【オリオンになぞられて】(バーナビー/T&B/ヒーロー補佐主)
夢主設定
10年間ヒーロー補佐として活躍しているオリオンスター。
彼女には、メカニックの斉藤さん・同期の虎徹(とその嫁と娘)しか友達がいない。
友達を作りたくても、コミュ力もなければトレーニングルームに行く勇気もない。
ヒーロー補佐としてデビューし、11年目に突入しようとした頃のこと。
彼女の所属するアポロンメディアが本格的にヒーロー事業に参入する事となり、
それに伴い制限されていたオリオンスターのメディア露出もようやく解禁!
新入社員のニューヒーローことバーナビー・ブルックスJrと、
買収した会社から移籍してきたワイルドタイガーこと鏑木・T・虎徹の2人がバディを組んだ!
これを機に他のヒーローとも友達になるべきだと虎徹に言われたオリオンスター。
仕事に友情に恋愛に……彼女の正義はどうなるってしまうのか。
どうなるオリオンスター!? 新たに友達を作ることは出来るのか――!?
※夢絵サイトからのサルベージ&そのサイトで夢挿絵付き夢小説として載せようと思って書いていたものです。
虎徹と同期のヒーロー補佐。アポロンメディア所属。
24歳(バーナビーと同い年)。日本とロシアのハーフ。誕生日は11月22日。168cm。巨乳。
性格は極めて謙虚。かつ軽度のコミュ障。人付き合いにおいてはかなりの不器用。
幼い頃に両親を亡くし、12歳になるまで親戚を転々としていた。その上NEXTであるが故に人生において友達は皆無。ようやく出来た友達が斉藤さんと虎徹と友恵と楓の4人のみ。
友達は欲しいのだが、他のヒーローたちからは嫌われていると勘違いしているため私生活で顔を合わせた事がない。
彼女の両親と懇意にしていたのがマーベリック氏であり、当時中学生だった彼女にヒーロー補佐の仕事を提案したのも彼。家にも学校にも居場所の無かった彼女に、生き甲斐を与えた。
▼ヒーロー補佐、オリオンスターとして
「千里眼」のNEXTを持つヒーロー補佐。アポロンメディア所属。虎徹と同期。「勝ち気な性格で他のヒーローへは常に上から目線」という設定。
一応司法局の認可は降りているが正式なヒーローではなく、ヒーローを補佐するのが役目。
専用のヘリコプター、またはトランスポーターに乗り、千里眼で特定した犯人の居場所を他のヒーローたちやアニエスに伝えるのが主な仕事。時には確保の指示を促すことも。
13歳でデビュー、以降ジーンズごとに衣装を変えている。
デビューして10年経つが正式なヒーローではないためグッズはほとんど発売されていない。にも関わらず老若男女問わず人気がある。特に、10年間彼女の成長を見守り続けていたという意味もあり、彼女の親世代には根強い人気あり。
最近はセクシーな衣装のせいか男性人気も結構ある。
オリオン座は他の星を見つける目印にもなるため「他の星(犯人等)を見つける目印になるよう」にと名付けられた。
▼NEXTの詳しい設定
見たい物を自由に見ることが出来る能力。その名の通り1,000里(約4,000km)先まで見通せる。
特定の人物の居場所を映像として見ることは勿論、透視もお手の物。
人の心の中を見ることも出来るが、彼女はこの能力を秘匿している。
▼重大なネタバレ
小さい頃バーナビーと出会ったことがある。
千里眼のNEXT能力として人の心の中を見ることができるためマーベリックの心の中を何度も見たことがあり、彼がバーナビーの両親を殺害したことも記憶を改竄したことも知っているがずっと言えずにいた。
故に終盤ではヒーロー全員の記憶改竄の計画を知り、彼の手の届かない所に虎徹を信じるよう、友達を思い出すように書いた紙と虎徹と撮った写真を入れておく。記憶改竄の後もそのメモを見て過去の自分を信じ、密かに虎徹に協力する。
オリオンになぞられて01
その日、名前は呼び出されるがまま自身の勤める会社・アポロンメディアに来ていた。
決して治安が良いとは言えない大都市・シュテルンビルドには会社に属しスポンサーを携えた正義の味方、ヒーローがいる。
彼らは皆“NEXT”と呼ばれる異能力者で、市民の平和を守るために日夜働いているのだ。
仕事内容は、事件が起きた際に犯罪者を捕まえ警察に引き渡したり人命救助、市民との触れ合いやチャリティへの参加など様々。
時にはスポンサー商品や自社の事業のPRをしたりと、サラリーマンな一面も持っている。
彼女、名字名前もまたオリオンスターという名で活躍しているヒーロー“補佐”である。
現在彼女がいるのは自分のデスクがあるオフィスではなく、上司であるロイズの専用オフィス。
彼はオリオンスターのマネジメントもしており、本日彼女を呼び出した理由もヒーロー事業についてだった。
「名前、呼ばれた理由は分るね?」
「はい、それとなくは……」
「ならば話は早い。我が社はヒーロー事業部を立ち上げ、本格的にヒーロー事業に参入することになったから」
アポロンメディアには今までオリオンスターがいたが、あくまでヒーローたちの補佐、視聴率アップのためだ。
一応司法局の認可は下りていようと、彼女はヒーロー補佐であってヒーローではない。
そのためスポンサーを付けていなければランキングに参加してもいない。当然ポイントも入らない。
ヒーロー事業に参入したとはお世辞にも言えない状態であったが、この度正式にヒーロー事業へ参入することを決定したのだ。
ヒーロー事業は今後、TopMaGを買収しアポロンメディアを含めた七大企業で独占してゆくという話だった。
「それで、肝心のヒーローはどうするんですか?」
10年もの間、ヒーロー補佐をしてきたオリオンスター。
彼女はドラゴンキッドやブルーローズのように戦いに適した能力でなければ、己の身を守る術を持っている訳でもなかった。
そんな、トレーニングルームにも足を踏み入れたことのないただの小娘を犯罪者と戦わせる程アポロンメディアも馬鹿じゃあない。
それは名前自身も分かっていること。それに、今さらヒーローに成ったところで話題を呼ぶのは難しいだろう。
となると買収したTopMaGのヒーローを起用するか、全く新たなヒーローを立てるしかない。
前者ならば名前もよく知った人物だから安心だ。が、オリオンスター同様話題性に欠ける。
後者ならば、話題性も申し分ないが、最悪TopMaGのヒーローが路頭に迷うこととなる。
「君は話が早くて助かるよ。新たに契約したヒーローと、買収したトップマグのヒーローとでバディを組ませることになった」
とりあえず友人が路頭に迷う姿を見ずに済んだことにホッとする。
バディヒーローなんてこの10年間見たことがなかったから斬新だった。
しかも友人のヒーロースーツがより防御力の高いものにリニューアルされるそうで。これならば話題性も安全性も申し分ないと、名前は安心する。
「オリオンスターには今まで通りヒーロー補佐をしてもらうが、来シーズンからはメディアへの露出やグッズの販売を積極的にしていくから覚悟しておくように」
「は、はい!」
数日後には今シーズンが終わり、そして新しいシーズンが始まる。
その始まりはシーズンだけではない、何か新しいものの始まりかもしれない。
オリオンになぞられて02
「タイガー! 犯人から目を離さないで!」
注意するも遅く、犯人は凍った海を走りブルーローズに近づいて行く。
これにはオリオンスターも溜息しか出ない。
今期もまた自宅のテレビでキングオブヒーローの発表を観るのだろうと思っていたが、ロイズに打ち上げに参加するように言われてしまう。
そういえば来期からはメディア露出を増やしていくのだ。
10年間ヒーロー補佐をしていたが打ち上げに参加したのは今回が初めてだ。緊張して然るべきだろう。
ロイズもいないこの状況で名前がとれる行動は一つだけ。
上司でありヒーローTVのプロデューサーでもあるアニエス・ルージュにひたすらくっ付いて歩くことである。
真っ赤なドレスを身に纏ったアニエスの後ろを、同じく赤色のドレスに身を包んだオリオンスターがついて回る。
バイザーセットを付けてはいるが、慣れない状況に慣れない衣装で緊張はマックスだ。
おまけに周りの視線はほぼ全て彼女に注がれている。彼女がデビューしてから10年目のシーズン締め括りに際し、満を持してこういった場に姿を現したのだ、見ない方がおかしいというもの。
豊満な胸元を強調するような衣装のせいもあるだろうが。
「(虎徹もいないし、心細い……)」
彼女に小言を言うのも彼の仕事だ。
「オリオンスターをやってます、名前です」
「僕たち、どこかで会ったことありませんか?」
「えっ……え?」
「何? バニーってばナンパ?」
「違います! それに僕はバニーじゃなくてバーナビーです。」
「ロイズさん。あの、あまり虎徹をいじめないであげてください」
「いやいや、彼が我が儘を言うものだからね」
「名前、今日から貴女の後輩になる2人です」
「オリオンスターをやっている名字名前です。よろしくお願いします」
「同期だからと言ってタイガーを贔屓してはいけないよ。平等に接すること」
「あと名前君は職場の先輩なのだから、そこのところを肝に銘じ、くれぐれも公私混同しないように」
「オリオンスターとワイルドタイガーはヒーローとしては同期だが、会社ではオリオンスターが先輩なのだからね。色々と弁えるように」
「」
「それと、付き合いが長いからと言ってワイルドタイガーを贔屓せず、バーナビーとも仲良くするんだよ」
「は、はい!」
新たなシーズン開幕と共に売り出されたオリオンスターの公式ヒーローカードは飛ぶように売れ、販売初日にも関わらず売り切れる店が続出した。
今までに撮影してきた宣材写真を使用し暦年のオリオンスターのヒーローカードを販売する会議も行われていることを本人は知らない。
「これを期にお前も他のヒーローたちと仲良くなった方がいいんじゃねぇか?」
「えっ、ど、ドユコト? 仲良く……?」
「そ、今からトレーニングルームに行ってみんなに挨拶だ!」
「トレーニングルームの通行証だってデビューした時に貰って今まで一度も使ったことないんだろ?」
「これからはメディア露出も増える事だし、体力作っていかないとだろ!」
「えっと、その……ごめんなさい!」
「おいおい何謝ってんだよ!?」
「だって……いくら会社からの指示とは言え、いつも上から目線でみんなに指示出してるから……絶対に嫌われてるもの」
「いつも的確な指示をくれて感謝しているよ。そしてありがとう!」
「うえっ!? だ、だって私は、それしか出来ることなんてなくて……む、むしろ私なんかの指示を聞いてくれて、こっちが感謝しているくらい……」
ぶつぶつ。斉藤さんよろしく小声になってゆく名前。
顔を伏せ小声で呟いている名前。
・みんなで牛角へ
「名前、ちゃんと食ってるか?」
そう言って虎徹が隣を見やれば、そこには肉を頬張りながら泣いている名前の姿。
当然それを見た全員が取り乱し、彼女を心配する。
「どうしたんだい!?」
「泣くほど美味しかったの!?」
「それとも美味くなかったか!?」
「隣が僕なのが嫌でしたか!?」
「名前大丈夫? 泣かないで」
上からキース、カリーナ、アントニオ、イワン、パオリンである。
「ちが……違うの、ごめんなさい、大丈夫、です」
「こ、こんなにたくさんの、と、友達! と、にぎやかなに食事するのは、はじ、初めてで……!」
「何この子可愛いじゃない!!」とネイサン。
「イメージと全然違う……めっちゃいい子じゃん!」とカリーナ。
オリオンになぞられて03
「バーナビー君に何かコメントですか……」
「オリオンスターとしてのキャラは崩さないように!」
「は、はいぃ!」
『バーナビー? 私の指示に従ってくれたら構わないわ。同じ会社だから一応期待はしてるけど』
「バーナビーの特集が終わったら次はオリオンスターよ」
「わ、私ですか!?」
「そうよ! やっと一般メディア露出が解禁されたんだから、使わない手はないわ!」
「これからは大々的なヒーロー活動もしていくわよ!」
どこぞのアイドルプロデューサーよろしく、オリオンスターのプロデュースに燃えているアニエスP。
嬉々とするアニエスに、これからどれだけ忙しい日々を送ることになろうかも知らずに笑みを浮かべる名前。
「(アニエスさん生き生きしてるなぁ)」
「その為にもまずはバーナビーの特集を成功させるのよ!」
虎徹同様、オリオンスターも直ぐに爆弾は見つけた。
「……爆弾を見つけたわ! エレベーターの上よ」
「オリオンスターは犯人の特定を急いで!」
「バーナビーと違って貴女は10年もの間素性を隠し続けてきたのよ。綿密な打ち合わせをするから覚悟しなさい!」
「は、はひ!」
「報告書もう終わったのか?」
「うん。慣れてるからね」
アポロンメディアに勤めヒーローを生業にすること早10年。報告書を始めとする書類作りは慣れたものである。
それに比べ虎徹はというとまだ半分も出来ていない。
「私が言っても何も響かないよ……私は同じ土俵に立っていないから」
逃げ遅れた人がいないかを確認するのが今回の私の仕事。
「瓦礫に挟まれて気を失ってる……早くしないと一酸化炭素中毒になるわ!」
補佐とはいえ一応ヒーローなのに、こんな時に何も出来ない。名前の心がちくりと痛む。
ルナティックの出現によりヒーローの株はだだ下がり。信用や信頼というものは積み上げるには難しく崩すには簡単な物だ。
そこでヒーローの信用回復にあたり、施設訪問や清掃活動などのヒーロー活動を積極的に行うことになった。
名前ことオリオンスターはタイガー&バーナビー、折紙サイクロンと共にヒーローアカデミーへ来ていた。
バーナビーは当たり前として、折紙サイクロンことイワン・カレリンも素顔でいるのは彼なりに思うところがあったのだろう。
私服にアイパッチを貼り付けている虎徹に倣って名前も私服でバイザーセットを装着している。
バイザーの作用で髪の色もオリオンスター仕様になっているが、アカデミーでは普段の喋り方で良いと言われている。
バーナビーはこういった状況に慣れているかいつもの営業スマイルを貼り付けている。
虎徹は緊張というものを知らないようで。イワンは母校だからか、手裏剣を投げる動作をするなど妙にテンションが高い。
三人は良いとして、問題は名前だ。
この10年間、こういったヒーロー活動をした事がなかった名前は、持ち前のコミュ障も手伝ってバイザーの上からでも分かる程に緊張していた。
(タスキを握りシワになっている名前)
緊張の色を隠せぬまま壇上に立ち、アカデミー生を見渡す。
「わ、私は、知っての通りヒーロー補佐を10年間やっていて、その分色んなタイプのヒーローを見続けてきました。今日は私が見てきた歴代ヒーローの能力や特性についてを話したいと思います」
しどろもどろに言葉を紡ぐ。普段の喋り方で良いとのことでオリオンスターとしての上から目線ではなく名前として、生徒たちに語りかける。
「名前頼んだ!」
泣き喚くサムを名前へと押しつければ、途端に泣き止み笑顔を見せる。
それを見てヒーローたちは安堵の表情を浮かべる。
さすがの名前も赤ん坊相手に人見知りはしない。
柔らかい笑みを浮かべ
「ねんねんころりよ、おころりよ、坊やはよい子だ、ねんねしな」
サムを受け取った名前は落ち着いた様子で子守歌を口ずさむ。曲に合わせてゆっくり、リズミカルにサムの体を優しく叩いてやる。
日本語であるその歌は日本に昔からある子守歌で、虎徹以外には伝わっていない。
ただ彼らは、名前がサムを寝かしつけたことと、その歌声が心地良いことだけは理解できた。
「泣き止んだ……」
「私が赤ちゃんの時によくお母さんが歌ってたの」
「この歌だけは忘れたくなくて、よく口ずさんでるの」
刹那、名前のPDAが鳴り響く。
事件かと他のヒーローたちも自身のPDAを確認するがCALLの文字はない。
彼女が慌ててトレーニングルームを出て行くもすでに遅し。その音はサムの眠りを妨げ、再び誰があやすかで揉め始める原因となってしまった。
結局パオリンが抱くことで事なきを得たのだが、彼女は自分に女らしさが欠けることを自覚していたため緊張した様子で。
「事件か?」
「ううん、警報装置の誤作動だったみたい。一応能力で確認したけどそれらしい人影もなかったし、盗られた物もないみたいだし大丈夫」
「何? 名前のPDAに直接入ってくるの?」
「うん。まずは私が事件かどうかを確認して、事件だったらアニエスさんにみんなを呼び出してもらうことになってるの」
彼女のPDAはシュテルンビルトにある店や各警備会社の警報装置、並びに警察無線と繋がっている。
そのため他のヒーローたちの様にアニエス経由ではなく、直接彼女に事件発生を伝えるのだ。
「そういうの私、全然知らなかった」
「ボクも……」
「大変だな、誤報も多いんだろう?」
アントニオの言葉通り誤報も多く、取り越し苦労に終わることも多々ある。
しかしそんなもの微塵に感じさせない笑顔で返す名前。
「私に出来るのってそれくらいしか無いから」
「それに、事件の時にみんなが全力を出せるようにサポートするのが私の仕事だから」
華々しくヒーローたちが活躍する陰には彼女の尽力があったのだと知る。
ヒーローTVが陰には
ヒーローたちが市民として生活している間にも、彼女は補佐としての仕事を全うしているのだ。
市民の中には彼女を何も出来ない“補佐”だと馬鹿にする人間もいる。
そういう奴らに彼女の姿を見せてやりたいと、彼らは思う。
まあ、その思いも半年後のオリオンスター密着ドキュメント番組で成就されることとなるのだが。
「うふふ、いつもありがとね」
オリオンになぞられて04
・ジェイク編
『そうですわね、オリオンスターを差し出しなさい』
彼女に能力を使われてしまえばぬいぐるみを動かしている仕組みやアジトの場所を特定されてしまうのも時間の問題。
それを考慮した上での作戦、緻密に練り上げられているらしい。
『何でしたら彼女を殺して見せましょうか?』
痛みに意識が遠のいてゆく。
「それと、これ、返すぜ」
どさりと置かれたのは拘束されているオリオンスターだった。
すぐさま病院へと運ばれた彼女は精密検査を受けたが足に怪我を負った以外は無事だった。
・ジェイク戦
『三番目は……“ヒーロー補佐”オリオンスター。何だよ補佐って、ヒーローじゃねぇのかよ』
『あら、そのカードを入れたのはジェイク様じゃないですか』
『そうだっけ? まぁいいや、とっとと来いよ』
「オリオンスターに戦闘は無理だ!」
「それに足を怪我してるのよ!?」
「行きます! 私だって……ヒーローなんだから!」
モニター越しに彼女を見守るしかないヒーローズと、シュテルンビルト市民。
『昨日ぶりだなぁ。手負いのウサギちゃんをいたぶるってのは嫌いじゃねぇんだよなぁ』
『……!』
『おっ、さっそくやるか?』
『……』
『ふーん、なるほどな』
ジェイクの言葉を皮切りに2人は対峙したまま動かず、何も喋らない。
敵は目の前にいるというのに彼女の体は青く輝いていおり、能力を使っていることが分かる。
一体、何を見ているというのか。
(対峙している名前とジェイク)
『ジェイク様どうなされましたのかしら? ヒーロー補佐と見つめ合ったまま動きませんわ……まさか浮気ですの!?』
クリームの実況にジェイクは口角を上げる。
『ばーか、俺が浮気するわけねぇーだろぉ? 確かに乳はでけぇがタイプじゃねぇしぃ〜』
『っ!』
カメラがオリオンスターの胸にズームするが彼女が動いたことにより直ぐに倍率はリセットされる。
心の中を見ることによりバリアーで作られたビームを避けれていたのだが、それも最初の数発のみ。如何せん戦闘における経験値が少なすぎる。
一分もしない内にオリオンスターはジェイクの足元に倒れてしまう。
『ヒーロー補佐は健闘しましたがやっぱりジェイク様には適いませんでしたわ! さっすがジェイク様!』
『よっしゃ、このままサービスショットといくか?』
既に意識のないオリオンスターの腕を掴んで持ち上げると、豊満な胸を支えているビキニの紐を引っ張った。
自分たちの命が賭かっているというのに市民の半分は下心を燃やし画面に注目する。
バーナビーもまた別の意味で画面を睨みつけている。
「あいつ名前を何だと……!」
「バニー落ち着け!」
今にも飛んで行かん勢いのバーナビーを抑えてはいるが自分もまた飛んで行きたいのを我慢している虎徹。
画面の向こう側ではジェイクの指の動きに合わせてたゆむ胸。
『さぁて、この紐切ろうかなぁ〜』
『ジェイク様! そんな女どうでもよろしいじゃありませんの?』
『ん〜? ヤキモチ妬いてんのか〜?』
『わたくしはそんな……! そ、そんなことより早く次のカードを引いてくださいまし!』
『おーっと、そうだった! つー訳でこいつは……』
オリオンスターはジェイクに飛ばされ、アポロンメディアの屋上にあるライオン像の上に横たえられる。
オリオンになぞられて05
・告白
「名前さん……いや、名前」
「は、はい……?」
「僕は貴女が好きです」
「!」
「ごっ、こめんなさい!」
「あの、私……バーナビー君が思っているほど善人じゃない」
「あいつ……何か隠してるな」
真実を知っている後ろめたさ。
「虎徹、話があるの」
「虎徹、能力が減退してるでしょ?」
「なっ……バレちまったか」
「私を誰だと思ってるの」
「私はワイルドタイガーの同期で、虎徹の友達だよ?」
「虎徹、これ楓にお土産」
「ありがとな」
「絶対に中見ちゃダメだよ!」
「分ってるよ」
可愛らしい封筒の中には楓への手紙と、バーナビーのサイン入り生写真が数枚。
名前からの頼みならば彼も快く、何枚でもサインするのだ。
彼の気持ちを利用するわけではなく、一人の人間としてバーナビーに頼んだのだ。
「もう、6年になるのか……」
『楓を探してくれ! 学校から帰ってこなくて雨も降ってて……!』
「落ち着いて虎徹!」
「……いた! 神社の社に閉じ込められてる!」
今まで色んなヒーローがデビューし、そして引退していった。
それぞれに引退に至る事情があり、彼ら自身が決めたこと。名前が口出し出来る問題ではない。
「ジェイクにタトゥーはないよ」
「ジェイクの右手にタトゥーはないし、バーナビー君の両親を殺したのは彼でもない」
「何でそんなこと分かるんですか!?」
「彼に直接聞いたから」
「ジェイクと戦った時に彼に訊いたの」
「ごめんなさい」
「私は知っていたの。バーナビー君の両親の仇を知っていた……知っている上で、黙ってたの」
しかしその人物は彼女にとって恩人でもある。
居場所のない自分にヒーロー補佐という場所を与えてくれたからか、それとも彼に復讐なんてして欲しくなかったからか。
マーベリックは自首を促して聞くような人間ではない。加えて記憶改竄のNEXTだ。名前みたいな小娘一人を消すことなんて容易にやってのけるだろう。
仮にもし、バーナビーに全てを伝え復讐を遂げさせたとしてもそれに伴い自分のNEXTの正体を知られてしまう。他人の心中を覗き見ることが出来るなんて知られたらと考えると怖くて仕方がない。
自分の居場所を、ようやく出来た沢山の友人を失う結果になる。
ジェイクには悪いがあのまま彼が仇ということにしておけばバーナビーは心安めるのだ。
一見彼を思っての行動に見えるが全ては彼女のエゴだ。自分の身を、居場所を失いたくないが為の嘘偽り、偽善。
「ついでに一つ良いことを教えてあげよう」
「名前の両親を殺したのも私なんだよ」
「正確には殺させただね、ウロボロスを使って。名前が知らないのも無理はない。私だってすっかり忘れていたんだよ」
オリオンになぞられて06
心に穴が空いたような、記憶が欠如している感覚。
こうなることを予想していた訳ではないが、最悪の場合に備えて彼女は日記をつけていた。
誰にも知られないよう密かに付けていた日記は、マーベリックの手先が部屋に何かしらの手を加えようと者を持ち去ろうと絶対に見つからない場所。
10年前の、オリオンスターとしてデビューした頃の日記帳だった。
“10月○×日
今日、初めての友達が出来た。斉藤さんというアポロンメディアのメカニックさん。
オリオンスターの衣装を作ってくれてて、甘いものが好きなんだって、気が合いそう!
年は離れてるけど友達に年の差なんて関係ないよね。”
懐かしさに微笑みながら、ページを捲ってゆく。
とあるページで、ぴたりと手が止まる。
“11月××日
新しい友達が出来た! 同期のワイルドタイガーの中の人、鏑木・T・虎徹。
年上だけど友達に敬語は要らないって教えてくれた。私の半分と同じ日本人。
正義感が強くて優しくてとっても温かい人。お父さんみたいで、一緒にいると安心する。”
鏑木虎徹と言えばバーナビーの知り合いを殺害した容疑でみんなが追っている人物ではないか。
その人がワイルドタイガーで、自分の友達だなんて信じがたい。
“虎徹の奥さんの友恵とも友達になった!
私がオリオンスターだと知ったら友恵は、応援してるよって笑ってくれて、とっても嬉しかった。
娘の楓ちゃんも私と友達になってくれるかな?”
何故なら名前の知っているワイルドタイガーとは全く似ても似つかないのだ。
彼女の知っている彼は、寡黙で本名不明の、ただの同期だ。友達なんかじゃあない。
“虎徹のチャーハンは思わず泣いちゃうくらい、美味しかった!
誰かの手料理を食べたのは何年ぶりだろう。ありがとう虎徹。”
しかし何故だろうか、名前の心はじんわりと温かみを取り戻してゆくではないか。
“友恵の体調が良くないみたいで、しばらく入院することになった。心配だ。
虎徹と一緒に病室に駆け込んだらうるさいって婦長さんに怒られてしまった。
それを見てた友恵に笑われちゃった。”
日記に書かれている“鏑木虎徹”についてもっと知りたい。
自然と手は動いてゆく。一冊目が終われば次のノートへ。
五月蝿い程に呼び出しているPDAを無視してまで、彼女は日記に夢中だった。
“今日、楓が名前って呼んでくれた!
嬉しくなっちゃって思わず泣いちゃって、でも虎徹と友恵は笑わずに、優しく抱きしめてくれた。とても暖かかった。”
“最近私が友恵と楓を独占していたからか虎徹が拗ねちゃった。
やっぱり家族水入らずが良いよね、って言ったら三人は怒ってくれた。虎徹が、お前は友達であり家族だからそういう事は言うな、って言ってくれて、泣いちゃった。
後で友恵に聞いたんだけど、虎徹は、私が遊んでくれないから拗ねてたみたい。”
“友恵の容態が良くないみたい。でも私たちに心配させないために笑ってた。
私も笑って返したけど、本当は泣きたかった。”
“今日、友恵が死んだ。容態が急変したらしい。NEXTで死に目を見ることも叶わなかった。
虎徹が心配だ。”
“大ニュース、虎徹がアポロンメディアに移籍した!
ワイルドタイガーはニューヒーローとバディを組むんだって! ニューヒーローはどんな人だろう?”
“今日、虎徹に連れられて初めてトレーニングルームに行った。
みんな良い人ばっかりで、私なんかの友達になってくれた。
友恵も喜んでくれるかな?”
“たまたまマーベリックさんの心を見てしまった。彼がバーナビー君のご両親を殺しただなんて信じられない。私はどうしたら良い?”
“私は弱い。バーナビー君を助けたいのに、心が見えることを知られるのが怖い。
私はヒーロー失格だ。”
「あれ……?」
涙が止まらなかった。
『オリオンスター! 犯人がどこにいるか探しなさい!』
「犯人……犯人?」
犯人とは誰の事だ。
そこで、全てを思い出した。
「信じてくれよ!」
「私は信じるよ!」
「オリオンスター!?」
「何であんたがそいつを庇うのよ!?」
「だって、ワイルドタイガーは、虎徹は……私の友達だから!」
「名前……!」
オリオンになぞられて07
「楓、行こう。貴女のお父さんの所へ」
「お父さんを返してー!」
「マーベリックだよ!」
「そうだった! 楓久しぶり〜!」
「私も名前に会いたかった!」
「触っちゃダメだぞっ! 能力がコピーされるからな」
「タイガー! メカニックルームに貴方のスーツがあるから使って!」
「私も行くね。楓、また後で!」
「うん! 名前頑張って!」
「名前明るくなったなぁ」
「屋上にみんながいない!」
「ジャスティスタワーのどこかにそれぞれ閉じ込められてる……でもそれが何処なのかは解らない……!」
「私のNEXTをご存知ですよね」
「千里先をも見通す能力。通称“千里眼”だろう? 全く便利な能力だよ」
「確かに、私の能力は通常肉眼では見ることが不可能な場所や人物を、それこそ千里先まで見ることが出来ます」
「……でもそれだけじゃないんです」
「何だい?」
「他人の……心の中も見ることが出来るんです」
「おお、それは知らなかった。だから私を警戒していたのか、納得したよ。……その能力は惜しいが、もうヒーローTVには必要ない。お前がいなくとも視聴率は取れる、お前はもう用済みだ」
「虎徹! 無理だよ!」
「名前!! 大丈夫だ」
能力が減退してるのだから大丈夫な訳がないのに、その表情に何も言えなくなってしまった。
「早く打て!……名前、ありがとうな」
「虎徹っ!!」
「楓と、バニーを、よろしくな」
「虎徹ダメ! しっかりして!」
「名前! 貴女知ってて止めなかったんですか!?」
「だって!……だって、それが、虎徹の意志だから……!」
あの時の顔は名前に友達であり家族だと言った時の、ヒーロー引退のことを話していた時の、それだった。
全てを覚悟したその姿を見て、止められるわけがない。
「楓っ!」
名前は覆い被さるように楓を守る。
「づああぁっ!」
「名前ッ!」
2つの銃声と、2人の悲鳴。
停止したアンドロイドに囲まれていたヒーローたちの意識はすぐさまそちらへと向く。
そこには楓を人質にしているマーベリックと太ももから血を流している名前の姿。
「そこの死に損ないが本当に死ぬことになるぞ」
名前は能力を使い、マーベリックが引き金を引く瞬間に体を反らせ、眉間に当たるのを防いていた。
代わりに銃弾に弾かれバイザーセットが外れてしまい、髪の色が本来の水色に戻り目元も露わになってしまう。
ヒーローTVのカメラに素顔を晒しているが、そんなことはどうでもよかった。
今の彼女を占めるのは楓を守るという使命のみ。
焼けるような熱さに耐えながら、マーベリックの足にすがりつく。
「……楓に、手を出すな」
「私に触るな、死に損ない」
マーベリックは銃口を彼女の眉間に向け、引き金に指をかける。
「名前!」
能力を使ってしまったバーナビーがいくら手を伸ばしても、ただ虚しく空を掴む。
マーベリックは躊躇することなく人差し指に力を入れる。
ぱんっ。
「名前ーッ!!」
辺りにはバーナビーの悲痛な叫びだけが響いた。
彼らなりの大団円
マーベリックの撃った銃弾は予想に反し、名前の肩を貫通していた。
何がどうなったのか、今の彼女に考えるだけの余裕はなく、ただ一つ解ることを挙げるならば、腹に回っている腕が助けてくれたという事実だけ。
「名前、後は任せろ」
「こ、て……」
死んでしまったと思っていた親友の声に、名前はゆっくりと意識を手放した。
名前の意識が浮上したのはそれから数時間後と、意外に早く。
「ん……」
目を覚ませば知らない天井、なんてのはよくある話で。名前は病院にいた。
彼女の目覚めにいち早く気付いたのは言わずもがなバーナビー、その次に楓だ。
バーナビーは決壊したダムの如く涙を溢れさせ、彼の向かい側で楓も涙を流し喜ぶ。
「名前ッ……!」
「名前! 生きてて良かったぁ〜!」
それはたちまち病室内にいたヒーローたち全員に広がってゆく。
「名前さん……!」
「もう、心配したのよ〜」
「名前良かった、意識が戻ったんだね……!」
「良かった! 本当に良かった!」
「どっか痛むとこあったら言えよ」
「ほんと、心配したんだから!」
皆口々に彼女の生還を喜んだ。
当の本人は少し大袈裟すぎると感じたが、ちっとも大袈裟なんかではない。
あの時の名前は楓を守ることで頭がいっぱいで気付いていないかもしれないが、下手をすれば殺されていたのだ。
それに、それだけ心配してくれていたのだと思うと、名前の心は温かさで満たされていった。
「楓、バーナビー、みんな……!」
中でも楓を泣かせてしまったことに罪悪感を感じ、彼女に触れようと腕を動かそうとしたが上手くいかない。
「あれ、腕が……?」
「当然です! あなっ、貴女は、肩を撃たれて、るんですよ!」
嗚咽混じりに、呆れた様子で答えるバーナビー。しかしその表情は今までにない程柔らかい。
そう言われれば右肩と左の太ももに熱を感じる。
「そうだっけ……あっ、虎徹! 虎徹はどうなったの!?」
「名前、お父さんなら大丈夫だから安心して」
「隣のベッド、見てご覧なさい」
指で示したネイサンに言われた通り首を動かしてみれば隣のベッドで横になりピースしている虎徹。
「こいつは打撲とアバラ三本折れて全治三週間だとよ」
「因みに名前は全治一カ月ね」
優しく笑うアントニオとパオリン。
涙を拭い、可愛らしい笑顔を向ける楓に今度は名前が泣く番だ。
「楓が、みんなが無事で良かった……!」
これにて一件落着、大団円だ。……とは、上手くいかないのが人生である。
「良くありません!!」
大声を出したのは未だに涙を流しているバーナビーだ。
あまりに必死な形相なので名前の涙も引っ込んでしまい、虎徹も思わず顔が引きつる。
「オールドヒーローの間では自己犠牲が流行っているんですか!?」
「自己犠牲ってオレたちゃそんなつもりは……」
「あれのどこが自己犠牲じゃないって言うんですか!」
「わ、私は楓を守りたいが一心で……」
「私のために名前が死ぬなんて許さないんだから!」
「えーっ、楓もそっち側!?」
「大体! 虎徹さんも名前も、感情的になったら後先考えず行動する癖を直して下さい!」
「もっと言ってやってバーナビー!」
「うう、誰か助けて〜」
「バニー、俺たち怪我人!」
「関係ありません!」
それから、バーナビーと楓の説教はしばらく続き、他のヒーローたちはその光景を微笑ましく眺めていたのだった。
オリオンになぞられて09
バーナビーの説教がある程度終わった頃、名前はみんなからあの後のことを聞いた。
ロトワングはジャスティスタワーから転落、マーベリックは逮捕された。
追い詰められた際マーベリックは自身に能力を使い廃人となってしまい結局ウロボロスのことは分からず終い。
あのマーベリックでさえ中心にはいなかった、ウロボロスという組織の規模は計り知れない。
「ハンサムってばあんたを抱えて助けてくださいって叫んでたのよ」
「まさに世界の中心って感じだったな」
「そういえば虎徹、引退の件はみんなにちゃんと言えたの?」
「ああ、ちゃーんと言った」
「私ももう引退すべきなのかな……」
「何言ってんの! あんたがいないと犯人の特定が遅れて良い画が撮れなくて視聴率だだ下がり! 終いにはオリオンスターをだせってクレームまで……」
「アニエスさん……!」
オリオンスターは1部・2部関係なく、ヒーロー補佐として変わらずに活躍している。
変わったことと言えば……。
「ほら、タイガー急いで! このままじゃ追いつけないわよ!」
オリオンスターの密着ドキュメント番組が始まった。
『ヒーローTVが始まってから数十年……今では無くてはならないこの人物の真実が明らかに――!』
画面には番組タイトルが大々的に映し出され、きらりと輝く。
『オリオンスター密着ドキュメント番組“オリオンになぞられて”今、始まります!』
『オリオンスターはデビューしてから10年が経つヒーロー補佐ですが、未だにその詳細は明らかになっていませんでした。しかし去年の10月、新シーズン開幕に伴い彼女の所属するアポロンメディアが本格的にヒーロー事業へと参入。デビューしてから11年目にしてオリオンスターは積極的にメディアへ露出するようになり、それによりこの密着取材も可能となった訳です』
『メディア露出が殆ど無かったにも関わらず彼女には根強いファンが多い。この10年間まともなグッズはおろかヒーローカードすら出ていなかったのだが、去年10月からはヒーローカードを始めとする関連グッズも売り出されております。その売上はバーナビーやスカイハイをも上回るものとなって、経済効果は10億とも言われております!』
『一年にも及ぶ密着取材を開始するに当たって、始めに他のヒーローたちに彼女の印象をインタビューしておきまた』
『準備が良いですな!』
ドラゴンキッド『オリオンスター? プライベートでは会ったことないから何とも言えないけど……悪い人ではないんじゃないかな』
ロックバイソン『10年もヒーロー補佐やってるからな。頼りにしてるぜ』
スカイハイ『彼女にはいつも犯人を探してもらっているからね。いつもありがとう! そしてありがとう!』
ファイヤーエンブレム『タイガーからよーく話は聞くわよ。中々良い子みたいだし、一度会ってみたいわ』
ブルーローズ『常に上から目線なのは気に食わないわね』
折紙サイクロン『噂では日本とのハーフと聞いた故、一度お会いしたいでござる』
――彼女と同じ会社に所属しているタイガー&バーナビーにインタビューしてみた
――バーナビー、オリオンスターの印象は?
『会社でもヒーローとしても先輩ですから、何かとお世話になっていますよ。あとはそうですね……彼女は、小動物みたいです』
――小動物?
『はい、小さくて可愛らしい方ですので』
――なるほど、ありがとうございます
――ではワイルドタイガー、オリオンスターとは同期ですが彼女の第一印象は?
『んー、しっかりした子だなって思ったな、あん時はまだ今のドラゴンキッドと同じくらいだったから。ヒーロー補佐っていう役目がどんなのかも分からなかったし、俺もヒーローとしてデビューしたばっかりで分かんねぇことだらけだったし』
――プライベートでも知り合いとのことで、普段の彼女の印象は?
「あいつ、実はすげぇ人見知りでな。友達は俺を入れて3……いや、4人だな。友達は4人しかいないんだ」
――4人、ですか?
「ああ、詳しくは本人に聞いてくれ。あとは……そうだな、謙虚だけどよく笑う、良い子だよ」
――なんと、プライベートでのオリオンスターはとても人見知りだそうで、未だタイガー&バーナビー以外のヒーローとは会ったことがないんだそうです
画面はゆっくりと暗転し、オリオンスターのヒーロー補佐としての歴史が流れる。
オリオンスターはデビューから一年ごとにヒーロースーツが新調される。10年分の各ビジュアルが並べられると、最後に現在のオリオンスターが現れた。
――ここで、街ゆく人々に彼女についてインタビューしてみた
――オリオンスターについて、どう思いますか?
『彼女、謎だらけですよね。ヒーローTVでもほとんど声しか聞けないし』
『だからたまに姿が映ったら大興奮ですよ!』
『彼女がデビューしてから犯人の確保が早くなったね。良いことだよ』
『ああ、何か隠れファンが多いイメージ。まぁ私もファンなんだけどさ』
『あたしも! 上から目線だけど所々で根は真面目っぽいのが伝わってくるんだよね[D:12316]』
『オレ実はオリオンのファンなんすよ。オレのスターはオリオンだけだぜ!』
『デビューしたのが十二歳くらいでしょ? それから10年だから、何だか我が子の成長を見守ってるって感じかしら』
『年々衣装の露出度高くなってない? 冬とか寒そう』
『上から目線なんだけど変に媚びてないところとかがブルーローズとは違った魅力を感じますね!』
『オリオンスターってヒーローカード出てなかったからファンの間で手作りのカードが流行ってたんですよ。今はやっとヒーローカード出ましたけど……ぶっちゃけ、歴代のビジュアルでヒーローカード出してほしいです』
『売店に行ったらオリオンスターのカードが無かった!』
――なかなかの好印象だ
――先ほどの男性が言っていたように彼女が補佐となってから犯人確保が断然に早くなり、救助率も格段に上がった。
――ヒーローTVはTVショーとしての役割を持ちながらも市民の皆様に安全をお届けするのがお仕事。これも偏に彼女のNEXT能力のお陰と言えよう。
――そんな彼女の能力
『オリオンスターの大親友であるアポロンメディアのS氏にお話を伺った来ました』
(斉藤さんのインタビュー)
『密着取材開始から一年、彼女はどう変わったのか。再び他のヒーローたちにインタビューしてみました』
(ほかのヒーローたちからのコメント)
・本編後にちょっとした旅行に出掛けた二人
その日、鏑木家に一通の封筒が届いた。
見知った筆跡により自分の名前が書かれているそれを、虎徹は丁寧に開ける。
中に入っていたのは手紙ではなく、葉書が数枚。全てしっかりと届けるために封筒に入れてあったのだ。
「……」
一枚目は、相棒から自分へ。
二枚目は、親友から自分へ。
三枚目は、親友から自分の娘へ。
四枚目は――。
「……!」
その頃、他のヒーローたちにも一枚のエアメールが届いていた。
薔薇「二人とも元気そうね。……タイガーは、元気にしてるかな」
折紙「拙者もいつか日本を行脚したいでござる……!」
龍「名前すっごく楽しそう!」
空「実に良い写真だ! そして素晴らしい!」
炎「いいわねぇ。今度あたしも行ってみようかしら」
牛「フッ。後で虎徹に電話でもしてやるか」
アニエス「ヒーローTVで旅企画……いける!」
斉藤さん「幸せになれよ、大親友!」
虎徹「……お前らやっぱり大好きだ」
四枚目は――親友から自分の亡き妻へ。
アポロンラジオ
「どうも、伸縮しないサスペンダーの方、虎徹です」
「ハーイ、スティッキィじゃないジッパーの方、バーナビーです」
「このラジオはアポロンメディアに所属している俺たちタイガー&バーナビーが、」
「同じくアポロンメディアに所属しているオリオンスターこと名前さんに質問をするだけの番組です」
「ちょ! ちょっとちょっと、バニー! 俺と名前、本名出しちゃって大丈夫なの?」
「はい。聞いているのは関係者だけですから問題有りません。それと僕はバニーじゃなくてバーナビーですからね!」
「あの……私は……」
「よし、名前も俺たちみたいに自己紹介してみろ」
「虎徹みたいに……えっと……、ど、どうも、友達が少ない方、名字名前です……うう、自分で言ってて悲しくなってきた……」
「悲しいなら自分から言うなよなー。別に自虐しろなんて言ってないんだから、もっと「セクシーな方」とか「何でも見えちゃう方」とかでもいいのに」
「うう、私全然セクシーじゃない……」
「大丈夫、貴女は十分に魅力的ですよ」
「バーナビー君……社交辞令でも嬉しい、ありがとう」
「……」
「(どんまいバニー!)」
「?」
「さっ、早速だが始めっか!」
「頑張るね!」
「記念すべき一枚目のお便りはラジオネーム“折鶴”さんから
『名前さんは名字が“名字”ですが、日本人なんですか?』」
「えっと、私は、父が日本人で母がロシア人の、ハーフなの」
「そういえば髪は水色ですが瞳は黒っぽいですよね」
「そうなの、髪は母さん譲りで目は父さん譲り。私の自慢なの」
「貴女に合っていてとても綺麗です」
「あ、ありがとう……」
「んじゃ、次のお便り。ラジオネーム“チャイナ娘”さんから
『名前の好きな食べ物は何? 今度一緒に中華街でご飯食べようよ!』だってよ。良かったな、ご飯食べに行く友達出来たぞ」
「嬉しい……! チャイナ娘さん是非一緒にご飯食べましょう!!」
「貴女に友達が出来て僕も喜ばしいですが、質問には答えてあげて下さいね」
「あっ、すみません……。えっと、好きな食べ物は……長ネギたっぷりのおうどんとオムライスです。あ、でも、チーズケーキも好きだし……」
「ふむふむ(覚えておこう)」
「あとヨーグルトも好きだよな、フルーツ入ってるやつ」
「うんっ、ヨーグルト大好き! あっ、勿論お米も好き!」
「日本人ならやっぱり米だよな!」
「あと虎徹のチャーハンも好き。前に楓が私のためにオムライスを作ってくれたんだけど、すっごくおいしかったぁ! 誰かが私のために作ってくれた料理って本当に美味しいの」
「(せめてチャーハンを作れるようにならねば)」
「本日最後のお便りはラジオネーム“牛角”さんから頂きました。『名前はアルコールは好きか? 良ければ好きな酒を教えてくれ、今度みんなで飲みに行こう』だそうです。みんなで飲みに行くのも良いですね」
「うんっ、楽しみ! お酒は好きで、日本酒とかワインとか、ウォッカやウイスキーも飲みます。あと最近は虎徹の影響で焼酎も好きかな」
「今までは俺と二人だけだったもんなぁ……お前に友達ができて俺も嬉しいよ」
「ウォッカまでとは……お酒強いんですね」
「うん、そうみたい」
「バニー、こいつを酔わせるのは難しいぞ〜」
バーナビー「なっ、僕は別にそんなつもりは……!」
「つーわけで、牛角、今度みんなで飲もうぜ」
「牛角さん、ぜひ飲みに行きましょう!」
「……というわけで今日のアポロンラジオはここまでです」
「本日もありがとうございました」
「また聞いてくれよな!」
「本日最後のお便りはラジオネーム“ファイヤー乙女”さんから頂きました
『名前はタイガーとハンサム、どっちが好きなのかしら? ちなみにアタシはロックバイソンよ!』……だそうです」
「えっと……ハンサムって?」
「バニーちゃんのことだよ」
「僕はバーナビーです(……まあ、唯一の友人である虎徹さんですよね僕はこれから頑張るだけです)」「……うーん……うーん……」
「どうしたんだ?」
「2人とも好きだからどっちかなんて選べない……」
「(むむ、これは脈ありか!?)」
「(お、バニー大健闘!)」
「だって2人とも大切な友達だもの!」
「(ですよねー)」
「(ですよねー)」
「どうも、夏休みの宿題は最終日にまとめてやる方、虎徹です」
「ハーイ、夏休みの宿題は毎日計画的にやる方、バーナビーです」
「えっと、夏休みの宿題は最初の3日間で終わらせる方、名前です」
「虎徹さんも名前も、夏休みの宿題は毎日やるからこそ身に付くんですよ」
「オレは友情を優先をしちゃうタイプなんだな〜」
「私、遊んでくれる友達がいないから、宿題しかすることなくて……。大抵3日目で終わっちゃうの……」
「バニーひどいぞ! 名前の傷口をえぐるなんて! ぷんぷん!」
「事情も知らずに説教みたいな真似を……す、すみません……! 決して貴女のトラウマを思い出させるつもりはなかったんです! 僕を信じて下さい!」
「バーナビー君落ち着いて、大丈夫だから。バーナビー君は優しい人だって分かってるよ」
「(き、嫌われなくて良かった……!)」
「良かったなバニー!」
「!! 元はといえば虎徹さんが友情云々言い出したからじゃないか!」
「よーし、早速本日一通目のお便りを紹介しよう!」
「あ、話そらした」
「どうも、魚は塩焼きな方、虎徹です」
「ハーイ、魚はムニエルな方、バーナビーです」
「えっと、魚はお刺身な方、名前です」
「塩焼きは綺麗に食べるのが難しいって折紙先輩が言ってました
虎徹さんは綺麗に食べられるんですか?」
「あたぼうよ。日本人は全員魚を綺麗に食えるDNAを持ってるからな、楽勝だよ」
「(なるほど……だから私は綺麗に食べられたんだ!)」
>>戻る >>TOPに戻る