ユノ博士の研究発表

はじめに
 近年ではポケモンが人の姿で学校に通い、仕事に就き、家庭を築くといった人間となんら変わらない生活を送ることが当たり前になりつつある。それを可能としているのがポケモンたちが有する「擬人化」という能力のおかげだ。

 それではこの「擬人化」というのはなんなのか。考察を踏まえて解説をしていこう。


擬人化とは
 そもそも擬人化とはなんなのかというところから説明をしよう。「擬人化」の定義についてはこの界隈に足を踏み入れていれば嫌というほど議論されるだろうし、聞くのもうんざりだということなら飛ばしてくれても構わない。だがそうでないというのならば聞いていってほしい。復習は大事だからね。
 「擬人化」とはポケモンが人間を模した姿に成ることである。
 むろん、本当に人間になるわけではない。姿形は人間そのものであるが、髪色や瞳の色は本来の姿の体毛などに影響されている。更にポケモン特有の能力である「特性」や「技」はその姿のまま発動することは可能。また、身体能力も本物の人間と比べて非常に高い。以上のようにポケモンが人を模した姿と人間の差は明らかである。


擬人化したポケモンについて
 ポケモンの「擬人化」が発見されてから年月はかなり経っているが、解明されていないことの方が多い。今回はポケモンの種族やタイプに関係なく共通していることについて解説しよう。

1.「擬人化」中は本来の能力の3分1程度しか発揮されない
 種としての能力はそのまま使えるとはいえ、身体は人そのものである。その状態で技を使用すれば身体への負担が非常に大きい。その負担に対する制御装置とでも言えばよいだろうか。これはポケモンたちが「擬人化」をする際のデメリットともなる。
 この抑制には例外がある。「擬人化」したポケモンたちは基本的に姿は人のものと差異はないが、稀に本来の姿の名残を残している子もいる。多いのは四足歩行ポケモンの耳や尻尾。他にも翼や目の形、牙や皮膚といったものもある。このように人の形をしておきながら本来の姿のものが入り混じることで発揮できる能力値も上昇するのだ。

2.「擬人化」中に負った傷は本来の姿に影響を及ぼす。
 本来の姿で負っている傷は「擬人化」の姿にてそのまま残っているのと同様に、「擬人化」の姿で傷を負ったまま本来の姿に戻っても回復することはない。もしも「擬人化」の姿で身体の一部欠損してしまえば本来の姿でも該当する部位は失われたままとなる。
 また、本来の姿で瀕死に近い状態であると「擬人化」をすることができない。このことから「擬人化」するには相当のエネルギーが必要であることが考えられる。

3.実年齢と見た目の年齢が一致しないことが多い。
 ポケモンの年齢は卵から孵ってから数える。母親の胎内から出てきた人間と同じである。しかし、その実年齢と「擬人化」したときの姿の年齢は一致しない。ポケモンの年齢≠人間の年齢だからなのか、それとも精神年齢に左右されているのか詳しくは明らかにされていない。
 セイショウ地方では「擬人化」したポケモンの年齢は数種類の試験によって身体・精神・学力等々が人間の場合は何歳くらいなのかを調べ、戸籍登録の際に活用されている。

4.感情や知識はポケモン自身が過ごしている生活環境に左右される
 「擬人化」をしたポケモンが人間と同じ言語を話し、感情を豊かに表現している者が多い。しかし、それはトレーナーのいるポケモンや町に住まう野生のポケモンの例である。人里から離れたポケモンを調査すると、感情表現に偏りがあったり、話せても読み書きができなかったりと人と接触の多いポケモンに比べて知識量が劣っている。
 このことからポケモンが「擬人化」した際に得ている知識というのは生まれ育った環境に左右され、必ずしも人間社会に必要な常識や知識を有しているとは限らない。


擬人化の手段・条件
 ポケモンが「擬人化」の能力を発揮するための条件については解明されていない。この能力が発見された当初はトレーナーのいるポケモンたちによるものがほとんどとされていた。そのため研究初期の段階では「トレーナーと絆が深まり、信頼関係のもと行えるようになる」という仮説をたてていた。メガシンカのようにトレーナーとポケモンの絆により「擬人化」に必要なエネルギーが産生されることを考えられていたのだ。
 だが、研究が進むにつれて野生のポケモンが「擬人化」の能力を有しているという例の報告が増加した。人間を慕っている野生のポケモンのみの報告であれば前述にあげた仮説の可能性は捨てきれなかったが、野生のポケモンのうち人間を疎ましくもしくは憎悪さえ抱いている者の「擬人化」も確認されている。
 「擬人化」の方法について条件や手段については未解明で、不明なものが多い。その中で明らかとなっているのは。

1.何かしらの理由で「人の姿になりたい」と強く願っている
 「昔 シンオウができた時
 ポケモンと人は お互いに物を送り 物を送られ支えあっていた
 そこで あるポケモンは いつも人を助けてやるため
 人の前に現れるよう ほかのポケモンに話した
 それからだ 人が草むらに入ると


 これはシンオウ地方の神話の1つである。これをもとに「擬人化」について考察されることは多い。実際に「擬人化」したポケモンたちから話しを聞いても「トレーナーと言葉を伝えたいと思った」や「人と同じ姿になることで大切な主を支えたいと思った」といった言葉を多く聞かれた。人の姿でなければできないことを望んだとも言える。
 以上のことから、ポケモンの「擬人化」する能力はポケモンが人と支え合う関係を築くことを願っており、その思いが発展して得た力という可能性がある。

2.擬人化能力向上薬品を服用
 「擬人化」の能力はポケモンならば誰しもが所有しているものだという前提条件から、その力を向上させる薬の開発が進んでいる。この薬についてはまだ試作段階であり、市販としては当然のこと医療機関にすら普及していない。
 時々裏ルートから擬人化能力向上薬品を入手する者もいるが、当然安全は保障されていない。重篤な副作用を引き起こすことも覚悟しておくべきである。

 

おわりに
 再三述べている通り、ポケモンの「擬人化」については謎が多い。「擬人化」とは人間が種として繁栄し勢力を伸ばしているため、ポケモンが種として生き延びるために得た手段の1つだと考察する者もいる。しかし、そう結論づけるには早いのではないか。
 そもそもポケモンが「擬人化」するようになったのはいつからの話かを考えてほしい。「擬人化」の報告・研究が増えてきていることは最近のことだが、民話や伝承を調べれば人の形をしたポケモンと人間の交流について記されているものもある。特にシンオウ地方の昔話から興味深いものを2つほど引用しよう。

 「人と結婚したポケモンがいた ポケモンと結婚した人がいた
 昔は人もポケモンも おなじだったから普通の事だった


 「森の中で暮らす ポケモンがいた
 森の中でポケモンは皮を脱ぎ 人に戻っては眠り
 またポケモンの皮をまとい 村にやって来るのだった


 この2つの昔話からポケモンが人の姿を模して活動していたことは今に始まった話ではないと言える。つまり「擬人化」する能力は昔から持っているものであり、発見事例が今になって増えたのはポケモンと人間の関りが深まり、彼らにとって共存しても良い相手と認められているからではないだろうか。
 そうであるならば我々はポケモンたちが向けてくれる期待をに応える必要があるだろう。そのためにはどうすべきか。「擬人化」するポケモンについて今一度考え、共存していくためにも彼らとの関わり方を見つめていくべきであろう。
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