【T&B→OP】(バーナビー/T&B→OP)

夢主設定

マリア/名前・名字
 ファッション系の企業アフロディーテモッドに所属する「女神」。一人称は「私」。「あなたの悪事を許すわけにはいきません」が決め台詞。
 ロシア系の美女、金髪碧眼。私服は腐るほどある。普段はヒーローの姿で所属会社の専属モデルとして働いている。脳みそゆるゆる、スカイハイに負けず劣らずの天然ちゃん。
 アカデミーで同期だったイワンとエドワードとはとある事情でぎくしゃくしていたが現在は和解し仲も非常に良好。

 ヒーロー名は「マリア」。ヒーロースーツはモデルらしく三種類もあり、日替わりで着用。ヒーローの時は特殊なカチューシャを使い髪色を薄い桃色にしている。
 ランキングは常に上位。スポンサーは大手エステティック、化粧品メーカー、花屋チェーン店、老舗洋菓子店。
 NEXT能力は「植物を操る」こと。あらゆる植物を自在に操ることが出来、強制的に成長させることはもちろん、退化させることも可能。
 薔薇を成長させ鞭状にした「ローズウィップ」が主な武器。

アフロディーテモッド:シュテルンビルト八大企業の一つ、服飾系の企業。多数のファッションブランドを抱えている一大企業。シンボルはイルカ。

 ヒーロー歴(デビュー順)は虎>牛≧炎>空≧女神>薔薇≧折紙>龍>兎というイメージ。


※あらすじ&ネタバレ:ヒーロー業務中追い詰めた犯人に異世界へと飛ばされ麦わら一味に拾われグランドラインを進むうちにバーナビーもこちらの世界に飛ばされてきてしまい、二人で元の世界へ帰る方法を探すお話。悪に染まらず不殺を芯に、善悪関係なく人を助け、悪だと判断した者は徹底的にお仕置きする。
マリア仲間入り→ドラム島→アラバスタ→空島→バーナビー仲間入り→デービーバックファイト→ウォーターセブン→エニエスロビー→スリラーバーク→シャボンディ→クマにシュテルンビルトまで飛ばしてもらう


タイバニアニメ終了後すぐ→海賊(タイバニ世界で四日くらい)→タイバニ劇場版→さらに三年後→二年後魚人島編終了後


・二年後設定

 タイバニの世界は劇場版「The Rising」から三年ほど経っていますが、他のヒーローたちはなどは劇場版の状態から変わりありません。
※タイバニ世界の時間経過は海賊世界の二分の一程度の設定です。

名前・ブルックス:バーナビーと結婚しました。新婚1部リーグで活躍するヒーロー兼モデル、ヒーロー名はマリア。結婚してからは主婦層のファンが増えた。

バーナビー・ブルックスJr:名前と結婚しました。一時は2部リーグに所属していたが現在は1部リーグで活躍するヒーロー。

ムスコ・ブルックス:名前とバーナビーの息子。1歳半。5分間だけ植物を操るNEXT。


T&B→OP 01

・夢主を拾う、というか落ちた先がメリー号

「私は名前・名字。ヒーローです」
「ヒーロー!?」


「え、か、海賊!?」

「はわわ……海賊になっちゃった……私ヒーロー失格……!!」


「これは私の髪のみに反応して、装着している間だけ髪の色を変えてくれるの」

 いつものように装着して見せると根元から毛先にかけて髪の色が変わる。綺麗な金から可愛らしい薄桃へ、それだけでも印象は違う。

「すっげー!」
「美しい金髪美人から可愛らしい桃色天使ちゃんに!?」


「そのクロコダイルという人は悪人なのね」



・ドラム島編でチョッパーと打ち解ける

「お前……俺が怖くないのか? 青っ鼻だし、二足歩行するトナカイだし、人の言葉喋るし……ば、化物だぞ」
「全然。だって私も似たようなものだもの」

「か、体が青く光ってる!?」
「私の世界ではNEXTっていうの」


親方空からバーナビーが!

 空島から青海へと降りてきた麦わらの一味が、次の島へ向かっている途中のこと。

 急に現れた青年にクルーたちは敵襲かと各々戦闘態勢を取る。
 青年は赤いライダージャケットにジーンズにブーツと、街中では自然だが海賊には珍しい格好をしている。顔立ちは端正で、普通の女性ならば余裕で見惚れるレベルだろう。
 海賊船に堂々と現れたのだ、何か目的があるとみて間違いない。その証拠に青年は何かを探すように周りを見渡した。

 青年を見て一番に反応したのは他でもない名前だった。

「バーナビー!」
「名前!!」

 彼女は彼のものと思わしき名前を叫び、彼もまた彼女の名前を叫ぶ。弾かれたようにその場を走り出し、二人は抱きしめ合った。

「名前、やっと見つけた」
「バーナビー、会いたかった」
「無事でよかった。心配したんですよ」

 二人の様子を見たクルーたちはそれを見てすべてを悟った。
 彼女にとってこの世界は異世界であり知識もなければ知り合いもいない。そんな状況で彼女は知り合いを見つけたということは、彼は、彼女の元いた世界から来た人間に違いない。
 今までに見たことのない、心の底から安心しきった名前の表情。行動派のルフィでさえ大人しく彼らを見守っていた。

「……貴方が目の前で消えて、貴女をどこにやったのか聞き出す前に犯人はルナティックに焼き殺されてしまって……」
「ルナティックに……そう……」
「それからはみんなで情報をかき集めて……ファイヤーエンブレムは寝る間も惜しんで貴女を取り戻す方法を探しています。折紙先輩はネガティブに拍車がかかって、スカイハイさんも自分が不甲斐ないからだと終始落ち込みっぱなし。ドラゴンキッドは見るからに食欲が落ちてますしブルーローズは明らかに寝不足です。ロックバイソンさんと虎徹さんも不器用ながらも情報をかき集めて……みんな心配しています」
「みんな……私のために……」

 いつもの名前ならばルナティックに焼かれ死んだ犯人の最期を悲しむところだが、それよりも、仲間たちに愛されているのだという事実の方が嬉しかった。

「僕も心配しました。司法局に登録してあるNEXTから似たような能力者を探し出すのに二週間もかかった」
「そんなに……心配かけてごめんね」
「本当に無事でよか……た……」

 小さくなってゆくバーナービーの声。言い終えると同時に、名前に寄りかかるようにして倒れこんだ。それから一拍おいて名前が声を荒げる。

「キャーッ! バーナビーがっ、チョッパー、バーナビーが死んじゃっ……!」
「落ち着け名前! 死んでねえか落ち着けって! ……大丈夫、外傷もないし、多分疲れて寝てるだけだ」
「そ、そうなの? よかった……」

 腰が抜けたように彼を支えたままその場に腰を下ろす名前。チョッパーの診断通り彼はただ眠っているだけで外傷も内傷も見られない。
 よほど疲弊してていたのだろう、眼鏡越しにでも隈がはっきりと見えている。他の誰よりも寝る間も惜しんで情報をかき集めていた証拠だ。
 それこそ名前と再会出来たことに安堵し、周りの騒がしさも気にせず寝れるほどに。
 それだけ心配されていたのだと、愛されているのだと実感した途端、名前の瞳から涙が溢れた。

「おい名前どうした!? どっかいてぇのか!?」

 ルフィの言葉に、静かに首を振る。これは痛みから来るものではなく、安堵から来る涙だ。
 知らない世界に一人ぼっちでいた不安と恐怖。この世界にとって名前はイレギュラーであり、常に一人きりだった。
 それは仲間だと言ってくれる人たちがいようとも彼女の心の隅に常に居座っていた。
 そして元いた世界の、しかも愛しい人と、ようやく会えたことによる心緩びが涙腺を弱めたのだ。

「ありがとう、バーナビー」

 耳朶をくすぐる寝息が心地よい。名前はバーナービーの背をゆっくりと撫でてやる。
 他のクルーは心穏やかにその様子を眺めていた。

「なあこいつ名前の友達か?」
「うん。バーナビー・ブルックスJr……こっち風に言うとブルックス・バーナビーJr、かな。バーナビーも私と同じ世界でヒーローをしてて、私がこっちの世界に来てから彼なりに私を元の世界に帰す方法を調べてくれたの」
「ということはその方法が見つかったからこっちに来たってことね」
「つまり名前ちゃんはもう自分の世界に帰るのか!?」
「うん、そうなるのかな」

 ロビンとサンジの言葉に肯定する。特にサンジはバーナビーに良い顔をしていない。
 バーナビーがNEXTを探し出してこちらの世界に来たということは、そういうことだろう。聡明な彼が何の策もなく異世界に来るとは考えづらい。

「名前帰っちまうのか!?」
「もう、最初からそういう約束だったでしょ」
「ごめんねルフィ。でも私は私のいるべき世界に帰らないと……シュテルンビルトの人たちも待ってるだろうし……」
「そっか……本当はずっといて欲しいけど、仕方ねえよな」

 彼女には彼女のいるべき世界がある。さすがのルフィでも無理強いするわけにはいかない。
 とりあえずこの場で寝かせるわけにもいかないので人型へと変形したチョッパーが、バーナビーを船室へと運ぶ。

「バーナビーが起きるまでは彼共々お世話になっちゃうけどね」
「なぁ名前、あいつも強いのか?」
「ええ。なんたってヒーローの中のヒーロー、キングオブヒーローだもの!」
「キングオブヒーロー!?」
「あいつすげーんだな!!」

 名前の言葉にルフィ、ウソップ、チョッパーの三人は瞳を爛々と輝かせる。
 ただでさえ名前がヒーローだと言った時は四六時中武勇伝を強請っていたのだ。バーナビーの時はもっと凄いことになるだろう。

 名前は、バーナビーが尊敬されているということを自分の事のように喜んでいた。

「詳しいことは本人が起きたら聞いてあげて? あっ、でも起きたらすぐ帰っちゃうのかな」
「俺は今聞きたいんだ! キングオブヒーローの伝説を聞かせてくれ!!」
「そう? じゃあ少しだけね」

 ルフィにせがまれ、名前は嬉しそうにバーナビーの武勇伝を聞かせるのだった。


帰る方法

「名前!」

 バーナビーがこちらの世界に来た次の日。未だ寝ている彼を起こさぬよう、甲板で名前がバーナビーの武勇伝を船長らに聞かせていた時。
 彼女の名を叫んで船室の戸を開けたのは疲労でぐっすりと寝ていたバーナビーだった。

 起きたら知らない場所で寝かされていたのだ。寝る前の出来事が夢だったのでは、と扉を開けて一刻も早く名前の存在を確かめたかった。
 彼を見た名前は花笑みを浮かべて彼の元へと急ぐ。彼女を見て、寝る前の出来事が夢ではなかったのだと、バーナビーは胸を撫でおろした。

「バーナビーよく眠れた? ただの疲労らしいけど、どこか調子が悪かったら遠慮なく彼に言ってね、お医者さんなの」
「彼……タヌキ?」
「俺はタヌキじゃねえ! トナカイだ!!」
「? そうでしたか、それは失礼。……喋るトナカイとは、この世界は随分ファンシーなんですね」
「ふふ、私も最初びっくりしちゃった」

 二人で笑い合っているとクルーたちの視線が彼に向いていることに気が付いた。
 挨拶もなしに彼女と抱き合って、その上疲労とはいえ勝手に寝てしまうなんて失礼に値する。彼女の知り合いだからと言って謝らない訳にはいかない。

「先日は取り乱した上に寝てしまって、すみませんでした。僕はバーナビー・ブルックスJr。名前と同じ世界から、彼女を迎えに来ました」
「知ってるぜ! キングオブヒーローなんだろ?」
「ええ、よく知ってますね」
「名前に聞いたんだ!」
「ヒーローの口から直接武勇伝を聞かせてくれよ!」

 ルフィとウソップは目を輝かせながら、先ほどまで聞いていた彼の武勇伝を思い返していた。
 時には瓦礫に押し潰されそうになった少女を電光石火で救い、誰にも捕えられなかった所在転換のNEXT犯罪者を単独で確保したり、両親の仇と思われていた重犯罪者との真っ向からの勝負、語る側も手に汗握る話ばかりだ。

 しかしそんな時間は、もうない。バーナビーも、名前も、自分たちの世界へ帰らねばならない。
 シュテルンビルトにはキングオブヒーローと女神の帰りを待っている人々が沢山いるのだ。

「名前、名残惜しいけどさようならね」

 ナミの言葉に皆一様に名前の帰りを惜しむ。チョッパーやサンジに至っては涙を流している。
 すべての状況を察したバーナビーは自分の置かれている立場を理解し、その身を強張らせる。

「うん。みんな、今までありがとう。私みんなの事忘れない」

 名前の涙が感動的な別れを演出しているが、それとは対照的にバーナビーの表情がよろしくない。
 悪いことをした子供が、いつ叱られるかと怯えている様な、緊張している状態だった。
 いつもと違う彼の様子に気づいていたが、些細なものだろうと名前は気にせずに言う。

「それでバーナビー、どうやったら私たちは帰れるの?」
「……」
「……?」
「……」
「えっと、その……まさか、帰り方、分らないの?」
「とにかく貴女の許へ行くために必死でしたから、その後のことは一切考えていませんでした」

「えええええぇっ!!?」

 ばつが悪そうな顔をした彼以外、船上にいた全員の声が辺り一帯に響いた。

「お前それ来た意味あんのかよ!」
「異世界迷子が二人に増えたのね」
「じゃあまだ名前ちゃんと一緒にいられるのか!」

 上からゾロ、ロビン、サンジの三人。特にサンジの言葉に、ルフィたちは顔を輝かせた。
 名前とまだ冒険が出来る。しかも今度はキングオブヒーローも一緒にときたら喜ばない訳がない。

 三人の言葉にバーナビは自分の不甲斐なさを改めて認識した。名前のいる世界に来ても帰る方法が分からなければ来た意味がない。

「で、でもそれだけ私の事を心配してくれてたんだよね? ありがとう、バーナビー」

 しゅん、と落ち込む彼を見た名前が慌ててフォローに入る。別名女神の微笑みとも称されるその笑顔に、彼は救われた気がした。

「だったらバニー、お前も俺の仲間になれよ!」

 ルフィが満面の笑みでバーナビーに手を差し出す。名前が信頼を寄せているのだから悪い人たちではないだろうと、彼はその手を握った。

「まあ、元の世界に帰れるまでですけど、彼女共々お世話になります」



「……ところで、ここは船の上のようですが漁師か何か何ですか?」
「いいえ。ここは海賊船で、あたしたちは海賊よ」
「か、海賊!?」


「俺はキャプテ〜ン・ウソップ、よろしくな! キングオブヒーロー!」
「あたしはナミ。航海士兼財布役ね」
「ゾロだ。剣士をしている」
「トニートニー・チョッパーだ! 船医だぞ!」
「俺はサンジ、コックだ」
「私はロビン……考古学者よ」
「んで、俺が船長! モンキー・D・ルフィだ! よろしくなバニー!!」

「元の世界へ帰るまでの間ですが、よろしくお願いします」

「うっしっしっ。新しい仲間だ、宴会だぁ!」


 その日は真昼間から彼を歓迎する宴会が執り行われた。新たに麦わらの一味へと加入した彼は、愛しい恋人の隣に腰を下ろし、互いにジョッキを持っていない方の手を絡め合った。

「あ、一つ言っておきますけど僕はバニーじゃなくてバーナビーですから!」


ウォーターセブン編

・W7

「バーナビー、私たちも情報を集めに行きましょ」
「はい」

 ナミに渡された金を財布に入れ二人はウォーターセブンの街中へ繰り出した。


 やはりと言うべきか情報収集においてバーナビーの右にでる者はいない。特にド天然の名前などは彼の足元にも及ばない。
 日常会話の如くさらっと知りたい情報を自然に、スマートに聞き出してゆくバーナビーに名前はただただ頭が下がる思いだ。

「こうして二人で出掛けるのって凄く久しぶりね」
「そうですね」


「お二人さん美男美女だね! 私は雑誌の記者なんだが今この街に訪れた美しいカップルの特集をしていて写真を撮らせてくれないかね?」
「え、どうしようバーナビー……」
「すみませんが僕たちは急いでいて」
「はいポーズ!」
「うっ!」
「体が勝手に!」

 職業病と言うべきか、顔出しヒーローとモデルヒーローの両名は向けられたレンズに対し自然とポーズを決めていた。
 時には互いに背を向け合い、時には互いの息がかかりそうなほど近く。

「……」
「……結局撮られてしまいましたね」



・ロビン離脱

「ロビン、どこへ行くの? みんなの所へ戻りましょう?」
「……異世界から来た貴女たちには分らないことよ。この世界でのことに関わらない方がいい」
「っ!」
「……」

 ロビンの口から出てきた拒絶の言葉に名前は言葉を失う。
 スカイハイ同様他人を疑うことを知らない性格の彼女は今まで信頼していたロビンに拒絶されたことに多大なショックを受けた。
 口元に手を当て今にも泣き出さんとする彼女を、バーナビーはすぐさま抱き留める。
 悲哀の表情を浮かべる彼女に、ロビンも少なからず動揺しているようでこれ以上彼女を見ないように目を伏せた。

「……っ、そういうことだから。さようなら」

 踵を返し歩き出したロビンに、バーナビーが声をかけた。最悪、聞こえなくてもいい。

「確かに僕らは余所者です。ですが、そんな僕でも言えることはあります。……闇は、光が照らしてくれる。貴女が闇の中を生きていると言うのなら彼らがその道を明るく照らしてくれるはずです。付き合いの浅い僕でも、彼らの暖かさは分かる」

 復讐に生きていた薄暗い二十年間。復讐を終えた彼を照らしてくれたのは相棒と女神、そして他のヒーローたち。
 世界はこんなにも光で満ちていると、腕の中にいる愛しい人が教えてくれた。
 麦わらの一味はきっと彼女の光となってくれる。そしていずれは彼女自身が光になる日が来るといい。そう、思いを込めて。


・ロビンの本音

 ロビンの本音を知った名前は大きな瞳からこれでもかと涙を零す。

「あたしたちのため……」
「名前落ち着いて」
「うう、だってぇ……!」

 あの時の拒絶は名前とバーナビーを思っての言葉だったのだと分かったから。ロビンの優しさが目頭を熱くさせる。
 拭っても拭っても、涙は重力に従って彼女の頬を滑り落ちる。余り擦ると腫れてしまう、バーナビーは目元に走る手を掴むと、その目尻に口を寄せ溜まった涙を吸い上げた。

「(しょっぱい……当然か)」
「あんたらこんな時にいちゃつくな!」
「あうっ」
「……痛いです」

 ナミのチョップを食らった二人。その痛みで名前の涙は引っ込む。バーナビーも小さく舌打ちはするものの、大人しくなった。


 話し合いの結果、海列車が出発するまで時間があるためナミはそちらへ、残りの者たちはCP9に飛ばされたルフィとゾロを捜索することとなった。

 名前とバーナビーは船大工たちの案内で町全体を見渡せる場所まで移動する。
 避難が済んだ町は昨日までの活気が嘘のように静かだ。

「名前」
「なぁに? バーナビー」
「……こちらの世界の人たちも暖かいですね」
「うん! 私こっちの人たちも大好き」

 満面の笑みを浮かべる名前は、しばらくして表情を真剣なものに変える。バーナビーはその顔を知っている、ヒーローとして、マリアとしての表情。
 NEXTを発動させウエストポーチから取り出したあらゆる種類の種子を強制的に成長させ、ルフィたちを探させる。
 バーナビーも能力を使えば視力が各段に上昇するのだが彼の能力にはリミットがあるため無駄打ちは出来ない。今は名前のNEXTだけが頼りだ。

 十分ほど経った頃、戻ってきたナミが合流する。未だに二人は見つかっていない。
 無人の町を植物の蔓が伸び這い蹲り、自由に動き回る様にはある種の恐ろしささえ感じてしまう。まるで町を支配されたみたいだ。

「……いた!」

 伸ばした蔓の先が探し人に突き当たる。ルフィは大きな建物と建物の隙間に挟まれており、ゾロは違う建物の煙突に頭から嵌っていた。
 その場所を名前が指差せばナミは屋根を走ってルフィの下へ、チョッパーはゾロの下へ急ぐ。
 そして今までのことをありのまま彼らへ伝えた。ロビンがどんな思いで今海列車へ乗っているのかも。
 彼女を助けに行こうと志気が上がるも、建物はルフィたちを放さない。

「やれやれ」

 ふう、と息を吐いたバーナビーは能力を発動させるとルフィが挟まっている建物まで跳躍する。

「ばーばびー!」
「まったく。壊すのは僕の仕事じゃないんですけど、ね!」

 体を青く発光させているバーナビーは口元に弧を描くと百倍になった腕の力で左右の建物を開くように壊した。

「すまねぇ、助かった!」
「このまま彼も助けます! 大人しくしていて下さい!」

 そのままルフィを片手に抱えると、崩れてゆく建物を蹴りつけ、今度はゾロが嵌っている屋根まで飛び移る。

「ドクター危ないので退いていて。……少し痛いかもしれませんが我慢して下さいね。……はあっ!」

 得意の蹴り技でゾロの嵌っている煙突を崩す。造船所では彼は一体何者なんだと騒いでいるが、バーナビーらの耳に届く前に風音でかき消された。
 ゾロが抜け出したのを確認し、名前は能力で縒り合わせた太く丈夫な蔓を使い、ナミと共に彼らのいる屋根まで移った。
 刹那、造船島にいる大工たちの一際大きな声が響いた。

「アクア・ラグナだー!!」

「っ!」

 島を飲み込んでしまいそうな高波が六人を襲おうとした瞬間、名前は能力で蔓を使い、その場にいた六人を造船所へと運び上げた。
 間一髪、波に引き吊り込まれることはなく、避難できた。しかしその恐ろしさは計り知れず、ナミは体を震わせチョッパーはゾロに掴まったまま気絶していた。
 名前もまたアクア・ラグナの恐ろしさを感じていた。自然災害だからこそ人間の小ささを思い知らされる。
 バーナビーに手を伸ばせば彼はその手を優しく握ってくれる。未だ能力が続いているとは思えない優しい力加減だ。

「おい、あいつ青く光ってるぞ」
「そういやこのねーちゃんも光ってたな……」

 高波から逃げるのに必死だったから気付かなかったが、体が青く発光していることに大工たちが気づく。それにつられるようにナミも彼を見やった。

「そう言えばバーナビーのその体、名前と同じ……」
「ええ、バーナビーも私と同じNEXTなの」
「“ハンドレッドパワー”。僕は五分間だけ身体能力を百倍にする事が出来るんです……そろそろリミットですね」

 そう言うとバーナビーの体から光は消え、普通の人間へと戻った。
 いつものルフィならばその説明だけでも眼を輝かせている所だが、今はそんな暇はない。

「船を貸してくれ!」


「仲間が待ってんだ! 邪魔すんなぁっ!!」


ロケットマンに乗り込むぞ

・ロケットマン乗船

「名前の分もあるわ、着替えましょ」
「私の分も用意してくれたの? ありがとう!」
「こ、ここで着替えるんですか!?」
「ハレンチだ!」

 バーナビーとパウリーが顔を赤くする。女性二人はそれを無視して、部屋の隅で背を向けて着替え始めた。
 スーパーモデルを生業にしているせいか人前で着替えることに対する感覚が麻痺しているのだ。バーナビーは溜め息を吐く。
 とりあえず名前の裸体を他の男共の目に晒さぬよう、彼女を守るようにして立つバーナビー。

「バーナビー、後ろ結んでくれる?」
「っ!?」

 声を掛けられ遠慮がちに振り向いた先には、片方の手で胸元のビキニを、もう片方の手で邪魔にならないよう髪を押さえている名前がいた。

 二十年間両親の復讐に生きてきたバーナビーは女性経験が極めて少ない。ましてや相手が好いている女性ならば尚のこと。
 彼は顔色をさっと赤くし、ごくりと生唾を飲む。それから、震える手で彼女のビキニの紐を結んでやる姿はあまりに初々しい。

「ありがとう」

 首だけで振り向いた彼女の、無垢な笑顔に改めて天然の恐ろしさを思い知らされたバーナビーであった。


「よし! 戦闘準備バッチリよ!」
「私もバッチリ!」

 今の名前の格好は胸を隠す白いビキニに、赤いツートンカラーの丈の短いジャケット。白いミニスカートには派手なバックルのベルトが付いている。
 腹と脚が大きく露出したその姿は以前モデルの仕事で着たレースクイーンのそれに似ていた。植物の種を入れているポーチも装着されており完璧だ。

「てめぇら何堂々とここで着替えてんだ! ハレンチ女ども!」
「ナイスハレンチ……」

 怒鳴りつけるパウリー。その横で生着替えを見ていた男性陣が鼻血を垂らしながら親指を立てている。

「腹を隠せ! 腹と足を! てめぇらもだスクエア! お前らが乱れた社会を作るんだ!!」
「うるさいわいな、テレ屋」
「テレ屋」

 赤い顔で更に怒鳴りつけるパウリーに、バーナビーも同意せざるを得ない。
 貴女はもっと恥じらいを持って下さい。そう言おうと口を開いたがナミの嬉しそうな声にかき消される。

「やっぱり! あたしの見立て通りよく似合ってる!」
「ありがとう!」

「……赤と白。まるで僕とペアルックだ」

 改めて彼女の格好を見てみればバーナビーの言う通り、彼のライダージャケットも赤と白のツートンカラー。二人が並ぶとライダーとそのレースクイーンのよう。
 それを意識して用意したのかは定かではないが二人が並ぶとお似合いのカップルに見えるのは確かだ。

「本当ね、うふふ」

 バーナビーと自分の格好を見比べ、嬉しそうに笑った。その笑顔に、彼も笑みをこぼす。
 仲睦まじく微笑み合う美男美女ペアに入る隙もなく、ナミは大きなため息をつく。バカップル。




・エニエス・ロビー

 先走ったルフィを追い掛ける形でエニエス・ロビー、裁判所内までたどり着いた名前たちは階段を上りルフィのいる屋上を目指していた。
 その途中でゾロは得意の迷子を発揮させ姿を消し、チョッパーはダメに効く薬を作ってみるよと呆れていた。

「非常時だと言うのに、愉快な人たちだ」
「それが彼らの良いところでもあるのよ」
「フッ、まるであの人たちみたいだ」

 階段を駆け上がりながら、二人はシュテルンビルトの仲間たちを思い出していた。お互いをライバルだと言いながらも何だかんだと仲の良い九人。

 懐かしさに耽るのも束の間、足元の床が崩れ始めたではないか。
 バーナビーは咄嗟に名前を抱き上げ、そのまま足場を下から押し上げられる形で屋上へと飛び移る。
 名前を抱きながらも華麗に着地したバーナビー。足場を押し上げた犯人を見やれば、先ほど迷子になっていたゾロだった。

「名前、怪我はありませんか?」
「大丈夫、ありがとうバーナビー」

 同じく無事に着地したナミとチョッパー、猛進してきたサンジ、巨人に飛ばされて来たそげキングを含め、麦わらの一味が裁判所屋上に集結した。
 既に屋上に来ていたルフィは司法の塔にいるロビンに語りかけている最中であった。

「死ぬとか何とか……何言っても構わねぇからよ! そういう事はお前……おれ達のそばで言え!!」

「そうだぞロビンちゃん!」
「ロビン帰って来ーい!!」

 ルフィ同様クルーたちも柱の上に立つ。バーナビーと名前も、柱の上に立ち司法の塔にいるロビンを見据える。


「あとはおれ達に任せろ!!!」

 ルフィの声は真っ直ぐに、司法の塔にいるロビンまで届いた。

 今まで海賊の進軍を許さなかったエニエス・ロビーに、少人数とはいえ海賊が攻め入ってきたことに目を丸めるスパンダム。
 それからCP9へ、海賊の抹殺許可を出し、バスターコールの権限があることと、その恐ろしさについてを語った。
 二十年前にロビンの故郷であるオハラという土地を消し去り、翌年の地図からその文字を消したという。

「それを押せば何が起こるか分かっているの!? やめなさい!!」

 ロビンの悲痛な叫びがあたりに響く。

「地図の上から人間が確認できる? ……あなた達が世界をそんな目で見てるから、あんな非道な事が出来るのよ!!」

 バスターコールをかければエニエス・ロビーと共にこの島にいる者も消し飛ぶ。
 スパンダムは味方の攻撃で消されてたまるかと言うが、二十年前ロビンから全てを奪い大勢の人間の人生を狂わせたのは事実。
 たった一度の攻撃で、全てを無に返す、バスターコール。

「その攻撃が……やっと出会えた、気の許せる仲間たちに向けられた」

 二十年前。その単語がバーナビーの脳を揺らした。
 今から二十年前と言えば丁度彼が四歳の頃、最愛の両親を目の前で殺された年だ。あの日に彼は全てを失ったも同然で、それから二十年間、復讐を胸に独りきりで生きてきた。
 こちらの世界はあちら程甘くない。きっとロビンは、自分とはまた違った過酷な二十年を生きてきたのだろう。

 彼女を助けなければ自分は絶対に後悔する。ヒーローとしてではなく、バーナビーとして、後悔する。そう感じた。

「私があなた達と一緒にいたいと望めば望む程私の運命があなた達に牙をむく! 私の敵は……“世界”と、その“闇”だから!!!」

 ロビンは吐露する。今まで仕舞い込んでいた彼女の気持ち。

「青キジの時も、今回のことも、もう二度もあなた達を巻き込んだ……! これが永遠に続けばどんなに気のいいあなた達だって……いつか重荷に思う。いつか私を裏切って捨てるに決まってる。それが一番恐いの!……だから助けに来て欲しくもなかった!」

 彼女が気を許した“仲間”だからこそ、裏切られる未来が恐い。いつか裏切られるのならば、いっそここで自分から。

「いつか落とす命なら、私は今ここで死にたい!!」

 サンジやチョッパーらは神妙な面もちで彼女の名を口にする。ただ、ルフィは何も言わずに彼女を見つめていた。

 彼女の思いを聞いていたスパンダムは一人高笑いし、彼女を馬鹿にする言葉を投げつける。
 そして司法の塔屋上に棚引いている世界政府の象徴である旗を、高々と指差す。百七十以上の国が加盟した“結束”を示すもの。
 ロビンを助けるということは世界政府を敵に回すと言うこと。スパンダムの説明を黙って聞いていたルフィがようやく口を開いた。

「ロビンの敵はよく分かった!……そげキング、あの旗撃ち抜け」
「了解!」

 ルフィに言われた通りに、そげキングは新兵器の巨大パチンコを使い、世界政府の象徴を撃ち抜いてみせた。

「あいつら、やりやがった……!」
「旗への攻撃の意味が分かってんのか!?」

「海賊たちが……! “世界政府”に宣戦布告しやがったァ〜!!」

 彼らの宣戦布告に青筋を浮かべたスパンダムが叫ぶ。

「正気か貴様らァ! 全世界を敵に回して生きてられると思うなよォ!!」

「望むところだァーーっ!!!」

 ルフィの叫びが、麦わらの一味の思いが、ロビンの涙を揺らした。


・ロビン取り戻すぞ!

 振り落とされないよう麦わらの一味は、裁判所を突き破ったロケットマンにしがみ付き、そのまま司法の塔へと突っ込んだ。

「ニコ・ロビンを捕えている海楼石の手錠の鍵だ」
「海楼石?」
「悪魔の実の能力者を弱らせる不思議な石よ」



「海へ捨てちゃうぞ! チャパパパ」
「!!」

「大丈夫! 海へ捨てられても私が泳いで取りに行く!」
「僕も行きます!」
「お前らまで無茶すんな!」

 真剣な表情で言うヒーローコンビにツッコミを入れるナミとそげキング。

 フクロウはチャンスをやると言ってどこかに消えてしまった。
 奴を追おうとしたルフィをゾロが止め、状況を整理したサンジが手短に作戦を言い渡す。
 ロビンを連れて行ったルッチを追うのは彼に因縁のあるルフィ。そしてルフィを除いた八人でCP9の七人からロビンの手錠の鍵を手に入れ、ルフィを追う。
 ロビンが門をくぐれば全てが終わる、時間との戦いだ。

「敗けは時間のロス。全員死んでも勝て!!」
「おう!!」


ヒーローカップルvsオリキャラの敵

※オリキャラ出てきます


「さて、僕たちの相手はどんな奴だろうか」
「穏便に手錠の鍵が貰えたら良いのだけど……」
「多分無理でしょうね」
「はぁ……」

 諦めたように溜め息を吐いた名前の手を取りバーナビーは目の前の扉を開ける。
 そこにはダンスホールのような内装の部屋が広がっており、中央で黒いスーツを身に纏った男女が社交ダンスを踊っていた。

「待っていたぞ」
「アンタたちはアタシたちが相手してあげる」
「貴方たちは……?」

 顎髭を蓄えたダンディズム溢れる男性とカリファとはまた違った種類の美しさを持った長髪の女性。
 裁判所の屋上に立ったとき、司法の塔にいた覚えがあるためこの男女もCP9のメンバーだろう。

「オレたちはCP9が二人!」
「誰もが羨む相愛ペアー!」

「アンディ&ケーティ!」

 二人の息の合った自己紹介。バーナビーと名前は律儀にも二人の口上を黙って聞いていた。
 これが俗に言うバカップルなのだと、物珍しく二人を見ているバーナビー。彼と名前もまた、バカップルに極めて近い立場いる事実を本人たちは気づいていない。

 アンディとケーティはそれぞれ手錠の鍵を持っており、素直に渡す気はさらさらないと言う。
 つまりは、必然的に戦わざるを得ない状況。

「そうだ。名前、この戦いはヒーローモードでいきましょう。マリア&バーナビーなんてどうです?」
「本当!? 嬉しいっ、私ずっとバディヒーローに憧れてたの!」

 きらきらと輝く笑顔に、僕も貴女とバディになりたかったんです、と笑顔で返す。もはや二人の世界だ。
 アンディたちも時折二人だけの世界を作ることがあるが、相手に作られると癪に障るものだ。

「オレたちを無視しやがって……!」
「大丈夫よアンディ。強さもラブラブ度もアタシたちの方が上!」

 その言葉にバーナビーの眉がぴくりと動く。

「残念ですが、どちらも僕たちが上ですよ」
「えっと……あのねバーナビー、あんまり挑発しない方がいいと思うの」

 不敵に笑うバーナビーに、心配そうに眉尻を下げる名前。
 未だインターバルの一時間は経っていないのだから今の彼は一般人と何ら変わりないのだ。ヒーロースーツを着ていないのだから余計に心配だ。
 何にせよ相手を怒らせないに越したことはない。しかし挑発とも取れる彼の言葉に対してアンディはその言葉に乗る様子もなくたち不敵に笑ってみせた。

「はっはっはっ。そう言っていられるのも今の内だ……嵐脚!」
「っ!」

 先に仕掛けてきたのはアンディだった。足を払うようにして繰り出された斬撃が彼女たちを襲う。
 しかしながら名前も負けてはいない。NEXTを発動させ綺麗な長髪に隠された項から一本の薔薇を取り出し、花びらを舞い踊らせながら一本の鞭へと成長させる。彼女の愛武器、ローズウィップだ。
 シュテルンビルトにいた頃と変わらない綺麗な所作にバーナビーは思わず見とれてしまう。

 鞭を伸ばし、飛んできた嵐脚の側面を叩き軌道を逸らせば斬撃はそのまま天井の一部を崩した。

「……貴方たちの悪事を……悪事?」
「悪事でいいと思います」
「わかった。……私はマリア、貴方たちの悪事を許すわけにはいきません」

 この場にヒーローTVの名実況アナウンサー・マリオがいれば全力で声を張り上げていただろう。清く正しく美しい、我らが女神の登場だと。
 いつも通りマリアの決め台詞とポージングを決めた名前に続いて、バーナビーもポーズを決める。

「そして僕はバーナビー・ブルックスJr」
「二人合わせて、」

「マリア&バーナビー!」

 そこにいるのは異世界で迷子になった男女ではなく二人組のヒーロー、マリア&バーナビー。
 こちらもまた息の合った自己紹介。アンディ&ケーティは自分たちの時と同じようにヒーロー二人の口上を黙って聞いていた。案外律儀なようだ。

「美しい……」
「かっこいい……」
「ハッ! 見とれてる場合じゃねぇ!!」
「そうだったわねアンディ!」
「つーかオレたちの方が息ぴったりだよな! ケーティ」
「そうね! アンディ」
「……名前! 僕たちも抱き合いましょう!」
「そんなことしてる場合じゃないのよ! ロビンのために鍵を貰わないと! それに今は名前じゃなくてマリアなの!」

 抱き合うバカップルが癪に障ったのか、対抗にとバーナビーが腕を広げてハグを要求するも名前に怒られてしまった。
 ぷんすか怒る彼女が可愛くて仕方がないバーナビーは、彼らの事をバカップルと呼ぶ資格はないだろう。

「ケーティ、こっちの女は俺がやる。お前はその眼鏡君を頼む。愛してるよ」
「りょーかい。アタシも愛してるわ」

 愛しい恋人にウインクを飛ばすとアンディは真剣な面持ちで名前を見やった。

「お前、さっき体が光ってたが能力者か?」
「だったら何、不公平とでも言いたいの?」
「いんや、俺も能力者だからな。お互い様だ」

 完全にヒーローモードへと切り替えた名前との受け答えにニヒルに笑うアンディ。
 超人系(パラミシア)ならば何の能力か探るのに時間が掛かりそうだと考えていたが、どうやらその必要はないようだ。
 彼の体は見る見るうちに大きくなってゆく、爪や歯は鋭く、毛色は黒と黄色。

「オレはネコネコの実、モデル“タイガー”。つまりお前と同じ能力者さ」
「いつ見ても格好いいわアンディ!」

 能力者は能力者でも彼らと名前らは全く違うのだが、彼女らそんな事どうでもよく、それよりも深刻な問題と直面していたのだ。

「た、タイガー……元気にしてるかな」
「マリア! 今は虎徹さんの心配をしてる場合じゃないです!」
「ハッ、そうだった……!」

 バーナビーの声に我に返ると、アンディの鋭い爪が名前目掛け振り下ろされていた。
 咄嗟に避ければ石で出来た床はいとも簡単に抉られる。ヒーロースーツを着ていない現状で受けたら一溜まりも無いのは明白。
 名前はローズウィップを握ったまま、彼の爪を避けることしか出来ない状態に。

 名前を助けに入ろうとしたバーナビーを鋭い突きが襲う。

「!」
「アンタの相手はアタシよ!」

 バーナビーにはケーティが、人足し指を突き立てて迫る。瞬時にその軌道を見極めかわせば、石でできた床が破壊された。あと七分。
 彼は目を見開き、すぐさま細くすると考察した。さすがにあれを避け続けるにも限度があると、攻撃を避けるように室内をでたらめに走りだす。あと六分。

 名前もまたアンディの攻撃を避けることしか出来ていない。あと三分。

「ほらほら逃げてばっかり? 眼鏡君!」
「眼鏡君……。いえ、それももう終わりです」
「?」

 ぴたりと足を止める。それにつられ、何か策でもあるのかと足を止めて警戒するケーティ。

「ちょうど一時間が経ちました」

 眼鏡のブリッジを押し上げると彼の体が青く輝く。ハンドレットパワーが発動したのだ。
 百倍に強化された脚力を使い、目にも止まらぬ速さでケーティに近づきそのまま蹴りを入れる。両腕でガードするがそのまま吹っ飛び、派手な音を立てて壁にめり込んでいく。
 女といえど敵には容赦をしない、だからこそキングオブヒーローに成れたのだ。

「ケーティ!」

 それなりの外傷は負っているが彼女もCP9に名を連ねているのだけのことはあってぴんぴんしている。六式使い、紙絵でひらりと避ける。

「アタシなら平気よアンディ。……あーん、ちょっと油断しちゃったわ」
「しぶといてすね……」

 バーナビーは蹴りを入れつづけ、ケーティは紙絵で後退しながら避け続ける。

「チッ!」
「あらあら。さっきは油断しちゃったケド、当たらなければ意味はないわよ?」
「……いえ、これでいいんです」

「何を言って……あんっ!?」
「うおっ!? け、ケーティ!?」
「アンディ!?」

 いつの間にかアンディとケーティはダンスホールの中央へと追い込まれており、互いに背を向ける形で合流した。

「ふんっ。これで追い込んだつもりぃ!?」
「逆に、背中合わせになった事でオレたちの死角は無くなったぜ!」
「それはどうでしょうね」
「足元をご覧なさい」

「えっ……やだっ、足元に何か……!」
「いつの間に!」

 足元には大量の種子が彼らを囲んでいた。
 名前とバーナビーは相手の攻撃を避けながら、彼らに気付かれぬよう種を撒いていたのだ。
 気付いた時には既に遅く、バーナビー同様名前の体も青く輝き始める。
 全て種子は時に編み込み、時に太ましく成長し、見る見る二人の身体を拘束してゆく。

「ってアタシたち縛られちゃってるぅ!?」
「どう? テイカカヅラとツルバラの組み合わせは。なかなか抜け出せないでしょ?」

 口元に弧を描き、長いブロンドをかきあげる名前。その姿は耽美で、ベテランヒーローの貫禄を見せつけていた。
 その横でバーナビーが息を吐く。

「くそがっ! こんな草引きちぎってや……っ!」

 アンディが力任せに蔓を引きちぎろうとした瞬間、彼の鼻腔をくすぐる甘い香り。
 名前がNEXTでサルナシの蔓を使い上から更には拘束を強めたのだ。ご丁寧に実まで生っている。
 サルナシはマタタビ属の植物、故にネコネコの実モデルタイガーを食べた虎人間のアンディには効果覿面だ。

「ふにゃ〜ん」
「いや〜んアンディか〜わ〜い〜い〜!」
「ごろろろ……」

 酔っぱらったように喉を鳴らす様はまさに猫。とろける表情の恋人にケーティはメロメロだ。

「ああ〜ん、写真撮りた〜い……ってそんな場合じゃないわ! アンディしっかりして!」
「オレはぁもうだめだぁ……」

 完全に戦意を失ってしまったアンディに、ケーティもこれ以上の戦いは諦めたようだ。名前とバーナビーも胸を撫で下ろす。


バスターコール

『よりによって、バスターコール掛けちまった〜!!』

『建物も人も、島そのものも!』

『全員島を離れて! エニエス・ロビーにバスターコールがかかった。島にいたら助からないわ!!』



「バスターコール……バーナビー!」
「貴女の事だから負傷して動けない海兵たちを助けたいと言い出すんでしょうね」

 そう言って眼鏡のブリッジを押し上げる彼の顔は呆れというよりは慈愛に満ちている。
 彼の相方と一緒でお人よしな名前は、エニエス・ロビーにいる動けない人たちを全員救いたいと願うのだ。
 人一人の手で救える人数なんてたかが知れている。それでも、自分の体を犠牲にしてでも、零れ落ちる人間を必死になって拾おうとする。
 バーナビーはそんなヒーロー然としている名前に惹かれたのだ。他人の喜びを自分の事のように喜び、他人の悲しみを分かち合ってやれる、純粋な心に惚れたのだ。

「手伝ってくれる?
「勿論。僕もヒーローですからね」

 そこにいるのは異世界で迷子になった男女ではなく、人々の平和を守る二人のヒーロー。

 NEXTを発動させ蔓を撚り合わせ司法の島から半分ほど架けられている橋までの道を作りだす。
 バーナビーは名前の負担を少しでも減らそうと彼女を抱き上げ緑の橋を駆ける。強靭な植物で造られたその橋は、二人分の体重が乗ってもビクともしない。

 ちらりと司法の塔を見やれば壁が崩れ、角の生えた怪物が海へと落ちてゆくのが見えた。その怪物の正体はチョッパーなのだが、二人は気付かない。
 しかし大丈夫だろう、クルーは皆手練れだ。何が起ころうと彼らはロビンを解放してくれる。

 より多くの人を救うため、島全体を見渡せる裁判所の屋上まで駆け上がると名前は再び体を青く光らせた。
 彼女のNEXTはエニエス・ロビーに生息している植物のほとんどを操る。大量の植物は土から根を出し一斉に動き回り、近くにいる負傷者を運び出した。

「うわぁ何なんだァ〜!?」

「お願い、大人しくしてて! あなた達を外の軍艦まで運ぶから!」

 暴れようにも身体が動かせず声を張り上げることしかできない海兵たちに、優しい声が響く。
 運ばれながら裁判所の上を見上げるとそこにいたのは赤いライダージャケットの男性と、彼に抱き上げられている女性。
 声の主は美しい金髪の美女の方で、二人とも世界政府を敵に回した麦わらのクルーであった。

「敵に情けを掛けられるのは海兵の恥だ!」
「そうだ! 今すぐ降ろせ!」

 敵に助けられることを恥じている者が大半。それを見たバーナビーが口を開いた。

「僕たちはヒーローです。あなた方を見捨てるわけにはいきません」
「あなたが死んだから悲しむ人は必ずいる。だから、まずは生きて」
「その上で生き恥を晒したくないと言うのなら、僕らの知らない所で死ねばいい」

 敵に情けを掛けられようと、醜態を晒そうと、死にたくないというのが本音だ。それに彼女の言うとおり死ねば悲しむ人がいる、中には妻子ある者だっている。

「っ、すまない……!」

 海兵の一人がその言葉を口にするとそれを皮切りに他の海兵たちも口々に礼を言い出す。

「いいの。困ってるときはお互い様よ」

 体が動かずただ死を待つだけだった彼らには、にこりと微笑む彼女が女神に見えた。
 全ての罪を受容し、全ての人間に手を差し伸べる。まさに女神。この出来事は後に“エニエス・ロビーに舞い降りた女神”という見出しで世に出回る事となる。

 近くまで行けば彼らの仲間が引き上げてくれるだろうと、一通り送ったのを確認しバーナビーは踵を返す。
 蔓を使い司法の塔に戻ろうとしたその時、砲弾が司法の塔上部に直撃する。そのまま塔上部は滝壺へと落ちようとしていた。

「……向こうまでジャンプして戻ります。しっかり掴まってて下さい」
「でも時間は……」
「先ほど一時間経ちましたから大丈夫」

 CP9のバカップルと戦ってからもうそんな時間が経ったのかと、名前は正義の門を見やった。
 バーナビーの体が青く光り、落下する司法の塔へ飛び移る。そのまま塔を駆けて再び跳ぼうとしたその時だった。

「! バーナビー、そげキングが!」
「ったく世話の焼ける! 名前、僕の首にしっかり掴まってて!」

 落ちてゆく足場を駆けながら片手で名前を支え、もう片方の手でそげキングのマントを掴む。彼の両手はもう一杯いっぱいだ。
 力一杯に足場を蹴りつけ司法の塔へと飛び移ればちょうどゾロとサンジがいて、手元のそげキングを見るなり胸をなで下ろしていた。

「名前ちゅわん! 無事で良かったぁ〜! あと眼鏡も」
「僕はついでですか。別に構いませんが」
「……バーナビー、ウソップを助けてくれてありがとな」
「礼は要りません。仲間ですからね」

 穏やかな笑みを浮かべるバーナビーにサンジとゾロは、そうだったな、と口元に弧を描く。
 そのやりとりを見ていた名前も何だか嬉しくなってバーナビーの胸に顔を埋めた。

「ん? ウソップ? そげキングじゃないの?」
「はぁ……ややこしくなるからお前はちょっと黙ってろ」
「? うん、わかった」


・エニエル・ロビーから脱出

 名前もバーナビーも例外なくボロボロで、まさに満身創痍だった。
 脱出を手伝ったロビンにお礼を言おうとしたルフィの口を彼女の手が塞ぐ。

「みんな! ありがとう」

 ロビンの言葉に、みんな心から笑顔になった。


「さぁみんな、とっととずらかるわよ!」

 しかし海軍からの攻撃が止むわけではなく、容赦なく撃ち込まれる砲弾をゾロとサンジはルフィの体を使い、名前は植物を使い弾き返す。



「このケンカ、おれ達の勝ちだぁー!!」


・メリー号を弔う

「長年船大工をしていたがこんな凄い船は見たことねぇ。見事な生き様だった」

 ルフィはメリーを寝かせてやる決意をした。今まで


「みんな、これ……」

 名前がクルーたちに差し出したのは急拵えではあるが能力で作り出した満開の花たち。それぞれ受け取り、各々の思いと共にメリーに手向ける。
 一番新入りのバーナビーはメリーに対する思い入れこそ薄いが、その僅かな思い出を紫苑の花に乗せた。

「……じゃ、いいか、みんな」

 ルフィの言葉にクルーたちは静かに頷く。

「メリー、海底は真っ暗で寂しいからな。俺たちがしっかり見届けてやる」

 松明の炎をメリー号へと移せば、船体は煙を上げながらゆっくりと沈んでゆく。


『ごめんね、もっとみんなを遠くまで運んであげたかった』

『だけどボクは幸せだった。今まで大切にしてくれてありがとう』

『ボクは本当に幸せだった。君たちがいたから』


W7編終わり

・女神

 エニエス・ロビーでの戦いから二日後。ガレーラカンパニーのTシャツを着たバーナビーと名前は二人で

 革命軍のドラゴンがルフィの父親だと知った全員が驚愕している中、異世界から来た二人は可愛らしく首を傾げていた。
 この世界のことを、ほんの一部しか知らない二人はロビンの説明で世界政府に自ら敵対する革命軍の頂点に立っているのがドラゴンだと知る。
 何て壮大な話に片足を突っ込んでしまったんだ今更後悔するも遅く、まさに乗りかかった船状態。


 ルフィの祖父から彼の父親について聞かされた後、ナミ、名前、バーナビー、ココロ、チムニー、ゴンベの五人と一匹はガレーラカンパニーの社員プールへ来ていた。
 バーナビーはいつかメディアで見せていたような少し派手なブーメランパンツ。名前もモデルの仕事で何着も水着を着ていたが、今日ばかりは彼の選んだ清楚な白とピンクのボーダーのビキニを着用していた。

 プールサイドで盗聴をしているナミを余所に名前はチムニーとビーチボールで遊んでおり、バーナビーはトレーニングがてらひたすらに泳いでいる。
 彼らがヒーローとして体を鍛える為に用意されたトレーニングセンターにプールはなく、水泳なぞ久方ぶり。
 水泳は体全体の筋肉、特に上半身を使うためトレーニングには最適だ。トレーニングルームにプールを設けてもらうのも悪くない、などと考えてしまうのは最早職業病とも言えよう。


 宝の話に気分を浮上させたナミは再び新聞に視線を落とし隅にある小さな記事に目にとめた。

「あら“エニエス・ロビーに舞い降りた女神”ですって。植物を操りエニエス・ロビーにいた負傷者を全員避難させた……これって名前のことじゃない?」
「そうだけど……それがどうかしたの?」
「途中からあんた達の姿が見えなかったと思ったらこんな事してたのね」
「僕たちはヒーローですから」

 さも当たり前だという風に、そう言ってバーナビーは眼鏡のブリッジを押し上げる。
 あの状況で敵に手を差し伸べることなんて中々出来るものではない。他人を助けることを当たり前だと考えている彼らは、本当にヒーローなのだと実感した。

 しばらくすると誰かが走ってくる音が近付いてきたと思ったら、モズとキウイが簡易住居の戸を開けた。

「夢の船が出来たんだわいな!」

「麦わらさーん! 船が出来ましたよー!!」



・賞金首

 麦わらの一味全員に賞金がかかり、それを一枚いちまい読み上げていく。その中にはバーナビーと名前の物もある。

「“ヒーローペア”バーナビー&名前、6000万ベリー!」
「!!」

 バーナビーと名前だけは単体ではなくペアとして載せられている。見せられた手配書に使用されている写真はいつかの町ブラ雑誌の取材で撮られたものだった。
 お互いを引き寄せ合い今にも口付けせんばかりの距離でカメラに視線を向けている。二人のファンに見せたら狂喜乱舞、または発狂してしまいそうな写真だ。
 今は自分の手配書だけ手描きだということでいっぱいいっぱいのサンジだが、後にこの写真を見て発狂したのは言うまでもない。

 しかしそんな事は二人にとってはどうでもよく、ペアという点は嬉しいのだが賞金首になってしまったということが非常にいただけない。
 元々正義の味方を生業にしているのだから、例え別の世界であっても犯罪者に成り下がるわけにはいかない。ナミやサンジ同様に、二人も首をうなだれた。

「賞金首、ですか……」
「ヒーローなのに賞金首になっちゃった……どうしよう……」
「……名前! ぼ、僕は貴女となら犯罪者でも構わない。命を狙われても貴女となら恐くない」
「バーナビー……!」

「お前らは二人セットなのか。珍しいなー」

 ルフィがあっけらかんと言うも彼女らは手を握り合二人の世界に入り込んでいるため聞こえていない。
 もう二人は互いしか目に入っておらず、元の世界の仲間たちが見ていたらほぼ全員が呆れ返っているだろう。



・新しい仲間

「二輪咲き(ドス・フルール)」

 ロビンが腕を交差させ能力を使い両腕をフランキーの内腿に生やす。そのまま股間の中心へと手を伸ばせば察しの良い者は思わず息を飲む。

「グラップ」

 ロビンが交差させた手を握る、と同時にフランキーの内腿に生えた手も握った。男性として大事な二つの玉を。

「ホデュアーーーっ!!!」

 彼の絶叫があたりに響き渡った。

 その光景を見ていた男性全員は顔を蒼くさせ、中には己の股間を押さえている者も。バーナビーも例に漏れず表情を固めたまま冷や汗を垂らしていた。

「にぎったー!!」
「潰れるぞロビンー!!」
「アァアァアァア!!」
「もげるわいなー!」
「もぎりとれるわいなー! みかんの様に!!」
「おいロビン、男のまま仲間にしたいんだよ! 取んなよっ!!」

 名前がバーナビーの冷や汗を拭ってやるとようやく彼は再び動き出した。

「はっ……」
「バーナビー大丈夫?」
「……はい、何とか」

 それから二人は並んで、一人の船大工の旅立ちをただ静かに見守っていた。


スリラーバーク

・スリラーバーク

「名前の影の入ったゾンビを見たぞ」


「おじさんをお姫様抱っこするのはこれで何回目になるのか……」

 オーズに踏み潰されそうになったフランキーを救ったのはクリマタクトでオーズに電撃を食らわせたナミと、体を青く輝かせたバーナビーだった。
 意識のないフランキーを横抱きするバーナビーの姿は、いつかの光景を彷彿とさせる。

「バーナビーがここにいるってことは……」
「みんな、遅くなってごめんね!」
「名前ちゅわぁ〜ん!」



「ゴムゴムの……あで? 腕が動かねえ……」

「私たちもいるわ!」
「忘れないで下さいよ!」

 オーズが自身の腕を見やれば名前とバーナビーが蔓を使ってオーズの両腕を拘束していた。

「ルフィいっけぇー!」
「船長頼みます!」



・もうすぐ朝


「朝陽……!」


 島に朝陽が射し込んできている。影を奪われた者はそれに当たれば消滅してしまうにも関わらず麦わらの一味は動かない。
 この世界の人間ではない名前とバーナビーも、ローリング海賊団で唯一隠れなかったローラも、ルフィが勝つと信じているのだ。

「ゴムゴムのジェットバズーカ!」


「帰ってこい私の影!」


 モリアは影を吐いているが朝陽の量は増えるばかりで、とうとう影を奪われた者は頭から消滅しようとしていた。

「ゾロー!」
「名前!」
「ロビン!」
「サンジィ!」

「勝ったじゃねぇかよっ、チクショー!」


・勝った〜!

「はっはっはっ。生きてた!」
「もう死んじゃったのかと思った」
「天にも昇る気分だったわ」
「名前ちゃんロビンちゃんと一緒ならそれも悪くねぇなぁ!」
「名前っ、良かった……!」

 自分も消滅しかけていたと言うのに、真っ先に名前を抱き締め彼女の無事を喜ぶ。目尻に涙を浮かべながら微笑むバーナビーに、彼女も泣きそうになりながら微笑んだ。



「ヒーローは人を助けるのが当たり前だもの」
「そうですよ」


「バーナビーの影が戻ってきてくれて良かった」
「僕と名前、それと戻ってきた影、みんなでシュテルンビルトに戻りましょう」
「うん!」


・クマさん

「麦わらのルフィの首……もしくはヒーローペアの身柄を頂こう」

「噂によればヒーローペアは能力者成らざる能力者。能力使用時に身体が青く光るなど悪魔の実のどの例にもない」

 それもそのはず、彼らは悪魔の実の能力者ではないのだから。異世界から来たNEXTという一種の超能力者なのだ。
 そんな異世界の住人を海軍、ひいては世界政府の元へ渡せば何をされるかなんて想像が付く。

「私一人でもいい?」
「……良いだろう」

「名前!?」
「私は元々余所者だし、ルフィたちには大きな恩があるから。……バーナビーごめんね、一緒に帰れなくて。みんなによろしく言っておいてほしいな」
「僕一人だけ帰っても、名前が居ない世界なんて孤独も同じだ!!」

「名前もバーナビーも何言ってやがる」
「ルフィの首も、二人の身柄も渡さねぇ!」

 声の主はゾロとサンジ。二人はそれぞれ刀と足を、くまに向け臨戦態勢だ。
 他のクルーたちも迷いのない顔で、しっかりと地に足を着け立っている。

「そうよ。あたしたちはね、あんたたちを余所者だなんて思ってないんだから」
「ナミ……」
「妙なヒーロー魂見せないで。どうであれ、ここでの貴女たちはもう海賊なのよ」
「そうだぜ! ルフィは……いや、オレ達も、とっくにお前らを仲間だと思ってるんだからな。仲間を売るようなことは絶対しねぇ!」
「オレ、名前もバーナビーも好きだぞ!」
「そういうこった。お前ら司法の島で知ってるだろ、この一味の根性を」
「みんな……!」

「もう一度だけ問おう。船長の首かヒーローペアのどちらか……」

「断る!!」

 麦わらの一味全員の声が重なり、辺りに響く。


 書き溜めてあったのはここまで。シャボンディ諸島でクマに元の世界まで飛ばしてもらってそこからOP世界での2年後にまたNEXT犯罪者の仕業で二人はOP世界へ飛ばされる→実はOP世界とTB世界では時間の進み具合が違っており名前とバニーは結婚して子供もいる。二人が居なくなってしまったので子供は虎徹おじさんが預かってる。二人は結婚して子供生まれてもヒーローは辞めない。



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