は静かだった
 きっと、あのまま屋上に居るのだろうけど先生に言うつもりなんてない

 私はただただ窓から外を見ていた、正確には空ばっかり見ていた、ただぼーっと見ていた
 浜田のことはすっきりしたつもりなのに、なぜかまだもやもやした何かが残っていた


浜田と微妙な関係04

「……だ、て……浜田起きて!」
「だあっ!……名字?」

 誰かに呼ばれている気がして目を開ければそこには名字がいて、俺を見下ろすように立っていた、あ、パンツ見えそう
 頭は起きていなくて目をぱちくりさせていたら呆れた表情で名字が口を開いた、水色の縞模様

「あんたもう放課後」
「……まじで?」
「まじ」

 名字越しに空を見やれば少し赤みがかっており、それだけで目が覚めた
 幸い今日はバイトは無かったのでよかったのだが、制服のままだったのがいけなかったのか若干寒い

「さみー、名前ちゃんあっためてー」
「ふふっ、しょうがないなあ、良郎くんは」

 冗談で言ったつもりだったのに、いつものようにスルーされると思っていた言葉が今日は冗談で返ってきた
 しかも両腕を広げて抱きしめてくれるというオプション付き、これは夢なのだろうか
 名字の体温は暖かく、現実であると教えてくれた、冷えてあた体が熱くなっていく
 このそれと同時に心臓が痛いくらいに跳ねた、何かの病気なんだろうか、でも名字が離れることによって治まったので気にしないことにしよう

「浜田、帰ろう」

 俺んちと名字んちは近くて、二人とも帰宅部で下校時間が重なる、だからよく一緒に帰ることがある、今日もそうだ
 いつからか二人で帰るのが日常になりつつあるんだ、新学期になっても一緒に帰れんのかな


浜田と微妙な関係05

「こう、浜田といると安心するんだけど、他の女の子と一緒の浜田は嫌い」
「……じゃあさ、浜田見てドキドキとかする?」
「ドキドキ? んー、どうだろう……」

 浜田を見てドキドキはしたかと聞かれ私は黙ってしまった
 一年のときは毎日のように一緒にいたからそんな感覚覚えていない
 たぶん、今もそうだ
 浜田は友達の一人であり、弟みたいなものであって、あれ、弟という表現は何かしっくりこない、お兄ちゃんは私が嫌だよ、え、何で嫌なの私は
 唸る私に友人ははあ、とわざとらしくため息をもらした

「ため息吐くことないでしょー!」
「だってあんた……ねえ、もう一個聞いていい?」
「なに?」
「もしあたしが浜田と付き合ってたらどう思う?」
「えっ、付き合ってるの?」
「例えばよ! 例えば!」

 びっくりした、本当にびっくりした、早く答えなさい、と友人に言われちょっと待ってよと、想像してみる
 浜田が誰かと付き合ってたら……

「……例えばでも、嫌だなぁ」
「そう、じゃあ浜田が誰かとキスしてたら?」
「もっと嫌だ」

 想像するだけでモヤモヤする、何なのさ
 このことを友人に正直に話すと、またため息をつかれた
 そんなにため息吐くと幸せが逃げるぞコノヤロー

「はあ、それってね……」

 そこで私はこの気持ちの名前と意味を知った
 私の反応を見た友人はにやにやしていてムカついたけど今回ばかりは感謝しておこう
 だって彼女の言葉がなければ私はきっとこの気持ちの意味を理解できていなかっただろうから

「……っ、」
「あんた、行かなきゃいけない所があるんじゃないの?」

 ほら行きなさい、と彼女は私の背中を強く押してくれた
 けれども顔はやっぱりにやけていた、うざい

 それから私は浜田の居そうな場所を探した、この上なく探していた
 前なら、ちょっと廊下を歩いていたらひょっこりと顔を出して私を見つけるのに、今回ばかりは違うみたい
 いくら探しても、いくら走ってもあいつの姿は見つからず、昼休み終了のチャイムがむなしく響いた

「はあ……」
「どうだったの、会えた?」
「だめ、どこにもいない」

 教室に戻るとほとんどの人が席についていたので私も慌てて座ると先の友人が話しかけてきた
 昼休みには会えなかったと言うとほんと浜田空気読めてない、と彼女は眉間にしわを寄せた


浜田と微妙な関係06

「名字!」

「俺、さっき気づいた!」

「名字が好きだって、やっと気づいた!」


「私も!」

「私も浜田が好きみたい!」


 ってな感じで無意識両片思いの浜田と夢主が周りの人(浜田の場合は泉)に自覚させられ両思いになる話を書きたかったのだけど途中で飽きた



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